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{{Otheruses|自然言語に見られる規則性|[[ウージェーヌ・ラビッシュ]]の戯曲|文法 (戯曲)}}

{{出典の明記|date=2012-1}}

{{出典の明記|date=2012-1}}[[自然言語]]の'''文法'''︵ぶんぽう、grammar︶とは、[[言語]]の[[体系]]、およびその[[モデル (自然科学)|モデル]]、およびそれをもとにした、ある[[個別言語]]の話し手が従うべき[[規範]]である。

{{言語学}}

'''文法'''︵ぶんぽう、{{lang-en-short|grammar}}︶とは、[[言語]]の体系、およびその[[モデル (自然科学)|モデル]]、およびそれをもとにした、ある[[個別言語]]の話し手が従うべき[[規範]]である。この記事ではもっぱら[[自然言語]]の文法について扱う。[[形式言語]]の文法については[[形式文法]]の記事を参照のこと。なお、﹁文法論︵grammar︶﹂という語が指すものと﹁[[統語論]]︵syntax、分野等によっては構文論とも︶﹂という語が指すものが同一のものであるとして扱われている場合もあるが、ここでは別とする。


== 概要 ==

== 概要 ==

言語の体系性は、伝統的に規則として捉えられてきた。ある個別言語の規則を、その言語の話し手の従うべき規範として述べたものが[[規範文法]] (prescriptive grammar) である。これは、[[言語政策]]や[[言語教育]]における基準となることを目的としている。

言語の体系性は、伝統的に[[規則]]として捉えられてきた。ある個別言語の規則を、その言語の話し手の従うべき規範として述べたものが規範文法 (prescriptive grammar) である。これは、[[言語政策]]や[[言語教育]]における基準となることを目的としている。



文法研究は規範文法を作ることから始まったが、規範文法はその性質上、ある規則を﹁正しい﹂ものとして採用する一方で、それに反する使い方を﹁乱れた﹂﹁間違った﹂ものとして文法から排除した。しかし、[[言語学]]はそのような﹁乱れた﹂言葉遣いに見られる規則性をも文法に取り込みたいと考え、ある言語の体系性を価値判断を伴わずに記述することを目指した。これが[[記述文法]] (descriptive grammar) である。

文法研究は規範文法を作ることから始まったが、規範文法はその性質上、ある規則を﹁正しい﹂ものとして採用する一方で、それに反する使い方を﹁乱れた﹂﹁間違った﹂ものとして文法から排除した。しかし、[[言語学]]はそのような﹁乱れた﹂言葉遣いに見られる規則性をも文法に取り込みたいと考え、ある言語の体系性を価値判断を伴わずに記述することを目指した。これが[[記述文法]] (descriptive grammar) である。
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生成文法では、広義の文法は言語能力であると考え、音声や意味から独立した自律的な構造を想定し、それを特に文法と呼んでいる。一方認知文法を始めとする[[認知言語学]]的アプローチでは、文法は音声形式と意味の対からなる[[記号]]の体系であると考え、言語運用によって形作られる動的な体系であるとしている。

生成文法では、広義の文法は言語能力であると考え、音声や意味から独立した自律的な構造を想定し、それを特に文法と呼んでいる。一方認知文法を始めとする[[認知言語学]]的アプローチでは、文法は音声形式と意味の対からなる[[記号]]の体系であると考え、言語運用によって形作られる動的な体系であるとしている。



文法は普通、言語の音︵[[手話]]の場合手指動作とNMS︶の仕組みを扱う[[音韻論]]、語の構造を扱う[[形態論]]、文の構造を扱う[[統語論]]、語や文の意味を扱う[[意味論]]、文の意味と場面の関わりを扱う[[語用論]]など階層ごとに論じられる。

文法は普通、言語の音︵手話の場合手指動作とNMS︶の仕組みを扱う[[音韻論]]、語の構造を扱う[[形態論]]、文の構造を扱う[[統語論]]、語や文の意味を扱う[[意味論 (言語学)|意味論]]、文の意味と場面の関わりを扱う[[語用論]]など階層ごとに論じられる。


