こ の 記 事 は 特 に 記 述 が な い 限 り 、 日 本 国 内 の 法 令 に つ い て 解 説 し て い ま す 。 ま た 最 新 の 法 令 改 正 を 反 映 し て い な い 場 合 が あ り ま す 。 ご 自 身 が 現 実 に 遭 遇 し た 事 件 に つ い て は 法 律 関 連 の 専 門 家 に ご 相 談 く だ さ い 。 免 責 事 項 も お 読 み く だ さ い 。
セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト ︵ 英 語 : s e x u a l h a r a s s m e n t 、 セ ク シ ュ ア ル ハ ラ ス メ ン ト 、 セ ク ハ ラ 、 性 的 嫌 が ら せ ︶ と は 性 的 嫌 が ら せ の こ と で あ り 、 性 的 言 動 に よ っ て 不 利 益 を 受 け た り 、 労 働 環 境 な ど が 害 さ れ た り す る ハ ラ ス メ ン ト で あ る [ 1 ] 。
男性が女性の太ももの上に手を置いて不快な性的勧誘をしている様子。
セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト ︵ セ ク ハ ラ ︶ は 労 働 問 題 の 中 で も 数 の 多 い ト ラ ブ ル で あ り 、 都 道 府 県 労 働 局 に 寄 せ ら れ た 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 に 関 す る 相 談 で は 、 2 0 1 2 年 度 か ら 2 0 1 4 年 度 の 3 年 間 を 通 じ て つ ね に 相 談 件 数 の 4 割 以 上 を 占 め て い る [ 2 ] 。 ま た 、 ス ク ー ル ・ セ ク シ ュ ア ル ・ ハ ラ ス メ ン ト も 日 常 的 に 発 生 し て お り 、 例 え ば 2 0 1 6 年 度 ︵ 平 成 28 年 度 ︶ に ﹁ わ い せ つ 行 為 及 び セ ク シ ュ ア ル ・ ハ ラ ス メ ン ト ﹂ で 懲 戒 処 分 を 受 け た 教 育 職 員 は 2 2 6 人 で あ っ た ︵ 男 性 2 2 3 人 ・ 女 性 3 人 ︶ [ 3 ] 。
職 場 に お け る セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト に お い て は 、 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 の 規 定 に よ り 、 企 業 は 解 決 の た め の 措 置 を 取 ら な け れ ば な ら な い 。 そ の 一 方 で 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 に は 加 害 者 に 対 す る 刑 事 上 の 処 罰 規 定 は な い た め 、 加 害 者 に 対 し て は 、 各 組 織 に よ っ て 懲 戒 処 分 が な さ れ 、 悪 質 な ケ ー ス で は 刑 事 上 の 対 応 と し て 刑 法 ︵ 不 同 意 わ い せ つ 等 ︶ や 迷 惑 防 止 条 例 等 で 対 応 す る こ と に な る [ 4 ] 。 ま た 、 被 害 者 側 は 被 害 に つ い て 損 害 賠 償 請 求 が で き る ︵ 民 法 7 0 9 条 等 ︶ 。 な お 、 職 場 や 学 校 の ガ イ ド ラ イ ン 等 で は セ ク ハ ラ の 定 義 を や や 抽 象 的 な 言 述 に 留 め 、 ﹁ 相 手 の 意 思 に 反 し て 不 快 や 不 安 な 状 態 に 追 い こ む 性 的 な 言 葉 や 行 為 ﹂ と 具 体 的 な 言 及 は 避 け る こ と が あ る [ 5 ] 。 こ の 場 合 、 特 定 の 行 為 が セ ク ハ ラ に 当 た る か 否 か の 判 定 基 準 は 人 事 院 規 則 な ど が 別 に 定 め 、 よ り 具 体 的 な 事 例 と し て 、 異 性 に と っ て 性 的 に 不 快 な 環 境 を 作 り 出 す よ う な 言 動 ︵ 職 場 に 水 着 写 真 を 貼 る な ど ︶ を す る こ と や 、 自 分 の 行 為 や 自 分 自 身 に 対 し て 相 手 が ﹁ 不 快 で あ る ﹂ と 考 え て い る に も 関 わ ら ず 、 法 令 や 契 約 の 履 行 以 外 で の 接 触 を 要 求 す る こ と 等 が 定 義 さ れ る 。 こ の よ う な 性 質 か ら 、 行 為 者 が 自 己 の 行 為 を セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト に 当 た る も の と 意 識 し て い な い こ と も あ り 、 そ の 認 識 の 相 違 に よ っ て 人 間 関 係 の 悪 化 が 長 期 化 、 深 刻 化 す る 例 も 見 ら れ る [ 6 ] [ 7 ] 。
