「外国人指紋押捺拒否事件」を編集中
最新版 | 編集中の文章 | ||
17行目: | 17行目: | ||
==概要== |
==概要== |
||
[[1981年]]11月に[[日系アメリカ人]]宣教師が新規の外国人登録申請を行った際に外国人登録原票、登録証明書及び指紋原紙2葉に指紋の押捺をしなかったため、[[外国人登録法]]違反で起訴された{{Sfnp|長谷部恭男|石川健治 |
[[1981年]]11月に[[日系アメリカ人]]宣教師が新規の外国人登録申請を行った際に外国人登録原票、登録証明書及び指紋原紙2葉に指紋の押捺をしなかったため、[[外国人登録法]]違反で起訴された{{Sfnp|高橋和之|長谷部恭男|石川健治|2019|p=6}}。
|
||
裁判では被告は外国人指紋押捺制度は[[日本国憲法第13条]]や[[日本国憲法第14条]]に違反すると主張したが、[[1986年]][[4月24日]]に[[神戸地裁]]は外国人指紋押捺制度を合憲とした上で被告に罰金1万円を言い渡した{{Sfnp|長谷部恭男|石川健治 |
裁判では被告は外国人指紋押捺制度は[[日本国憲法第13条]]や[[日本国憲法第14条]]に違反すると主張したが、[[1986年]][[4月24日]]に[[神戸地裁]]は外国人指紋押捺制度を合憲とした上で被告に罰金1万円を言い渡した{{Sfnp|高橋和之|長谷部恭男|石川健治|2019|p=6}}<ref>{{Cite news|和書|title=指紋押捺拒否裁判、神戸でも有罪|newspaper=[[朝日新聞]]|publisher=[[朝日新聞社]]|date=1986-04-24}}</ref>。[[1990年]][[6月19日]]に[[大阪高裁]]は控訴を棄却した{{Sfnp|高橋和之|長谷部恭男|石川健治|2019|p=6}}。被告は上告した{{Sfnp|高橋和之|長谷部恭男|石川健治|2019|p=6}}。
|
||
[[1995年]][[12月15日]]に[[最高裁]]は以下の判旨によって上告を棄却した{{Sfnp|長谷部恭男|石川健治 |
[[1995年]][[12月15日]]に[[最高裁]]は以下の判旨によって上告を棄却した{{Sfnp|高橋和之|長谷部恭男|石川健治|2019|p=6}}<ref>{{Cite news|和書|title=﹁指紋押捺制﹂合憲の初判断 ﹁特定に最も確実﹂/最高裁|newspaper=朝日新聞|publisher=朝日新聞社|date=1995-12-16}}</ref>。
|
||
*指紋は、指先の紋様であり、それ自体では個人の私生活や人格、思想、信条、良心等個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上万人不同性、終生不変性をもつので、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性があり、指紋押捺制度は国民の私生活上の自由と密接な関連をもつ。
|
*指紋は、指先の紋様であり、それ自体では個人の私生活や人格、思想、信条、良心等個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上万人不同性、終生不変性をもつので、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性があり、指紋押捺制度は国民の私生活上の自由と密接な関連をもつ。
|
||
*日本国憲法第13条によって、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは許されず、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由は日本に在留する外国人にも等しく及ぶと解されるが、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受ける。
|
*日本国憲法第13条によって、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押捺を強制することは許されず、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由は日本に在留する外国人にも等しく及ぶと解されるが、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受ける。
|
||
27行目: | 27行目: | ||
*外国人指紋押捺制度は目的、必要性、相当性が認められ、戸籍制度のない外国人については、日本人とは社会的事実関係上の差異があって、その取扱いの差異には合理的根拠があるので、日本国憲法第14条に違反するものではない。
|
*外国人指紋押捺制度は目的、必要性、相当性が認められ、戸籍制度のない外国人については、日本人とは社会的事実関係上の差異があって、その取扱いの差異には合理的根拠があるので、日本国憲法第14条に違反するものではない。
|
||
