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デイヴィッド・ロッジ︵David Lodge, 1935年1月28日 - ︶は、イギリスの作家、英文学者。英文学者の経歴を生かした、学者世界を舞台とした﹁キャンパス・ノヴェル﹂作品で知られる。
ロンドン南東のブロックリー︵Brockley︶で生まれ育つ。最初に発表した小説"The Picturegoers"︵1960年、日本語未訳︶は彼の若い頃の経験をもとにしており、後の小説﹃恋愛療法﹄でも描かれた。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで英文学を学び、1955年に文学士、1959年にMAを得た。バーミンガム大学で博士号を取得し、1960年から1987年まで大学で教えたのち、フルタイムの作家になるために退任した。また同大学で近代英文学の名誉教授の称号を取得し、バーミンガムに居住。彼の執筆活動の文書類は、バーミンガム大学の特別コレクションに収納されている。
1975年発表の﹃交換教授﹄でホーソンデン賞を受賞し、人気作家となった。なお、﹃交換教授﹄﹃小さな世界﹄﹃素敵な仕事﹄は三部作を構成している。
彼の小説においては、しばしば、学者の世界そして人文科学界が題材として扱われている。また、ロッジはカトリックとして育てられたため︵後で自身を﹁不可知論者的なカトリック﹂としているが︶、カトリック性は作品のテーマの1つでもある︵それは、﹃大英博物館が倒れる﹄﹃どこまで行けるか﹄﹃楽園ニュース﹄などにおいて顕著である︶。
彼の小説中に登場する虚構の場所には、"Rummidge"︵バーミンガムにならっている︶という町と、﹁北カリフォルニア﹂と﹁南カリフォルニア﹂の間にある州である"Euphoria"がある。そして、Euphoriaの州立大学は、"Plotinus"市というカリフォルニアのバークレーによく似た町にある。
彼の小説のうち、﹃交換教授﹄﹃素敵な仕事﹄はイギリスでテレビシリーズ化されている。また、﹃素敵な仕事﹄はバーミンガム大学でも撮影が行われた。脚本はロッジ自らが手がけ、ほかにディケンズの﹃マーティン・チャズルウィット﹄の脚本も手がけた。
1998年の新年には、その文学に対する貢献のため大英帝国勲章が与えられた。
著作︵日本語訳︶[編集]
小説ほか[編集]
●﹃大英博物館が倒れる﹄︵白水社、1982年︶ The British Museum Is Falling Down︵1965年︶
●﹃交換教授﹄︵白水社、白水Uブックス 1982年、改訳版2013年︶ Changing Places: A Tale of Two Campuses ︵1975年︶
●﹃どこまで行けるか﹄︵白水社、1984年︶ How Far Can You Go?︵アメリカではSouls and Bodies で発表、1980年︶
●﹃小さな世界 アカデミック・ロマンス﹄︵白水社、1986年、新版2001年9月︶ Small World: An Academic Romance︵1984年︶
●﹃素敵な仕事﹄︵大和書房、1991年︶ Nice Work︵1988年︶
●﹃楽園ニュース﹄︵白水社、1993年︶ Paradise News︵1991年︶
●﹃恋愛療法﹄︵白水社、1997年︶ Therapy︵1995年︶
●﹃胸にこたえる真実﹄︵白水社、2000年︶ Home Truths︵1999年︶
●﹃考える・・・﹄︵白水社、2001年︶ Thinks...︵2001年︶
●﹃作者を出せ!﹄︵白水社、2004年︶ Author, Author︵2004年︶
●﹃ベイツ教授の受難﹄︵白水社、2010年︶
●﹃絶倫の人 小説H・G・ウェルズ﹄︵白水社、2013年︶
●﹃起きようとしない男﹄︵白水社、2017年︶、短編8篇
●﹃作家の運 デイヴィッド・ロッジ自伝﹄︵白水社、2019年︶。※訳者は全て高儀進
文学研究[編集]
●﹃フィクションの言語 イギリス小説の言語分析批評﹄︵笹江修・野谷啓二・西谷拓哉・米本弘一訳、松柏社、1999年︶Language of Fiction︵1966年︶
●﹃バフチン以後 ︿ポリフォニー﹀としての小説﹄︵伊藤誓訳、法政大学出版局・叢書ウニベルシタス、1992年︶After Bakhtin︵1990年︶
●﹃小説の技巧﹄︵柴田元幸・斎藤兆史訳、白水社、1997年︶The Art of Fiction︵1992年︶
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