対 象 者 の 性 別 に つ い て は 、 加 害 者 が 男 性 、 被 害 者 が 女 性 と な る 場 合 が ほ と ん ど で あ る 。 た だ 、 用 語 の 本 来 の 意 味 で は 身 体 的 な 性 別 は 無 関 係 で あ り 、 た と え ば 2 0 0 7 年 ︵ 平 成 19 年 ︶ 4 月 1 日 施 行 の 改 正 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 で は 、 男 性 か ら 女 性 、 女 性 か ら 男 性 、 男 性 か ら 男 性 、 女 性 か ら 女 性 の 全 て の 場 合 で 禁 止 さ れ て い る [ 8 ] [ 9 ] [ 10 ] 。 ま た 、 雇 用 管 理 上 必 要 な ﹁ 措 置 ﹂ を と る よ う 事 業 主 に 義 務 付 け ら れ 、 従 来 の ﹁ 配 慮 義 務 ﹂ よ り 厳 し く な り 、 是 正 指 導 に 応 じ な い 場 合 は 企 業 名 が 公 表 さ れ る 。 し か し 、 ま だ 日 が 浅 い こ と も あ り 、 十 分 な 対 策 を 講 じ て い な い 企 業 も あ る ︵ 具 体 的 事 例 は 後 述 ︶ 。 そ の た め セ ク ハ ラ 被 害 を 訴 え 出 る こ と が 恥 ず か し い 、 相 談 し に く い と 感 じ 、 内 在 化 し や す い [ 11 ] 。 ま た セ ク ハ ラ 被 害 を 訴 え る と セ ク シ ュ ア リ テ ィ を 侮 辱 さ れ る な ど 、 二 次 被 害 や 二 重 の 性 差 別 に 遭 う 事 も あ る [ 12 ] [ 13 ] [ 14 ] 。
自 認 す る 性 別 と 異 な る 振 る 舞 い や 性 役 割 を 他 者 か ら 要 求 さ れ て 精 神 的 な 苦 痛 を 覚 え る 性 同 一 性 障 害 者 の 問 題 や 、 同 性 愛 者 に 対 す る 差 別 的 言 動 の 問 題 も セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト を 論 ず る 際 の 論 点 の 1 つ と な り つ つ あ る ︵ S O G I ハ ラ ︶ 。 2 0 1 4 年 7 月 か ら は 同 性 愛 や ト ラ ン ス ジ ェ ン ダ ー な ど L G B T に 対 す る 差 別 的 言 動 も セ ク ハ ラ で あ る と し 、 雇 用 主 は 措 置 義 務 を 負 う こ と と な っ た [ 15 ] 。 2 0 2 2 年 5 月 、 女 性 と し て 生 活 し て い る 元 男 性 の ト ラ ン ス ジ ェ ン ダ ー の 会 社 員 は 、 S O G I ハ ラ や セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト に よ り 精 神 的 な 被 害 を 受 け た と し て 、 勤 め 先 の ピ ク シ ブ 株 式 会 社 と 元 上 司 に 合 わ せ て 約 5 5 0 万 円 の 賠 償 を 請 求 し た [ 16 ] 。 会 社 員 は ﹁ な ぜ 女 装 し て い る ん だ ﹂ な ど と 言 わ れ た り 、 興 味 本 位 で 体 を 触 っ た り わ い せ つ な 話 を さ れ た り す る ハ ラ ス メ ン ト を 継 続 的 に 受 け て い た と 主 張 し て い る [ 17 ] 。
日 本 で は 、 1 9 8 6 年 ︵ 昭 和 61 年 ︶ 1 月 に 起 き た 西 船 橋 駅 ホ ー ム 転 落 死 事 件 で 、 傷 害 致 死 罪 で 起 訴 さ れ た 被 告 女 性 を 支 援 す る 女 性 団 体 ﹁ 働 く こ と と 性 差 別 を 考 え る 三 多 摩 の 会 ﹂ が 英 語 の ﹁ s e x u a l h a r a s s m e n t ﹂ の 訳 語 と し て ﹁ 性 的 い や が ら せ ﹂ と い う 言 葉 を 使 い 出 し た [ 22 ] 。 こ の 時 点 で は 、 泥 酔 し た 男 性 と 絡 ま れ た 女 性 と の 間 で 起 き た 偶 発 的 な 事 件 と い う 性 格 も あ り 、 セ ク ハ ラ と い う 概 念 も 言 葉 も そ れ ほ ど 広 が ら な か っ た [ 23 ] 。
1 9 8 9 年 ︵ 平 成 元 年 ︶ 8 月 、 福 岡 県 の 出 版 社 に 勤 務 し て い た 晴 野 ま ゆ み が 上 司 を 相 手 取 り 、 セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト を 理 由 と し た 民 事 裁 判 を 起 こ し た 。 の ち に 日 本 初 の セ ク ハ ラ 訴 訟 と し て 福 岡 セ ク シ ュ ア ル ハ ラ ス メ ン ト 事 件 と 呼 ば れ る こ と に な る こ の 裁 判 [ 24 ] は 、 職 場 を 舞 台 に 上 司 と 部 下 と の 間 で 起 き た 事 案 と い う こ と で 普 遍 性 が あ り 、 こ れ ま で 日 本 の 職 場 で セ ク ハ ラ と 意 識 さ れ ず 、 何 気 な く 行 わ れ て き た 女 性 に 対 す る 行 為 や 発 言 が セ ク ハ ラ に 該 当 す る の か と い っ た 身 近 な 話 題 と な り 、 テ レ ビ や 雑 誌 で 盛 ん に 扱 わ れ た [ 25 ] 。 こ う し て 、 1 9 8 9 年 の 新 語 ・ 流 行 語 大 賞 の 新 語 部 門 ・ 金 賞 を ﹁ セ ク シ ャ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト ﹂ が 受 賞 [ 26 ] 。 同 年 12 月 の 授 賞 式 で 表 彰 さ れ た の は 、 2 年 前 の 1 9 8 7 年 9 月 に 裁 判 を 終 え て い た 西 船 橋 駅 ホ ー ム 転 落 死 事 件 の 弁 護 士 だ っ た [ 27 ] 。 こ れ は 1 9 8 9 年 の 流 行 語 の き っ か け と な っ た 福 岡 県 の セ ク ハ ラ 訴 訟 が 係 争 中 で 決 着 し て い な か っ た た め と さ れ る [ 28 ] ︵ 民 事 裁 判 は 1 9 9 2 年 ︿ 平 成 4 年 ﹀ 4 月 に 原 告 で あ る 晴 野 側 の 全 面 勝 訴 判 決 に よ っ て 決 着 し た [ 29 ] ︶ 。