*指紋はそれ自体では思想、良心等個人の内心に関する情報となるものではないし、外国人指紋押捺制度の目的も外国人の思想、良心の自由を害するものとは認められない。 |
*指紋はそれ自体では思想、良心等個人の内心に関する情報となるものではないし、外国人指紋押捺制度の目的も外国人の思想、良心の自由を害するものとは認められない。 |
||
外国人指紋押捺制度については下級審で多くの判決が出ていたが、[[1987年]]の法改正で不処罰となった2回目以降の指紋押捺に関する事件で係争中の案件は[[1989年]]に昭和天皇崩御に伴う恩赦によって大赦による[[免訴]]となったことで、大赦の対象とならなかった新規︵第1回目︶の指紋押捺拒否に関する事件として、本件が外国人指紋押捺制度の合憲性について初めて最高裁の見解が示される判決となった{{Sfnp|長谷部恭男|石川健治 |
外国人指紋押捺制度については下級審で多くの判決が出ていたが、[[1987年]]の法改正で不処罰となった2回目以降の指紋押捺に関する事件で係争中の案件は[[1989年]]に昭和天皇崩御に伴う恩赦によって大赦による[[免訴]]となったことで、大赦の対象とならなかった新規︵第1回目︶の指紋押捺拒否に関する事件として、本件が外国人指紋押捺制度の合憲性について初めて最高裁の見解が示される判決となった{{Sfnp|高橋和之|長谷部恭男|石川健治|2019|p=6}}。
|
||
== 脚注 == |
== 脚注 == |
||
34行目: | 34行目: | ||
== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
||
{{脚注の不足|section=1|date=2024年5月10日 (金) 18:57 (UTC)}} |
|||
* {{Cite book|和書|editor=山中永之佑|editor2=高田敏|editor3=奥正嗣|editor4=三吉修|editor-link=山中永之佑|editor2-link=高田敏|title=資料で考える憲法|edition=第2版|publisher=[[法律文化社]]|date=2001-05|id={{全国書誌番号|20174018}}|isbn=4-589-02496-9|ncid=BA52032003|oclc=675166201|asin=4589024969|ref=harv}} |
* {{Cite book|和書|editor=山中永之佑|editor2=高田敏|editor3=奥正嗣|editor4=三吉修|editor-link=山中永之佑|editor2-link=高田敏|title=資料で考える憲法|edition=第2版|publisher=[[法律文化社]]|date=2001-05|id={{全国書誌番号|20174018}}|isbn=4-589-02496-9|ncid=BA52032003|oclc=675166201|asin=4589024969|ref=harv}} |
||
* {{Cite book|和書|editor1-link=高橋和之 (憲法学者)|editor1=高橋和之|editor2=長谷部恭男|editor3=石川健治|editor2-link=長谷部恭男|editor3-link=石川健治|title=憲法判例百選|volume=2|edition=第5版|publisher=[[有斐閣]]|series=別冊[[ジュリスト]]|date=2007-03-23|isbn=978-4-641-11487-6|ncid=BA80885139|oclc= |
* {{Cite book|和書|editor1-link=高橋和之 (憲法学者)|editor1=高橋和之|editor2=長谷部恭男|editor3=石川健治|editor2-link=長谷部恭男|editor3-link=石川健治|title=憲法判例百選|volume=2|edition=第5版|publisher=[[有斐閣]]|series=別冊[[ジュリスト]]|date=2007-03-23|isbn=978-4-641-11487-6|ncid=BA80885139|oclc=835859643|asin=4641114870|ref=harv}} |
||
*{{Cite book|和書|editor1=長谷部恭男|editor2=石川健治|editor3=宍戸常寿|editor3-link=宍戸常寿|title=憲法判例百選 |
*{{Cite book|和書|editor1=長谷部恭男|editor2=石川健治|editor3=宍戸常寿|editor1-link=長谷部恭男|editor2-link=石川健治|editor3-link=宍戸常寿|title=憲法判例百選I|edition=第7版|publisher=[[有斐閣]]|series=別冊[[ジュリスト]]|date=2019-11-29|isbn=978-4-641-11545-3|ncid=BB29262076|oclc=1130124702|asin=4641115451|ref=harv}} |
||
== 関連項目 == |
== 関連項目 == |