== 文法範疇 ==

== 文法範疇 ==

{{文法カテゴリー}}

{{main|文法範疇}}

{{main|文法範疇}}

必ず文法的に表される要素を文法範疇という。以下のような文法範疇が多くの言語で見られる。

必ず文法的に表される要素を文法範疇という。以下のような文法範疇が多くの言語で見られる。
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* [[数 (文法)|数]]

* [[数 (文法)|数]]

* [[極性 (言語学)|極性]]（ポラリティ）

* [[極性 (言語学)|極性]]（ポラリティ）

* [[態]]（ボイス）

* [[態]]（ヴォイス）

* [[時制]]（テンス）

* [[時制]]（テンス）

* [[相 (文法)|相]]（アスペクト）

* [[相 (文法)|相]]（アスペクト）

* [[法 (文法)|法]]（ムード、モダリティ）

* [[法 (文法)|法]]（ムード、モダリティ）



[[日本語]]、[[朝鮮語]]、[[ジャワ語]]、[[タイ語]]、[[クメール語]]などの特定の言語では、[[待遇表現]]の一部が体系化し、文法カテゴリーを成している。そのような[[文法化]]した[[待遇表現]]には、[[敬語]]が含まれる。

[[日本語]]、[[朝鮮語]]、[[ジャワ語]]、[[タイ語]]、[[クメール語]]などの特定の言語では、[[待遇表現]]の一部が体系化し、文法カテゴリーを成している。そのような[[文法化]]した待遇表現には、[[敬語]]が含まれる。


== 品詞 ==

== 品詞 ==

{{main|品詞}}

{{main|品詞}}

一般に認められる[[品詞]]を以下に示す。

一般に認められる品詞を以下に示す。

{{Div col|cols=2}}

* [[名詞]]

* [[名詞]]

* [[動詞]]

* [[動詞]]
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* [[接続詞]]

* [[接続詞]]

* [[副詞]]

* [[副詞]]

** [[関係副詞]]

** 関係副詞

** [[疑問副詞]]

** 疑問副詞

* [[連体詞]]

* [[連体詞]]

* [[助詞]]

* [[助詞]]

* [[助動詞 (言語学)|助動詞]]

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* [[限定詞]]

** [[冠詞]]

** [[冠詞]]

*** [[定冠詞]]

*** 定冠詞

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* [[代名詞]]

* [[代名詞]]

** [[人称代名詞]]

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** [[指示代名詞]]

** 指示代名詞

** [[関係代名詞]]

** 関係代名詞

** [[疑問代名詞]]

** 疑問代名詞

* [[数詞]]

* [[数詞]]

* [[接置詞]]

* [[接置詞]]{{Div col end}}


== 文の成分（文要素） ==

== 文の成分（文要素） ==
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== 語形態 ==

== 語形態 ==

[[形態論]]上、語彙的な[[形態素]]を[[語幹]]といい、文法的な形態素を[[接辞]]という。接辞には[[語幹|根]]につけられる場所によって[[接頭辞]]・[[接中辞]]・[[接尾辞]]の分類がある。また機能によって[[品詞]]や語意を変える[[派生接辞]]と文法的意味を変える[[屈折接辞]]に分けられる。

[[形態論]]上、語彙的な[[形態素]]を[[語幹]]といい、文法的な形態素を[[接辞]]という。接辞には根につけられる場所によって[[接頭辞]]・[[接中辞]]・[[接尾辞]]の分類がある。また機能によって[[品詞]]や語意を変える[[派生接辞]]と文法的意味を変える[[屈折接辞]]に分けられる。


文法カテゴリーに応じて語の形態を変化させることを[[語形変化]](インフレクション）という（[[屈折]]や[[活用]]も同じ）。語形の変化しない部分を[[語幹]]、変化する部分を[[語尾]]（[[活用語尾]]）という。

[[文法カテゴリー]]に応じて語の形態を変化させることを[[語形変化]]（インフレクション）という（屈折や[[活用]]も同じ）。語形の変化しない部分を[[語幹]]、変化する部分を[[語尾]]（活用語尾）という。