そ の 後 、 セ ク ハ ラ ︵ セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト ︶ は 一 過 性 の 流 行 語 で 終 わ ら ず に 、
● 1 9 9 0 年 ︵ 平 成 2 年 ︶ 、 部 下 に 強 制 猥 褻 行 為 を し た 上 司 へ の 慰 謝 料 支 払 命 令 、 福 岡 事 件 [ 要 出 典 ] [ 30 ] [ 31 ]
● 1 9 9 2 年 ︵ 平 成 4 年 ︶ 、 虚 偽 の 異 性 関 係 に つ い て 噂 を 流 布 し た 上 司 と 会 社 へ の 慰 謝 料 支 払 い 命 令 ︵ 福 岡 セ ク シ ュ ア ル ハ ラ ス メ ン ト 事 件 ︶ 。
● 1 9 9 4 年 ︵ 平 成 6 年 ︶ に 問 題 化 し た 就 職 氷 河 期 の 新 卒 女 子 へ の セ ク ハ ラ 面 接 [ 32 ] 。
● 1 9 9 6 年 ︵ 平 成 8 年 ︶ 、 巨 額 の 慰 謝 料 で 話 題 に な っ た 米 国 三 菱 自 動 車 セ ク ハ ラ 事 件 [ 33 ] 。
● 1 9 9 7 年 ︵ 平 成 9 年 ︶ 4 月 か ら A I U 保 険 会 社 日 本 支 社 が 発 売 開 始 し た セ ク ハ ラ 保 険 。
な ど 、 1 9 9 0 年 代 を 通 じ て 日 本 語 と し て 浸 透 、 定 着 し て い っ た 。 1 9 9 2 年 ︵ 平 成 4 年 ︶ に 晴 野 ま ゆ み が 日 本 初 の セ ク ハ ラ 裁 判 ︵ 1 9 8 9 年 提 訴 ︶ で 全 面 勝 訴 し た こ と は 、 雇 用 主 へ の セ ク シ ュ ア ル ハ ラ ス メ ン ト 防 止 措 置 の 義 務 化 を 盛 り 込 ん だ 1 9 9 7 年 ︵ 平 成 9 年 ︶ の 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 の 改 正 、 今 日 の セ ク ハ ラ 防 止 ガ イ ド ラ イ ン が 生 ま れ る 起 爆 剤 に も な っ た [ 34 ] 。
国 際 労 働 機 関 ︵ I L O ︶ が 80 ヵ 国 の 現 状 を 調 査 し た 結 果 、 仕 事 に 関 す る 暴 力 や ハ ラ ス メ ン ト の 規 制 を 持 つ 国 は 60 ヵ 国 で 、 日 本 は 規 制 の 無 い 国 と さ れ た [ 35 ] 。 2 0 1 8 年 ︵ 平 成 30 年 ︶ 5 月 18 日 、 日 本 政 府 は 野 党 議 員 の 質 問 主 意 書 に 対 し て ﹁ 現 行 法 令 で セ ク ハ ラ 罪 は 存 在 し な い ﹂ と す る 答 弁 書 を 閣 議 決 定 し た [ 36 ] [ 37 ] [ 38 ] 。
厚生労働省 の分類では、対価型セクハラと環境型セクハラの2つのタイプに分類される[2] 。
職場や学校 などにおける立場・同調圧力・階級の上下関係と自身の権限を利用して、下位にある者に対し性的な言動や行為を行い(強要し)、相手が拒否などを示したことによって、降格・解雇、減給や更新拒否などの不利益を与えるセクハラのことである。
● 酒 席 で 、 酌 を 強 要 す る こ と 。
● 学 校 で 、 教 師 と し て の 立 場 を 利 用 し て 、 教 師 が 学 生 ︵ ま た は 学 生 側 の 者 ︶ に 、 猥 褻 行 為 ・ 性 行 為 ・ 愛 人 契 約 を 強 要 す る こ と 。
● 就 職 活 動 で 、 利 害 関 係 を 利 用 し て 、 求 人 側 の 担 当 者 ︵ ま た は 求 人 側 の 関 係 者 ︶ が 求 職 者 ︵ ま た は 求 職 者 の 関 係 者 ︶ に 、 性 行 為 や 猥 褻 行 為 を 強 要 す る こ と 。
● 職 場 で 、 職 務 上 の 立 場 を 利 用 し て 、 上 司 ︵ ま た は 上 司 側 の 関 係 者 ︶ が 部 下 ︵ ま た は 部 下 側 の 者 ︶ に 、 猥 褻 行 為 ・ 性 行 為 ・ 愛 人 契 約 を 強 要 す る こ と [ 39 ] [ 40 ] 。
● 商 取 引 で 、 利 害 関 係 を 利 用 し て 、 買 い 手 側 の 関 係 者 が 売 り 手 側 の 関 係 者 に 、 猥 褻 行 為 ・ 性 行 為 ・ 愛 人 契 約 を 強 要 す る こ と 。
職 場 で 働 い た り 、 学 校 で 学 ん だ り す る 環 境 を 害 す る よ う な 性 的 嫌 が ら せ の こ と で あ る 。
● 上 司 が 部 下 に 仕 事 の 域 を 超 え て 個 人 的 に 親 密 な 関 係 に な る こ と を 誘 う こ と [ 11 ] 。
● ソ ー プ ラ ン ド な ど の 性 風 俗 店 に む り や り 誘 う こ と [ 41 ] 。
● 裸 踊 り を 強 要 す る こ と [ 42 ] 。
● 恋 愛 、 結 婚 、 出 産 の こ と を 尋 ね る こ と [ 注 1 ]
● ﹁ ︵ 性 別 ︶ の く せ に ・ ・ ・ ﹂ ﹁ ︵ 性 別 ︶ な ら ・ ・ ・ ﹂ と 発 言 す る こ と [ 43 ] 。
