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風の歌を聴け

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
風の歌を聴け
著者 村上春樹
イラスト 佐々木マキ
発行日 1979年7月23日
発行元 講談社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 202
コード ISBN 4-06-116367-1
ウィキポータル 文学
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テンプレートを表示

  1

︿40︿

1981

概要

[編集]

197942256723[1][ 1]1982712[3]200499[4]

 "Shut a Final Door" Think of nothing things, think of wind[5][6]Happy Birthday and White Christmas[7]

1978291970888261840[ 2]1[ 3]

2005180

2Hear the Wind SingPinball, 19732[8]2015841973Harvill SeckerRandom House Audio[9][10]

201671

執筆の背景

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1978411[11][12]14

1()[13]ABCDEBDCAEDA[14][15]

[16]

表紙

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1960348×260[17][18]

[19]

1984

1970[20]

文学賞選考における評価

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文学賞 結果 選評など
第22回群像新人文学賞
(1979年4月発表)
受賞
  • 全員から支持を得て受賞。特に丸谷才一と吉行淳之介からは高い評価を受けた[注 4]
  • しかし講談社の内部では「こんなちゃらちゃらした小説は文学じゃない」[22]という声があり、出版部長にも受け入れられなかったという。
第81回芥川賞
(1979年7月発表)
候補のみ
  • 丸谷才一の選評。「もしもこれが単なる模倣なら、文章の流れ方がこんなふうに淀みのない調子ではゆかないでせう。それに、作品の柄がわりあひ大きいやうに思ふ」
  • 瀧井孝作の選評。「外国の翻訳小説の読み過ぎで書いたような、ハイカラなバタくさい作だが……。(中略)しかし、異色のある作家のようで、わたしは長い目で見たいと思った」
  • 大江健三郎の選評。「今日のアメリカ小説をたくみに模倣した作品もあったが、それが作者をかれ独自の創造に向けて訓練する、そのような方向付けにないのが、作者自身にも読み手にも無益な試みのように感じられた」
第1回野間文芸新人賞
(1979年12月発表)
候補のみ

あらすじ

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320

1970

[ 5]

沿




登場人物

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194812241949112



9

(1969)"Ratso"(=)((2008)(2014))



(14)



1108



19703退



173

3

32

3

12宿163

NEBDJ

72調[ 6]





[ 7]

