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御︵お、おん、み、ご︶は、日本語の敬語を作る接頭辞である。仮名表記されることも多い。
お
和語に付く代表的な読みであるが、和語以外に付くことも少なくなく︵例: お食事・お電話・お時間︶、﹁お﹂と後述の﹁ご﹂のどちらも付く場合もある︵例‥お返事⇔ご返事︶。
平安時代までは、ま行音の前にのみ見られた希な形だったが、鎌倉時代から、語幹の頭音に関わらず付くようになった。
女房言葉は﹁お﹂のつく言葉が非常に多い。
おん
平安時代までは、ま行音の前以外では﹁おん﹂︵古い表記では﹁おむ﹂︶という語形が一般的だった。
ご
和語に付く﹁お﹂の代わりに漢語に付く。
和語の形容動詞に付く場合も僅かながらある︵例‥ごゆっくり、ごもっとも︶。
み
他の読みとは若干意味が異なり、神や皇室に関わる場合に使う。
主の祈りに見られるように、キリスト教でも多用される。
もっとも古くからある和語は﹁み﹂である。これに﹁おほ︵大︶﹂が加わった﹁おほみ﹂が摩滅して﹁おおん・おん・お﹂などが生じた。
﹁ご﹂は漢語﹁御﹂の呉音に由来する。﹁御﹂は本来﹁車を走らせる﹂という意味だったが、皇帝に関係する物事に﹁御﹂をつけることで敬意を表すようになった。日本ではより一般的な敬語として使われるようになった。本来の意味では漢音の﹁ぎょ﹂で読むのが普通である。例‥﹁御苑﹂︵ぎょえん︶・﹁御名御璽﹂︵ぎょめいぎょじ︶・﹁太平御覧﹂︵たいへいぎょらん︶。
一般名詞[編集]
一般名詞に付き、尊敬語・丁寧語を作る。
動詞の連用形に付く。ただしサ変動詞に対しては語幹︵﹁する﹂を除いた形︶に付く。
続く語によって敬語の意味が異なり、﹁になる﹂などを伴うと尊敬語、﹁する﹂などを伴うと謙譲語になる。例えば﹁作る﹂に対し﹁お作りになる﹂は尊敬語、﹁お作りする﹂は謙譲語である。
室町時代以降、接頭辞﹁お﹂が付いた女性名が広まった。原則として、仮名で2音の名に﹁お﹂を付け﹁お○○﹂︵表記はさまざま︶の形になる。
﹁於﹂﹁阿﹂と書かれることもあった。﹁阿﹂は本来は﹁お﹂とは読まないが、中国語で愛称を作る人名接頭辞﹁阿﹂に影響されたと見られている[1]。
なお、より古い時代の﹃太平記﹄に﹁御妻︵おさい︶﹂という呼び名が記録されているが、これは地位にちなんだ候名であり、特定の人物を指し示す名ではない[1]。