厚 労 省 の 2 つ の 分 類 に 加 え 、 チ ャ ッ ト や S N S 、 電 子 メ ー ル な ど で の 連 絡 が 原 因 で 起 き る ﹁ 妄 想 型 セ ク ハ ラ ﹂ も 増 加 し て い る [ 1 ] 。 妄 想 型 セ ク ハ ラ は 、 チ ャ ッ ト や S N S な ど で 連 絡 を 取 っ て い る う ち に 関 係 性 が 深 ま っ た と 加 害 者 が 一 方 的 に 思 い 込 み 、 セ ク ハ ラ に い た る こ と で あ る 。 妄 想 型 セ ク ハ ラ の 場 合 は 、 セ ク ハ ラ 加 害 者 に は セ ク ハ ラ の 自 覚 が 全 く な く 、 セ ク ハ ラ 被 害 者 の 拒 否 や 周 囲 の 仲 裁 が 全 く 聞 こ え て い な い こ と が あ る 。 ﹁ 思 い 込 み 型 セ ク ハ ラ ﹂ や ﹁ 疑 似 恋 愛 型 セ ク ハ ラ ﹂ 、 ﹁ 腹 い せ セ ク ハ ラ ﹂ と も 呼 ば れ て お り 、 両 者 の 区 別 は 難 し い と い う [ 44 ] 。
休日にも関わらず業務連絡と見せかけて「休日は何をしているんだ」などプライベートに踏み込んで詮索する
セクハラ発言を拒絶しているのに「自分のことが好きに違いない」と勘違いして、セクハラを継続して行う
労 働 局 に 寄 せ ら れ た セ ク ハ ラ 相 談 件 数 は 、 2 0 1 4 年 度 ︵ 平 成 26 年 度 ︶ で 1 1 , 2 8 9 件 で あ っ た [ 45 ] 。 こ の う ち 相 談 者 の 内 訳 は 、 女 性 労 働 者 か ら が 5 9 . 6 % 、 男 性 労 働 者 か ら が 5 . 5 % 、 事 業 主 か ら が 1 6 . 4 % 、 そ の 他 か ら が 1 8 . 6 % で あ る [ 46 ] 。 セ ク ハ ラ 相 談 件 数 は 、 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 に 関 す る 相 談 の う ち 4 5 . 4 % に あ た る [ 2 ] 。
し か し 、 一 般 に 性 犯 罪 の 被 害 申 告 率 は 低 く 、 盗 難 や 強 盗 の 申 告 率 が お お む ね 6 割 以 上 で あ る の に 対 し 、 性 犯 罪 の 被 害 申 告 率 は 1 割 強 に す ぎ な い [ 47 ] 。 そ の た め 性 犯 罪 と 地 続 き に な っ て い る セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト の 暗 数 も 相 当 数 存 在 す る と 考 え ら れ 、 実 際 に 労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 の 実 態 調 査 に よ る と 正 社 員 の セ ク ハ ラ 経 験 率 は 3 4 . 7 % に 達 す る と の 結 果 も 出 て い る [ 48 ] [ 49 ] 。
2 0 1 9 年 ︵ 令 和 元 年 ︶ 12 月 2 日 、 厚 生 労 働 省 の 審 議 会 が 2 0 1 9 年 11 月 に ま と め た ハ ラ ス メ ン ト 防 止 指 針 [ 50 ] で は 就 活 生 へ の セ ク ハ ラ ・ パ ワ ハ ラ 防 止 に 実 効 性 を 欠 く と し て 、 慶 應 義 塾 大 学 ・ 上 智 大 学 ・ 早 稲 田 大 学 ・ 国 際 基 督 教 大 学 ・ 創 価 大 学 ・ 東 京 大 学 の 学 生 ら で つ く る 有 志 団 体 ﹁ セ ー フ ・ キ ャ ン パ ス ・ ユ ー ス ・ ネ ッ ト ワ ー ク ︵ S A Y ( S a f e C a m p u s Y o u t h N e t w o r k ) ︶ ﹂ が 都 内 で 記 者 会 見 を 開 き 、 指 針 案 の 修 正 と 就 活 セ ク ハ ラ の 根 絶 を 訴 え る と と も に 大 学 を 管 轄 す る 文 部 科 学 省 に 対 し て 声 明 文 を 提 出 し た [ 51 ] 。 厚 労 省 の 防 止 指 針 で は 就 活 生 の 保 護 は 義 務 付 け て お ら ず 、 社 員 に 対 す る の と 同 様 に 就 職 活 動 を す る 学 生 た ち へ の セ ク ハ ラ 、 パ ワ ハ ラ も 禁 止 し 、 相 談 窓 口 の 設 置 も 義 務 付 け る よ う 求 め て い る [ 52 ] 。 大 学 に 対 し て も 就 活 生 へ の ハ ラ ス メ ン ト の 実 態 調 査 と 相 談 窓 口 の 設 置 を 求 め た [ 53 ] [ 54 ] 。
2 0 1 9 年 ︵ 令 和 元 年 ︶ 12 月 11 日 、 セ ク ハ ラ や パ ワ ハ ラ の 対 策 を 進 め る 厚 生 労 働 省 は 、 被 害 を 相 談 し た 労 働 者 に 不 利 益 な 取 り 扱 い を し た 企 業 が 女 性 活 躍 ・ ハ ラ ス メ ン ト 規 制 法 で 社 名 を 公 表 さ れ た 場 合 、 ハ ロ ー ワ ー ク や 職 業 紹 介 事 業 者 は 一 定 期 間 そ の 企 業 の 求 人 を 受 理 し な い こ と を 認 め る と 決 め た 。 不 利 益 な 取 り 扱 い を 禁 じ る 女 性 活 躍 ・ ハ ラ ス メ ン ト 規 制 法 の 施 行 に 合 わ せ 政 令 を 改 正 。 2 0 2 0 年 6 月 か ら 実 施 す る [ 55 ] 。
2 0 1 6 年 度 ︵ 平 成 28 年 度 ︶ に わ い せ つ 行 為 及 び セ ク ハ ラ で 懲 戒 処 分 を 受 け た 教 育 職 員 は 2 2 6 人 で 過 去 最 大 で あ っ た [ 3 ] 。 加 害 者 の 内 訳 は 、 男 性 が 2 2 3 人 、 女 性 が 3 人 で あ り 、 被 害 者 の 内 訳 は 、 自 校 の 児 童 ・ 生 徒 ︵ 元 生 徒 を 含 む ︶ が 5 2 . 6 % 、 自 校 の 教 職 員 が 1 6 . 8 % 等 で あ る 。 た だ し 、 特 に 生 徒 が 被 害 に 遭 う ケ ー ス で は 、 加 害 者 で あ る 教 師 に 口 止 め さ れ た り 、 親 を 心 配 さ せ ま い と し た り と 子 ど も が 声 を 上 げ づ ら い 構 造 が あ り 、 明 る み に 出 る の は 氷 山 の 一 角 と さ れ る [ 56 ] 。