登場する文化・風俗

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音楽

「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」 ブルック・ベントンが1970年に歌ったヒット曲。作者はトニー・ジョー・ホワイト。「ポップス・テレフォン・リクエスト」でかかる[24]
「フール・ストップ・ザ・レイン」 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルが1970年1月に発表したシングル曲(Who'll Stop the Rain)。のちにアルバム『コスモズ・ファクトリー』に収録された。「ポップス・テレフォン・リクエスト」でかかる[24]
後述するように『群像』掲載時はローリング・ストーンズの「ブラウン・シュガー」だったが、単行本化の際「フール・ストップ・ザ・レイン」に差し替えられた。
カリフォルニア・ガールズ ザ・ビーチ・ボーイズが1965年に発表した曲。アルバム『サマー・デイズ』からシングル・カットされた。村上が訳した歌詞の一部が本文に登場する[25]
ベートーヴェンピアノ協奏曲第3番 小指のない女の子が勤めるレコード店で登場する。「僕」は差し出されたヴィルヘルム・バックハウスの盤とグレン・グールドの盤からグールドの盤を選ぶ[26]
ナッシュヴィル・スカイライン[注 8] ボブ・ディランが1969年に発表したアルバム。「僕」は電話の受話器から「ナッシュヴィル・スカイライン」が聴こえると書いているが[28]、正確には同アルバムにその名前の曲は収録されていない。2曲目に収録されている「ナッシュヴィル・スカイライン・ラグ」はインストゥルメンタル。
心の届かぬラヴ・レター エルヴィス・プレスリーが1962年に歌った曲。全米チャート2位を記録した。映画『ガール!ガール!ガール!』の挿入歌でもある。村上が訳した歌詞の一部が本文に登場する[29]
エヴリデイ・ピープル[注 9] スライ&ザ・ファミリー・ストーンが1968年に発表した曲。翌年、全米チャート1位となる。ジェイズ・バーのジュークボックスでかかる[31]
ウッドストック ジョニ・ミッチェルの曲。ミッチェルのアルバム『レディズ・オブ・ザ・キャニオン』(1970年4月)とCSN&Yのアルバム『デジャ・ヴ』(1970年3月)にそれぞれ収録される。後者のバージョンはシングルカットされ、同グループの代表曲の一つとなった。ジェイズ・バーのジュークボックスでかかる[31]
スピリット・イン・ザ・スカイ ノーマン・グリーンバウムが1969年に発表した曲。ジェイズ・バーのジュークボックスでかかる[31]
ヘイ・ゼア・ロンリー・ガール エディ・ホールマンが1969年に発表した曲。ルビー&ザ・ロマンティックスが1963年に発表した「ヘイ・ゼア・ロンリー・ボーイ」がオリジナルで、ホールマンのカバー・バージョンがヒットした。ジェイズ・バーのジュークボックスでかかる[31]
くよくよするなよ ボブ・ディランが1963年に発表した曲。同年にピーター・ポール&マリーがカバーしたバージョンがヒットした。
「そんなわけで、僕は時の淀みの中ですぐに眠りこもうとする意識をビールと煙草で蹴とばしながらこの文章を書き続けている。(中略) 今、僕の後ろではあの時代遅れなピーター・ポール&マリーが唄っている。『もう何も考えるな。終わったことじゃないか。』」[32]
グッド・ラック・チャーム エルヴィス・プレスリーが1962年に歌った曲。全米チャート1位を記録した。物語の終盤、「ポップス・テレフォン・リクエスト」でかかる[33]

その他

フィアット・600 1955年から1969年の間に生産されたイタリアの乗用車。鼠の愛車。車体の色は黒[34]
リチャード・バートン イギリスの映画俳優。「僕」と鼠は泥酔して車を石柱にぶつける。「僕たちはフィアットの屋根に並んで腰を下ろしたまま、白み始めた空を見上げ、黙って何本か煙草を吸った。僕は何故かリチャード・バートンの主演した戦車映画を思い出した」とある[35]
なおバートンの主演した戦車映画は『砂漠の鼠』(1953年)と『ロンメル軍団を叩け』(1971年)の2本。本書の設定年が1970年であることから、言及されたのは前者と推測される。
感情教育 ギュスターヴ・フローベールの長編小説。傍に『感情教育』を置いている「僕」に鼠が「何故本ばかり読む?」と問う。「僕」は「フローベルがもう死んじまった人間だからさ」と答える[36]
ギムレット ジンベースのカクテル。グレープフルーツのような乳房をつけ派手なワンピースを着た30歳ばかりの女がジェイズ・バーで飲む酒[37]
ロジェ・ヴァディム フランス出身の映画監督。鼠は「僕」に「『私は貧弱な真実より華麗な虚偽を愛する。』知ってるかい?」と言う。鼠によればこの言葉はヴァディムの言葉だという[38]
ジュール・ミシュレ 19世紀のフランスの歴史家。ミシュレの『魔女』の一節が本文に引用されている。翻訳者(篠田浩一郎)の名前も明記されている[39]
トライアンフTR III トライアンフ・TRは、英国のトライアンフが1953年から1981年まで生産したスポーツカーのシリーズ名。現在の鼠の車[40]
コンボイ サム・ペキンパー監督の1978年の映画。「僕」の妻はペキンパーの映画の中では『コンボイ』が最高だと言う[41]
『尼僧ヨアンナ』 ポーランドの映画監督イェジー・カヴァレロヴィチが1961年に製作した映画。原作はヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチの同名の小説。
「ペキンパー以外の映画では、僕は『灰とダイヤモンド』が好きだし、彼女は『尼僧ヨアンナ』が好きだ」と本文に記されている[41]

