ソケットレンチ
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8f/Renchilo_aro.jpg/350px-Renchilo_aro.jpg)
ソケットレンチ︵英語: socket wrench Plug Spanner︶とは、ボルトやナットの頭に嵌めるソケットとそのソケットを回すハンドル類とから成り立っている。場合によってはアクセサリーを組み合わせて使用するレンチの一種。アメリカ人で1920年にスナップオン創業者のジョセフ・ジョンソン (Joseph Johnson) によって﹁少ないツールで多くの作業を﹂という考えのもと発明された。
これとは別に自動車整備などに使用されるソケットとハンドルとが一体となっているレンチは、ボックスレンチと呼ぶ。
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丸形ラチェットハンドル
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だるま形︵小判形︶ラチェットハンドルとソケット
ソケットレンチが開発されるまでは、レンチはソケットとハンドルが一体になったものしか存在せず、作業者は異なるサイズのソケットとハンドル形状のレンチを何本も用意しなければならなかったが、ソケットレンチの登場によって少ない工具で多くの作業状況に対応することができるようになった。スナップオンで最初に発売された商品は、5種類のハンドルと10種類のソケットからなるセット品で、﹁5本で50の仕事をする﹂というキャッチフレーズであった[1]。
当初、ラチェット式のハンドルは無く、1864年に特許登録 (USPTO No. 45334) となっているD. M. Mooreの﹁IMPROVED WRENCH﹂[2]の四角い開口のある﹁ドリル用ラチェット式ハンドル﹂が、現在の凸部のあるソケットレンチ用のラチェットハンドルとして一般に使用されたのは遅く、1930年代である[3]。
歴史[編集]
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差込角[編集]
ソケットとハンドル、アクセサリーを組み合わせるために、ハンドル側に差込角と呼ばれる凸部、ソケット側に凹部が設けられている。使用中のソケット脱落を防ぐため、差込角には一側面に通常裏からスプリングで支持する小さいボールが、ソケット側には凹部内側四面のそれに応じた位置に窪みが設けられている。差込角の種類[編集]
同じ差し込み角であればメーカー間で互換性がある。 ●1/4" (6.35mm) - コンパクトにできるため狭い場所で使用される。 ●3/8" (9.5mm) - エンジン廻りをはじめ乗用車の整備にはこのサイズが主に使用される。 ●1/2" (12.7mm) - 乗用車の足廻りや大型車の整備に使用される。 ●3/4" (19.0mm) - これ以上のサイズは大型機械・建設機械・船舶などの整備で使われる。 ●1" (25.4mm) - これ以上のサイズは遊星歯車機構によるレンチ︵倍力レンチ・パワーレンチなどと通称される︶を介してラチェットハンドルなどで回すか、高圧空気または電動モーターを利用するインパクトレンチを使用し、通常は人の腕の力だけで回して使うことはない。 ●1-1/2" (38.1mm) ●2" (50.8mm) ●2-1/2" (63.5mm)種類[編集]
ソケットもハンドルも各社工夫して製品を製造しており、ここに挙げるものに限定されない。名称も統一されていないので注意が必要である。ソケット[編集]
単にソケットという場合、通常は六角形のボルト・ナットを回すためのものを指す。職人言葉では﹁コマ﹂と呼ぶ。ボルト・ナットの山にかける部分が12角︵12箇所︶のものと、6角︵6箇所︶のものとがある。ボルトのネジ部分が長く飛び出ているナットなどを回す時には、全長の長いディープソケットが使用される。 通常のソケットは、ボルトやナットを回そうとする時、ボルトやナットの6角部の角にトルクをかけて回している。この場合6角部の角とレンチの内面が線で接触するため、力が一部分に集中してボルトやナットの角を傷めやすい。この点を改良したものに面接触理論のソケットが近年注目されている。 面接触のソケットとは、ボルトやナットの6角部の角ではなく、面の部分をレンチの内面がとらえることにより応力の集中を抑えるようにしたものである。1960年代にスナップオンがアメリカの航空機サービスから開発の要請があり、商品化したフランクドライブというものが元祖である[4]。1970年に登録となっている。これによりソケットの角部に応力が集中しなくなり強度が高まり、ねじに対しても角を傷つけず、より確実にトルクを加える作業が出来るようになった。1980年代にスナップオンの特許が切れた事より世界のソケットメーカーが面接触のソケットを製造するようになった。各社名称は、元祖スナップオンのフランクドライブ (FLANK DRIVE) が登録商標[5]となっている事より﹁フラットドライブ (ko-ken)﹂﹁ストロングドライブ (Tone)﹂﹁パワーフィット (KTC)﹂﹁パラボラ (FPC)﹂等と独自の名称を付けている[6]。画像 | 名称 | 説明 |