セ ク シ ュ ア ル ハ ラ ス メ ン ト は 主 に ﹁ 加 害 者 が 男 性 、 被 害 者 が 女 性 ﹂ と い う 構 図 で あ り 、 た と え ば 2 0 1 5 年 ︵ 平 成 27 年 ︶ の 労 働 局 へ の 相 談 件 数 で は 、 女 性 労 働 者 か ら の 相 談 が 男 性 労 働 者 か ら の 相 談 の 10 倍 以 上 に 達 し て い る [ 46 ] 。 し か し 、 法 的 に は ﹁ 女 性 か ら 男 性 ﹂ や ﹁ 同 性 間 ︵ 男 性 → 男 性 や 女 性 → 女 性 ︶ ﹂ で も セ ク ハ ラ は 成 立 す る [ 9 ] 。 そ の 中 で も 、 ﹁ 女 性 か ら 男 性 に 行 わ れ る セ ク ハ ラ ﹂ に 関 し て は 、 現 実 問 題 と し て 男 性 側 の 立 場 が 弱 い こ と か ら ﹃ 逆 セ ク ハ ラ ﹄ と い っ た 俗 称 で 呼 ば れ て い る [ 57 ] 。 セ ク ハ ラ 相 談 窓 口 が 被 害 者 が 女 性 で あ る こ と を 前 提 と し て 作 ら れ て い る ケ ー ス も あ り 、 男 性 が 被 害 者 の 場 合 、 女 性 が 被 害 者 の 場 合 以 上 に 、 被 害 を 訴 え る こ と が 難 し い 点 が 指 摘 さ れ て い る
[ 58 ] 。 一 例 と し て 、 2 人 の 男 の 加 害 者 に よ る 強 制 性 交 ・ わ い せ つ 事 件 で は 、 2 0 1 7 年 か ら 2 0 1 9 年 に か け て 20 代 を 中 心 と し た 1 0 0 人 以 上 の 男 性 が 被 害 者 と な っ た が 、 実 際 に 被 害 届 を 出 し た の は 、 わ ず か 9 人 で あ っ た [ 59 ] 。 加 害 者 の 男 ら は 、 S N S で 知 り 合 っ た 男 性 た ち に 睡 眠 薬 を 飲 ま せ 、 わ い せ つ な 行 為 に 及 ん で い た [ 60 ] 。
法 律 的 に は 、 2 つ の 段 階 に 区 分 さ れ る 。
一 次 被 害
強 要 ︵ 例 。 部 下 ・ 同 僚 の 異 性 の ﹁ 意 思 に 反 し て ﹂ 性 的 関 係 を 求 め る ︶ 。 意 に 反 す る と は 、 ﹁ 要 求 を 受 け 入 れ な い と 昇 進 さ せ な い ﹂ な ど と 対 価 を 示 し た 場 合 は 相 手 が 拒 ま な く て も セ ク ハ ラ に な り え 、 そ う で な い 場 合 は 相 手 が 拒 ん だ 後 に し つ こ く 強 要 し た 場 合 が セ ク ハ ラ に な る と い う 指 針 を 人 事 院 が 作 成 し て い る [ 66 ] 。 こ れ ら の 行 為 は 、 不 同 意 わ い せ つ や 不 同 意 性 交 な ど の 刑 事 案 件 と な る 。
二 次 被 害
(一) 中 傷 ︵ 例 。 上 記 を 断 ら れ た 報 復 に 、 社 内 外 に 事 実 無 根 の こ と を 流 さ れ 、 噂 を 理 由 に 仕 事 を 外 さ れ た り 、 解 雇 さ れ る ︶
(二) 周 囲 の 同 調 ︵ 例 。 中 傷 を 信 じ た 周 囲 の 異 性 達 が 続 々 と 性 交 を 要 求 し た り 、 断 ら れ た 報 復 に 集 団 で 被 害 者 潰 し に か か っ た り す る ︶
(三) 被 害 者 の P T S D ︵ 例 。 中 傷 を 耳 に し た 人 達 か ら 白 眼 視 さ れ 、 い じ め ら れ 、 心 に 深 い 傷 を 負 う ︶
(四) 被 害 者 の 精 神 障 害 ︵ 例 。 美 し く あ る こ と で 傷 つ く と 無 意 識 の う ち に 記 憶 、 美 し く 装 う こ と ・ 異 性 を 極 度 に 恐 れ る 。
(五) 被 害 者 の 生 活 の 破 綻 ︵ 例 。 職 場 で ひ ど い 目 に あ っ た 記 憶 が 強 す ぎ て 社 会 復 帰 で き ず 、 生 活 が 困 難 に な る ︶
(六) 被 害 者 の 人 間 不 信 に よ る 人 間 関 係 の 破 綻 ︵ 例 。 信 頼 し た 人 々 か ら 傷 つ け ら れ た 結 果 、 引 き こ も り 化 ︶
項 目 の う ち 、 1 と 2 は 労 働 事 件 ︵ 刑 事 事 件 ︶ 、 3 か ら 6 は 民 事 事 件 ︵ 損 害 賠 償 請 求 訴 訟 ︶ に 相 当 す る 。
セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト の 被 害 者 が 裁 判 を 起 こ す ハ ー ド ル は 高 い と さ れ る [ 67 ] 。 そ の 根 底 に は 、 職 場 で の 力 関 係 の 差 や 、 調 査 す る 側 が 加 害 者 に 近 い 立 場 ・ 精 神 構 造 で あ る 可 能 性 が あ る こ と 、 個 別 事 例 に 対 し て 行 政 指 導 が で き な い こ と な ど が あ る 。 ま た 、 加 害 者 が セ ク ハ ラ を 認 め ず 、 謝 罪 を 行 わ な い こ と も あ る 。 こ う し た 背 景 も あ り 、 被 害 者 が セ ク ハ ラ 行 為 を 立 証 し よ う と す る 中 で 孤 立 を 深 め 、 加 害 者 か ら は ﹁ や っ て い な い ﹂ と 言 わ れ 、 周 囲 か ら は ﹁ 嘘 を つ い て い る の で は ﹂ と 疑 わ れ て し ま う ケ ー ス も 多 い [ 68 ] 。