『群像』版と単行本と『村上春樹全作品』の本文異同

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1979619791989稿20081

T[2]
『群像』 単行本 『村上春樹全作品1979~1989』
構いませんよ。 構いませんよ。おかげでずいぶん体が軽くなった 同左
僕はジェイを呼んで勘定を払った。 彼女が消えた後も僕の質問は答えのないまま、しばらく空中をさまよっていた。
ビールを半分飲んでからジェイを呼んで勘定を払った。
同左
「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」 同左 「雨のジョージア」[注 10]
ローリング・ストーンズ「ブラウン・シュガー クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、「フール・ストップ・ザ・レイン」 同左
「カリフォルニア・ガール」 カリフォルニア・ガールズ 同左
鼠はガードレールに腰かけてカザンザキスの 同左 鼠はガードレールに腰かけてカザンツァキスの[注 11]
なんとなく損な星まわりらしいな。 なんとなく損な星まわりらしいな。イエス・キリストと同じだ 同左
なし 「ハートフィールド、再び………(あとがきにかえて)」全文 なし

翻訳

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翻訳言語 翻訳者 発行日 発行元
英語 アルフレッド・バーンバウム 1987年2月 講談社英語文庫
テッド・グーセン 2015年8月4日 Harvill Secker
フランス語 Hélène Morita 2016年1月16日 Belfond
ドイツ語 Ursula Gräfe 2015年5月20日 DuMont Buchverlag
イタリア語 Antonietta Pastore 2016年5月24日 Einaudi
スペイン語 Lourdes Porta Fuentes 2015年10月1日 Tusquets Editores
ポルトガル語 Maria João Lourenço 2016年5月31日 Casa das Letras
ノルウェー語 Yngve Johan Larsen 2015年 Pax forlag
ポーランド語 Anna Zielińska-Elliott 2014年5月 Muza
ロシア語 Вадим Смоленский 2002年 Eksmo
中国語 (繁体字) 頼明珠 1992年2月25日 時報文化
中国語 (簡体字) 林少華 2001年8月 上海訳文出版社
韓国語 ユン・ソンウォン[42] 1991年 漢陽出版
金春美(キム・チュンミ) 1991年8月26日 漢陽出版
金蘭周(キム・ナンジュ) 1996年 열림원
インドネシア語 Jonjon Johana 2008年10月 KPG
タイ語 นพดล เวชสวัสดิ์ 2002年12月 สำนักพิมพ์แม่ไก่ขยัน
ハンガリー語 Mayer Ingrid 2016年 Geopen

脚注

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注釈

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(一)^ NEBT[2]

(二)^ 19791989

(三)^ Trilogy of the Rat

(四)^ 197958/[21]

(五)^  

(六)^ [23]

(七)^ 1 

(八)^ 2017CDLP[27]

(九)^ [30]

(十)^ 20049

(11)^ 20049

出典

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(一)^ BOOK

(二)^ ab稿2008144

(三)^ , BOOK

(四)^ BOOK

(五)^  320127137

(六)^  20111344

(七)^ 100 1BOOK

(八)^ 

(九)^ Haruki Murakami's first novel to be retranslated and republished in English. . (201495). http://www.theguardian.com/books/2014/sep/05/haruki-murakami-first-novel-retranslated-english-hear-the-wind-sing 2014918 

(十)^ Hear the Wind Sing by Haruki Murakami - Random House Audio

(11)^ 219

(12)^ 20071045-46

(13)^ 198311 

(14)^  19951215

(15)^ 330?20063141-142

(16)^ 20082201-202

(17)^   西 2016725222-223

(18)^    1989646-47

(19)^  1967-81 - 

(20)^  1967 19842159

(21)^   198591591

(22)^ 108

(23)^ 20036245

(24)^ ab53

(25)^ 59-60

(26)^ 62

(27)^  2  2017224221-222

(28)^ 70

(29)^ 92

(30)^ 3551165

(31)^ abcd95

(32)^ 110

(33)^ 144

(34)^ 18

(35)^ 19

(36)^ 22

(37)^ 45-49

(38)^ 65

(39)^ 82

(40)^ 103

(41)^ ab148

(42)^ 20014

関連項目

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 ()

 - 2006