; [[活用]]（コンジュゲーション）

; [[活用]]（コンジュゲーション）

: [[動詞]]などの[[人称]]・[[数 (文法)|数]]・[[態]]・[[時制]]・[[相 (文法)|相]]・[[法 (文法)|法]]などによる語形変化。

: [[動詞]]などの[[人称]]・[[数 (文法)|数]]・[[態]]・[[時制]]・[[相 (文法)|相]]・[[法 (文法)|法]]などによる語形変化。

; [[ディクレンション]]

; [[曲用]]（ディクレンション）

: [[名詞]]などの[[性 (文法)|性]]・[[数 (文法)|数]]・[[格]]などによる語形変化。

: [[名詞]]などの[[性 (文法)|性]]・[[数 (文法)|数]]・[[格]]などによる語形変化。


== 関連項目 ==

== 関連項目 ==

{{wiktionary}}

{{wiktionary}}{{Div col|cols=2}}

* [[文法学]]

* [[文法学]]

* [[文法理論]]

* [[文法理論]]

* '''四大文法'''（[[学校文法|橋本文法]]、[[時枝文法]]、[[山田文法]]、[[松下文法]]）

* '''四大文法''' (日本語) -- [[山田文法]]・[[松下文法]]・[[橋本文法]]・[[時枝文法]]

* [[現代日本語文法]]

* [[現代日本語文法]]

* [[学校文法]]

* [[規範文法]]

* [[規範文法]]

* [[伝統文法]]

* [[伝統文法]]

* [[機能文法]]

* [[機能文法]]

* [[実用文法]]

* [[実用文法]]

* [[一般文法]]

* [[一般文法]]

* [[認知文法]]

* [[認知文法]]
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* [[説明文法]]

* [[説明文法]]

* [[普遍文法]]

* [[普遍文法]]

* [[派生文法]]

* [[教科文法]]

* [[教科文法]]

* [[歴史文法]]

* [[歴史文法]]

* [[比較文法]]

* [[比較文法]]

* [[構造主義文法]]

* [[句構造文法]]

* [[句構造文法]]

* [[口語文法]]

* [[口語文法]]

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* [[格文法]]

* [[格文法]]

* [[解釈文法]]

* [[解釈文法]]

* [[談話文法]]

* [[関係文法]]

* [[関係文法]]

* [[読解文法]]

* [[読解文法]]

* [[表現文法]]

* [[表現文法]]

* [[語文法]]

* [[語文法]]

* [[談話文法]]

* [[形式文法]]

* [[変形生成文法]]

* [[変形生成文法]]

* [[方言文法]]

* [[方言文法]]
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* [[古典文法]]

* [[古典文法]]

* [[依存文法]]

* [[依存文法]]

* [[心的文法]]

* [[ノーム・チョムスキー]]

* [[ノーム・チョムスキー]]

* [[品詞]]

* [[品詞]]
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* [[プログラミング言語]]

* [[プログラミング言語]]

* [[懸垂修飾語]]

* [[懸垂修飾語]]

* ウージェーヌ・ラビッシュの同名戯曲→[[文法（戯曲）]]を参照。

* [[文法 (戯曲)]] - ウージェーヌ・ラビッシュの戯曲

* [[エスペラント]] － [[世界]]一、文法が簡単な[[言語]]として有名︵基本的な文法項目は16ヶ条しかない。﹃[[ギネス・ワールド・レコーズ]]﹄にも、﹁世界一[[不規則動詞]]が少ない言語﹂︷全く無い︸として掲載されていた事がある︷[[不規則動詞]]だけではなく、一切の不規則・例外が無い︸︶。

* [[エスペラント]] - 世界一、文法が簡単な言語と言われる（基本的な文法項目は16ヶ条しかない。[[不規則動詞]]がないため、『[[ギネス・ワールド・レコーズ]]』に「世界一不規則動詞が少ない言語」として掲載されていた事がある）{{Div col end}}