そ う し た 構 造 的 、 心 理 的 な 要 因 か ら セ ク ハ ラ の 暗 数 は 多 く 、 た と え ば 2 0 1 9 年 ︵ 令 和 元 年 ︶ の 日 本 マ ス コ ミ 文 化 情 報 労 組 会 議 ︵ M I C ︶ に よ る 調 査 で は 、 セ ク ハ ラ 被 害 を 相 談 ・ 通 報 を し た 人 は 3 割 程 度 で あ っ た [ 68 ] 。 ま た 、 相 談 ・ 通 報 し た 先 で ﹁ 不 適 切 な 対 応 ﹂ を 受 け る 場 合 も 多 く 、 4 割 の ケ ー ス で は ﹁ 事 情 を 話 し た が 、 調 査 も さ れ ず 放 置 さ れ た ﹂ と い う [ 68 ] 。
セ ク ハ ラ は 被 害 者 の 主 観 が 重 要 だ と 人 事 院 が 述 べ て は い る が 、 判 例 で は 客 観 性 が 重 要 だ と さ れ 、 一 般 通 常 人 の 判 断 が 基 準 と さ れ て い る [ 要 出 典 ] 。 厚 生 労 働 省 の 事 業 所 に 対 す る 指 針 措 置 で は 、 被 害 者 加 害 者 の 主 張 が 異 な っ た 場 合 に は 、 第 三 者 へ の 聞 き 取 り 調 査 な ど さ ら な る 事 実 確 認 が 必 要 で あ る [ 69 ] 。
菊 池 安 希 子 ( 2 0 1 0 年 ) は セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト を 受 け た 被 害 者 を 支 援 す る 方 法 に つ い て 、 ﹁ 被 害 者 の 不 快 を 加 害 者 に 伝 え る こ と で 速 や か な 行 動 改 善 に つ な が る 場 合 も 少 な く な い 。 具 体 的 に は 被 害 内 容 と 意 思 表 示 し た 手 紙 を 内 容 証 明 郵 便 で 送 る な ど の 方 法 が あ る 。 ︵ 支 援 者 が 被 害 者 と ︶ 協 働 し て 文 案 を 作 成 す る と 良 い だ ろ う ﹂ と 述 べ た [ 70 ] 。 ま た 、 証 拠 資 料 の 整 理 、 リ ー ガ ル ・ ア ド バ イ ス ︵ 法 律 ・ 法 令 に も と づ く 助 言 ︶ 、 職 場 の 環 境 調 整 な ど の 準 備 と と も に 、 被 害 者 へ の 心 理 的 支 援 も 重 要 で あ る [ 70 ] 。 さ ら に 菊 池 は 、 セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト 事 案 に お け る 関 係 調 整 の 重 要 性 に 言 及 し 、 ﹁ セ ク ハ ラ 被 害 の 回 復 援 助 で は 、 多 種 の 関 係 調 整 を 行 う 。 ︵ 1 ︶ 関 係 機 関 や 専 門 職 ︵ 弁 護 士 、 医 師 ︶ な ど の リ ソ ー ス と 本 人 を つ な ぐ 。 ︵ 2 ︶ 加 害 者 と の 関 係 調 整 ︵ 例 ‥ 職 場 復 帰 の 際 の 約 束 事 を 公 正 証 書 化 す る ま で の 条 件 調 整 の 支 援 を 被 害 者 の 側 に た っ て 行 う ︶ 。 ︵ 3 ︶ 職 場 復 帰 の 関 係 調 整 ︵ 早 め か ら 管 理 職 な ど に 二 次 被 害 や 被 害 者 の 反 応 に つ い て の 教 育 も 含 め た 関 係 調 整 を 折 々 に 行 う ︶ ﹂ と 述 べ て い る [ 70 ] 。
な お 、 セ ク ハ ラ 被 害 が 心 的 外 傷 と な り 、 心 的 外 傷 後 ス ト レ ス 障 害 ( P T S D ) と い っ た 症 状 を 発 症 す る ケ ー ス も あ り 、 そ の 際 の 医 療 的 ・ 心 理 的 ケ ア も 重 要 で あ る ︵ 詳 細 は ﹁ 心 的 外 傷 後 ス ト レ ス 障 害 ( P T S D ) # 治 療 ﹂ を 参 照 ︶ [ 70 ] 。
2 0 1 9 年 ︵ 令 和 元 年 ︶ 10 月 28 日 、 厚 生 労 働 省 は 、 労 働 政 策 審 議 会 ︵ 厚 生 労 働 大 臣 の 諮 問 機 関 ︶ の 分 科 会 で 、 被 害 を 相 談 し た 労 働 者 に 対 す る 不 利 益 取 り 扱 い の 禁 止 に つ い て 、 企 業 規 模 に か か わ ら ず 2 0 2 0 年 ︵ 令 和 2 年 ︶ 6 月 1 日 か ら 義 務 化 す る 案 を 示 し た [ 71 ] 。 そ れ を 受 け て 改 正 労 働 施 策 総 合 推 進 法 ︵ い わ ゆ る パ ワ ハ ラ 防 止 法 ︶ が 成 立 し 、 2 0 2 0 年 6 月 1 日 か ら 施 行 さ れ た [ 72 ] 。
アメリカでは1986年 にヴィンソン対メリター・セービング銀行の裁判で初めて[注 2] 、合衆国最高裁判所 がセクシャルハラスメント行為がアメリカの公民権法 第7編(性を理由とする雇用差別の禁止)に違反する性差別である、と認定した[74] [75] [76] 。