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ビットソケット | ボルト・ナット用のボックス部のかわりに六角穴付きボルトに使う六角棒スパナのようなビットが打ち込んである。 | |
ユニバーサルソケット | ボックス部とソケット部の間にユニバーサルジョイントが入っているタイプ。アダプターのユニバーサルジョイントより使いやすいが沢山揃えるには高価なので、最もよく使うボルト・ナットのサイズのみを揃えるのが普通。 |
ハンドル[編集]
必要は手段を正当化するとはいえ、腕の力で回らない時にハンドルにパイプをかぶせて長さを延長して使ったり、足で蹴って回すことは正しい使い方ではない。とくにラチェットハンドルには避けた方がいい。
画像 | 名称 | 説明 |
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ラチェットハンドル | ラチェット機構を用いて往復運動のみでボルトの締め・緩めを行うことができるハンドル。ラチェットの向きはレバー等で簡単に切り替えられるようになっている。ソケットに組み合わされるハンドルとして最も一般的。またハンドルの中で最も高価である。ラチェットとギアの入る部分が長円形ないし小判形で小さい切り替えレバーで回転方向を切り替えるタイプと、1970年代にフランスのファコム (FACOM) が最初に開発した丸形で大きなダイヤルで切り替えるタイプがある。前者は一般的に30〜36枚とギア数が少なく、(例外的にスナップオンから80枚の高トルク対応のラチェットハンドルFLF80がある。)後者は60〜72枚とギア数が多いため、狭い場所などでは後者の方が使いやすい反面、耐久性は前者に劣るとされる。
2008年頃から、小判型も丸型ラチェットもラチェットハンドルのギア数は、36枚から72, 80, 88, 100, 144枚と、ますます多くなる傾向(一枚の送り角度が小さくなる)にある。複数枚のギアでトルクを分散して受ける事により耐久性と強度を持たせており、小判型と丸型の従来の差別化した特徴が無くなってきている[7]。 |
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スピンナーハンドル ブレーカーバー フレックスハンドル |
長いハンドルの先に太いピンを介して差込部を連結したもの。連結部を真っ直ぐにしてドライバーのように早回しに使うことも、90度ほど曲げてテコの原理を利用して大きい力をかけることもできる。 |
スライドヘッドハンドル | 短いエクステンションバーの上端に水平方向に貫通した孔があり、そこに長い丸棒を通してある構造。Tハンドル状にし早回しをしたり、Lハンドルのようにして大きい力をかけることができる。 | |
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ドライバーハンドル | ドライバーのような握りの付いたまっすぐで単純なハンドル。1/4"や3/8"などの小さい差込角のソケットに使われる。 |
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T形ハンドル | 長目のまっすぐな軸の、差込角とは反対側の端に丸棒を垂直に固定したもの。差込角側にユニバーサルジョイントを持つもの、T字の横棒部分が折り畳めるものがある。 |
L形ハンドル | L字型の丸棒の両端に差込角を有するハンドル。差込角がL字の短い棒のみにつくものもある。 | |
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トルクレンチ | 締め付けトルク管理や測定時、トルクレンチにソケットを取り付けて使用する。 |
アクセサリー[編集]
ハンドルとソケットの間に入れて使うもの。
画像 | 名称 | 説明 |
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エクステンションバー | ボルトが機械の奥の方にあってハンドルを振るスペースがない場合などに使用する。各種の長さのものがある。 | |
ユニバーサルジョイント | ソケットとハンドルの直結や普通のエクステンションバーを介した状態では回すことのできない狭い場所や障害物のある場合にソケットとハンドルの間に使用する。連結ピンの部分が弱いのであまり大きな力をかけるには向かない。 | |
首振り(ウォブル)ジョイント | ユニバーサルジョイントほど大きい角度には曲がらない。コーケン製品などエクステンションバーの差込角にこの機能を持たせたものもある。 | |
変換アダプター | あまり好ましいことではないが、3/8"のソケットに1/2"のハンドルというように、差込角サイズが異なるハンドル類とソケットを組み合わせて用いる場合に使用する。 | |
スピンナーディスク(クイックスピンナー) | 緩んでいるボルトナットの早回しに使用する。これも1/4"や3/8"などの小さい差込角のソケットによく使われる。 |