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== 脚注 ==

{{脚注ヘルプ}}

=== 注釈 ===

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=== 出典 ===

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== 外部リンク ==

* {{Kotobank}}

* {{Kotobank|文法論}}

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{{DEFAULTSORT:ふんほう}}

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[[Category:文法|*]]

[[Category:文法|*]]

[[Category:文|*ふんほう]]

[[Category:文|*ふんほう]]

[[Category:言語教育]]

[[Category:言語教育]]

[[af:Grammatika]]

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[[ar:قواعد لغة]]

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[[ast:Gramática]]

[[az:Qrammatika]]

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[[be:Граматыка]]

[[be-x-old:Граматыка]]

[[bg:Граматика]]

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[[bo:བརྡ་སྤྲོད་ཀྱི་གཞུང་།]]

[[br:Yezhadur]]

[[bs:Gramatika]]

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[[cv:Грамматика]]

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[[da:Grammatik]]

[[de:Grammatik]]

[[el:Γραμματική]]

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[[eo:Gramatiko]]

[[es:Gramática]]

[[et:Grammatika]]

[[eu:Gramatika]]

[[ext:Gramática]]

[[fa:دستور زبان]]

[[fi:Kielioppi]]

[[fo:Mállæra]]

[[fr:Grammaire]]

[[fy:Grammatika]]

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[[gd:Gràmar]]

[[gl:Gramática]]

[[got:𐌼𐌰𐌸𐌻𐌰𐌺𐌿𐌽𐌸𐌹]]

[[gv:Grammeydys]]

[[he:דקדוק]]

[[hi:व्याकरण]]

[[hif:Vyakaran]]

[[hr:Gramatika]]

[[hu:Nyelvtan]]

[[hy:Քերականություն]]

[[ia:Grammatica]]

[[id:Tata bahasa]]

[[io:Gramatiko]]

[[is:Málfræði]]

[[it:Grammatica]]

[[jbo:gerna]]

[[ka:გრამატიკა]]

[[kaa:Grammatika]]

[[kk:Грамматика]]

[[km:វេយ្យាករណ៍]]

[[kn:ವ್ಯಾಕರಣ]]

[[ko:문법]]

[[koi:Грамматика]]

[[krc:Грамматика]]

[[ku:Rêziman]]

[[la:Grammatica]]

[[lad:Gramatika]]

[[lt:Gramatika]]

[[lv:Gramatika]]

[[mhr:Йылмылончыш]]

[[mk:Граматика]]

[[ml:വ്യാകരണം]]

[[mr:व्याकरण]]

[[ms:Tatabahasa]]

[[mwl:Gramática]]

[[myv:Грамматика]]

[[nds:Grammatik]]

[[new:व्याकरण]]

[[nl:Grammatica]]

[[nn:Grammatikk]]

[[no:Grammatikk]]

[[nov:Gramatike]]

[[oc:Gramatica]]

[[os:Грамматикæ]]

[[pa:ਵਿਆਕਰਣ]]

[[pag:Grammar]]

[[pl:Gramatyka]]

[[pnb:گریمر]]

[[pnt:Γραμματική]]

[[pt:Gramática]]

[[qu:Simi kamachiy]]

[[ro:Gramatică]]

[[ru:Грамматика]]

[[rue:Ґраматіка]]

[[rw:Ikibonezamvugo]]

[[sa:व्याकरणम्]]

[[sah:Грамматика]]

[[sco:Grammar]]

[[sh:Gramatika]]

[[si:ව්‍යාකරණ]]

[[simple:Grammar]]

[[sk:Gramatika (jazykoveda)]]

[[sl:Slovnica]]

[[sq:Gramatika]]

[[sr:Граматика]]

[[sv:Grammatik]]

[[sw:Sarufi]]

[[ta:இலக்கணம் (மொழியியல்)]]

[[th:ไวยากรณ์]]

[[tl:Balarila]]

[[tpi:Grama]]

[[tr:Dil bilgisi]]

[[uk:Граматика]]

[[ur:قواعدِ زبان]]

[[vi:Ngữ pháp]]