2 0 0 8 年 3 月 に 、 ア デ ラ ン ス の 大 阪 市 内 の 店 長 を 務 め て い た 男 性 が 、 兵 庫 県 内 の 店 舗 の 従 業 員 指 導 に 携 わ っ た 際 、 当 時 従 業 員 で あ っ た 女 性 に 対 し 、 ﹁ ノ ル マ を 達 成 で き な け れ ば 、 自 分 の 彼 女 に な る か 、 研 修 も し く は 転 勤 だ ﹂ な ど と 言 っ て 、 無 理 矢 理 キ ス を し よ う と し た り 、 体 を 触 る な ど の セ ク ハ ラ 行 為 を し て い た こ と が 、 2 0 1 5 年 1 月 20 日 、 新 聞 各 社 に よ り 報 じ ら れ た 。 女 性 は 警 察 へ の 被 害 届 提 出 を 同 社 幹 部 か ら 止 め ら れ た と 主 張 。 P T S D と 診 断 さ れ 休 職 し た の ち 、 2 0 1 1 年 9 月 に 退 職 を 余 儀 な く さ れ た 。 女 性 は 同 社 を 相 手 取 り 、 約 2 , 7 0 0 万 円 の 支 払 い を 求 め 大 阪 地 裁 に 提 訴 し て い た が 、 2 0 1 4 年 11 月 28 日 付 で 、 解 決 金 1 , 3 0 0 万 円 を 支 払 う ︵ う ち 半 分 は 男 性 が 負 担 ︶ こ と で 和 解 が 成 立 。 和 解 条 項 に は 、 男 性 の 勤 務 地 や 出 張 先 が 、 女 性 の 居 住 地 域 に な ら な い よ う 同 社 が 努 め る こ と も 盛 り 込 ま れ た [ 78 ] [ 79 ] [ 80 ] 。
2006年、北米トヨタ自動車 の元社長秘書(日本人女性)が、同社社長(日本人男性)によるセクハラと同社の対応の不備に対して両者などに1億9000万ドルの損害賠償請求訴訟を起こした事例。その後トヨタ側から巨額の和解金(一説には50億円)が支払われた。
1 9 9 6 年 、 M M M A ︵ 米 国 三 菱 自 動 車 製 造 ︶ は 米 国 政 府 機 関 の 雇 用 機 会 均 等 委 員 会 ( E E O C ) に 公 民 権 法 違 反 で 提 訴 さ れ 、 ﹁ 日 本 企 業 で は 、 女 子 社 員 は ゲ イ シ ャ で あ る こ と を 求 め ら れ て い る ﹂ と の 日 本 文 化 論 、 大 規 模 な ジ ャ パ ン バ ッ シ ン グ 、 消 費 者 か ら の 不 買 運 動 を 経 て 、 最 終 的 に は 約 48 億 円 の 支 払 い で 和 解 。
大阪大学 は2007年11月20日、医学系研究科の男性教授(47歳)が教え子の女子学生にセクハラ行為をしたとして諭旨解雇処分にしたと発表した。
2 0 0 9 年 2 月 に コ ン パ で 酔 っ た 女 子 学 生 に 対 し て 集 団 準 強 姦 を 行 っ た と し て 同 年 6 月 2 日 に 京 都 教 育 大 学 の 男 子 学 生 6 名 が 逮 捕 さ れ た 事 件 ︵ の ち に 不 起 訴 ︶ に つ い て 、 男 子 学 生 の 逮 捕 直 後 か ら m i x i な ど の イ ン タ ー ネ ッ ト で 被 害 者 と さ れ た 女 子 学 生 に 対 す る セ ク シ ャ ル ハ ラ ス メ ン ト が 京 都 教 育 大 学 の 学 生 や 他 大 学 の 学 生 ︵ 例 え ば 立 命 館 大 学 ︶ に よ り 行 わ れ た 。 書 き 込 み を 行 っ た 学 生 は 各 大 学 の 処 分 を 受 け た [ 85 ] [ 86 ] 。 し か し 同 種 の 行 為 が 継 続 し た た め ﹁ キ ャ ン パ ス ・ セ ク シ ュ ア ル ・ ハ ラ ス メ ン ト ・ 全 国 ネ ッ ト ワ ー ク ﹂ が 京 都 教 育 大 学 へ の 申 し 入 れ [ 87 ] お よ び 文 部 科 学 省 へ の 申 し 入 れ を 行 っ て い る [ 88 ] 。
近畿大学 ボクシング部の29歳の男性監督が、特定の女子部員に対し、性的行為を求めるなどのセクハラ行為をしていたことが2017年7月に明らかとなり、当該の監督は自宅待機を命じられた[89] 。
千葉大学 は2008年3月17日、女子大学院生にセクハラ行為をしたなどとして、同大大学院融合科学研究科の40代の准教授を同日付で停職12カ月の懲戒処分にしたと発表した。辞職願が提出され31日付で退職。准教授は大学院入試でこの女子院生に不適切な出題も行っていた。同大によると、准教授は昨年6月12日と19日、自宅で女子院生に対し「自分の半年間の恋人になれ」と性的行為を求める発言をした。また、「自分の援助なしでは卒業できない可能性がある」などと力を誇示し、脅迫めいた発言もしていた。
関 西 地 区 の 私 立 大 学 に 所 属 す る 30 歳 代 の 女 性 研 究 者 は 、 2 0 0 9 年 に 東 京 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 の 48 歳 の 男 性 医 師 と 知 り 合 い 、 共 同 研 究 を 行 う よ う に な っ た が 、 こ の 医 師 は 社 会 的 地 位 を 背 景 に 、 女 性 研 究 者 に 暴 力 を 伴 っ た セ ク ハ ラ や パ ワ ハ ラ を 行 う よ う に な り 、 こ れ が 元 で 女 性 研 究 者 は 心 的 外 傷 後 ス ト レ ス 障 害 ( P T S D ) に 陥 っ た 。 女 性 研 究 者 は こ の 講 師 を 相 手 取 り 神 戸 地 方 裁 判 所 に 提 訴 。 男 性 医 師 は ﹁ セ ク ハ ラ で は な い ﹂ と 主 張 し た が 、 2 0 1 5 年 7 月 30 日 に 同 地 裁 は 女 性 研 究 者 の 訴 え を 認 め 、 当 該 の 男 性 医 師 に 計 1 , 1 2 6 万 円 の 支 払 い を 命 じ る 判 決 を 言 い 渡 し た [ 90 ] 。
2015年6月には、外国人研修制度 で日本の茨城県行方市 の農家で働いていた中国人女性が、セクシャルハラスメントを受けた上、残業代も一部のみにとどまっているなどとして、水戸地方裁判所 に当該の農家およびその農家が加盟する受け入れ団体『協同組合つばさ 』に対する訴訟を提起。また、この女性を助けようとして受け入れ団体を解雇されたとして、団体の元職員も訴えを起こしている[92] 。
韓 国 が 主 催 し て い る 世 界 各 国 の 女 性 を 集 め た ミ ス コ ン テ ス ト で あ る ﹁ 2 0 1 1 ミ ス ア ジ ア ・ パ シ フ ィ ッ ク ワ ー ル ド ﹂ に お い て 、 韓 国 人 大 会 関 係 者 が 参 加 し て い る 女 性 達 に 対 し て ﹁ 優 勝 す る た め に 、 ど う す れ ば い い か 分 か る だ ろ う ﹂ な ど 発 言 し た り 、 上 着 を 脱 が そ う と し た り 、 体 に 触 っ て き た り な ど の セ ク ハ ラ 行 為 を お こ な い 、 参 加 女 性 ら が 途 中 で 帰 国 す る 事 件 が 発 生 し た こ と が 中 央 日 報 や B B C 等 に よ り 報 道 さ れ た [ 93 ] [ 94 ] 。 イ ギ リ ス や ガ イ ア ナ の 代 表 女 性 は Y o u T u b e や T w i t t e r に お い て 大 会 主 催 者 へ の 怒 り の 告 白 動 画 を ア ッ プ ロ ー ド し 、 大 会 参 加 へ の 注 意 を 呼 び か け た [ 95 ] [ 96 ] [ 97 ] 。 こ れ に 対 し 、 韓 国 の 大 会 関 係 者 は セ ク ハ ラ の 訴 え を 否 定 し 、 ﹁ 韓 国 式 挨 拶 を 誤 解 さ れ た ﹂ と 釈 明 し た 。
2 0 1 4 年 に は 、 ﹁ ミ ス ア ジ ア ・ パ シ フ ィ ッ ク ワ ー ル ド ﹂ で 優 勝 し た ミ ャ ン マ ー の 女 性 が 優 勝 後 に ﹁ ア ル バ ム 発 売 の 資 金 集 め の た め に 財 界 の 大 物 を 接 待 す る よ う に 求 め ら れ た ﹂ ﹁ 頭 か ら つ ま 先 ま で 整 形 手 術 を 受 け る よ う 圧 力 を か け ら れ た ﹂ と 告 白 し た 。 ま た 、 コ ン テ ス ト の 主 催 者 か ら は 実 際 に は 16 歳 の 年 齢 を ﹁ 18 歳 ﹂ と 偽 る よ う 求 め ら れ た こ と も 明 か し ﹁ ︵ こ れ に つ い て は ︶ 抗 議 し な か っ た こ と を 後 悔 し て い る ﹂ と 語 っ た [ 98 ] 。
2 0 0 9 年 、 韓 国 人 女 優 の チ ャ ン ・ ジ ャ ヨ ン が 自 殺 。 そ の 後 、 ﹁ 31 人 に 1 0 0 回 以 上 性 的 接 待 を 強 要 さ れ た ﹂ と 書 か れ た 手 紙 が 発 見 さ れ た 。 当 初 警 察 は 筆 跡 鑑 定 か ら 本 人 の も の と 断 定 し て い た が 、 後 に 国 立 科 学 捜 査 研 究 員 の 鑑 定 に よ る と 別 人 の も の と さ れ た 。 チ ャ ン に 性 的 強 要 を し た と さ れ る 捜 査 対 象 者 20 名 が い た が 、 性 的 強 要 の よ う な 行 為 は 特 別 な 問 題 意 識 な し に 慣 行 的 な 行 為 ︵ い つ も よ く あ る こ と で 誰 の 事 や ら い つ の こ と や ら 解 ら な い 行 為 ︶ で 当 事 者 ら の 記 憶 が 薄 れ て お り 証 拠 が な い と し て 全 員 不 起 訴 と な っ た [ 1 0 4 ] 。 2 0 1 8 年 、 # M e T o o 運 動 が 盛 り 上 が る 中 、 チ ャ ン ・ ジ ャ ヨ ン 自 殺 事 件 の 再 捜 査 ・ 真 相 解 明 を 求 め る 国 民 の 声 が 高 ま り 、 2 0 1 8 年 6 月 26 日 、 元 朝 鮮 日 報 記 者 の チ ョ 某 容 疑 者 が 強 制 わ い せ つ 罪 で 在 宅 起 訴 さ れ た [ 1 0 5 ] [ 1 0 6 ] [ 1 0 7 ] 。
2010年 、当時未成年であったモデル のチェ・ウンジョン に対し、所属事務所の代表が胸を触り、ホテルへ誘うなどのセクハラ行為をしたとして起訴され有罪判決を受けている[108] 。
日本放送協会 (NHK) において、2016年 及び2017年 の紅白歌合戦 の責任者を務めていたNHK制作局エンターテインメント番組部元部長の50歳代の男性職員が、女性職員にセクシャルハラスメントをしたとして。8月に停職 3ヵ月の処分を受けていたことが判明[110] 。
大阪府 内の市 (市名は未公表)に勤務していた女性職員が、退職後に男性上司からセクハラ被害を受けていたことが判明。市ではこの女性職員を無試験で新規採用すると共に、該当の男性上司を懲戒処分にするとしている[111] 。
2 0 2 2 年 6 月 に 元 自 衛 隊 員 の 女 性 が セ ク ハ ラ 被 害 を 告 白 し 、 防 衛 省 が 特 別 防 衛 監 察 を 実 施 す る こ と に な っ た 。 こ の 他 に も セ ク ハ ラ 事 件 は 多 発 し て お り 、 主 要 な 事 例 と し て 2 0 0 6 年 や 2 0 0 8 年 、 2 0 1 3 年 の も の が あ る 。
DAYS JAPAN の経営者であり著名なフォトジャーナリストであった広河隆一 は、DAYS JAPANを経営していたほぼ全期間に渡って、同社社員・アルバイト・ボランティア等の関係者に対してその地位を利用して、性交の強要、性的身体的接触、裸の写真の撮影、ホテルへ誘うなどのセクハラ行為を行っていた[113] 。