[[wa:Croejhete (linwince)]]

[[war:Gramatika]]

[[xmf:გრამატიკა]]

[[yi:גראמאטיק]]

[[zea:Grammaotica]]

[[zh:语法]]

[[zh-classical:語法]]

[[zh-yue:文法]]

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言語学
世界の言語分布図
世界の言語分布図
基礎分野
言語の変化と変異
理論
応用分野
関連項目

文法︵ぶんぽう、英: grammar︶とは、言語の体系、およびそのモデル、およびそれをもとにした、ある個別言語の話し手が従うべき規範である。この記事ではもっぱら自然言語の文法について扱う。形式言語の文法については形式文法の記事を参照のこと。なお、﹁文法論︵grammar︶﹂という語が指すものと﹁統語論︵syntax、分野等によっては構文論とも︶﹂という語が指すものが同一のものであるとして扱われている場合もあるが、ここでは別とする。

概要[編集]


言語の体系性は、伝統的に規則として捉えられてきた。ある個別言語の規則を、その言語の話し手の従うべき規範として述べたものが規範文法 (prescriptive grammar) である。これは、言語政策や言語教育における基準となることを目的としている。

文法研究は規範文法を作ることから始まったが、規範文法はその性質上、ある規則を﹁正しい﹂ものとして採用する一方で、それに反する使い方を﹁乱れた﹂﹁間違った﹂ものとして文法から排除した。しかし、言語学はそのような﹁乱れた﹂言葉遣いに見られる規則性をも文法に取り込みたいと考え、ある言語の体系性を価値判断を伴わずに記述することを目指した。これが記述文法 (descriptive grammar) である。

また、個別言語の記述を超えて、言語の文法一般に見られる体系性を捉える理論も文法と呼ばれ、生成文法や認知文法を始め多くの文法理論が登場した。

生成文法では、広義の文法は言語能力であると考え、音声や意味から独立した自律的な構造を想定し、それを特に文法と呼んでいる。一方認知文法を始めとする認知言語学的アプローチでは、文法は音声形式と意味の対からなる記号の体系であると考え、言語運用によって形作られる動的な体系であるとしている。

文法は普通、言語の音︵手話の場合手指動作とNMS︶の仕組みを扱う音韻論、語の構造を扱う形態論、文の構造を扱う統語論、語や文の意味を扱う意味論、文の意味と場面の関わりを扱う語用論など階層ごとに論じられる。

文法範疇[編集]

文法範疇
 
典型的には形態統語的な範疇
典型的には形態意味的な範疇
形態意味的な範疇
詳細は「文法範疇」を参照

必ず文法的に表される要素を文法範疇という。以下のような文法範疇が多くの言語で見られる。

●格
●定性
●人称
●数
●極性︵ポラリティ︶
●態︵ヴォイス︶
●時制︵テンス︶
●相︵アスペクト︶
●法︵ムード、モダリティ︶
日本語、朝鮮語、ジャワ語、タイ語、クメール語などの特定の言語では、待遇表現の一部が体系化し、文法カテゴリーを成している。そのような文法化した待遇表現には、敬語が含まれる。

品詞[編集]

詳細は「品詞」を参照

一般に認められる品詞を以下に示す。

文の成分（文要素）[編集]

詳細は「文の成分」を参照

語形態[編集]


形態論上、語彙的な形態素を語幹といい、文法的な形態素を接辞という。接辞には根につけられる場所によって接頭辞・接中辞・接尾辞の分類がある。また機能によって品詞や語意を変える派生接辞と文法的意味を変える屈折接辞に分けられる。

文法カテゴリーに応じて語の形態を変化させることを語形変化︵インフレクション︶という︵屈折や活用も同じ︶。語形の変化しない部分を語幹、変化する部分を語尾︵活用語尾︶という。
活用（コンジュゲーション）
動詞などの人称・数・態・時制・相・法などによる語形変化。
曲用（ディクレンション）
名詞などの性・数・格などによる語形変化。

関連項目[編集]

ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。

文法

外部リンク[編集]

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