コンテンツにスキップ

ダンス・ダンス・ダンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダンス・ダンス・ダンス
著者 村上春樹
イラスト 佐々木マキ
発行日 1988年10月13日
発行元 講談社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 346(上巻)
340(下巻)
コード ISBN 4-06-204122-7(上巻)
ISBN 4-06-204123-5(下巻)
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

ダンス・ダンス・ダンス』は、村上春樹の6作目の長編小説。

概要

[編集]

19881013[1]1991123[2]20041015[3]

1973



[ 1][4]




[4]

あらすじ

[編集]

319833稿[ 2]26



13

[6]

登場人物

[編集]











13







1970







(2008)
































登場する文化・風俗

[編集]

音楽

ジェファーソン・エアプレイン 主に1960年代に活躍したアメリカのロックバンド。のちにスターシップへと発展した。本文の中で「死後硬直の死体を思わせるジェファーソン・エアプレイン」と表現される[7][注 3]
「ボーン・トゥー・ルーズ」 レイ・チャールズが1962年に発表した歌。Ted Daffan's Texansの古いカントリーソングのカバー。
「アナウンサーがここでオールディーズを一曲、と言った。レイ・チャールズの『ボーン・トゥー・ルーズ』だった。それは哀しい曲だった。『僕は生まれてからずっと失い続けてきたよ』とレイ・チャールズが歌っていた。『そして僕は今君を失おうとしている』。その唄を聴いていて、僕は本当に哀しくなった」[9]
ジェネシス 英国のロックバンド。ユキのトレーナー・シャツに「GENESIS」というレタリングが入っているのが「僕」の目に入る。「ジェネシス――また下らない名前のバンドだ」と「僕」は思う[10]
「ロカフラ・ベイビー」 エルヴィス・プレスリー主演の映画『ブルーハワイ』(1961年)の挿入歌。「僕」は古代エジプトの水泳教師を描いた映画を想像する。「白い歯を見せてにっこりと笑い、優雅に小便をする。ウクレレをもたらせたらナイルの河岸に立って『ロカフラ・ベイビー』でも歌い出しそうである。こういう役は彼にしかできない」[11]
アル・マルティーノ 米国の歌手・俳優。映画『ゴッドファーザー』のジョニー・フォンテーン役として知られる。
「恐ろしいほどの完璧な暗闇」の中で「僕」は思う。「なんでもいいから音楽が聴きたかった。あまりにも静かすぎるのだ。ミッチ・ミラー合唱団だって我慢する。アンディー・ウィリアムズとアル・マルティーノがデュエットで唄っても我慢する」[12]
トーキング・ヘッズ アメリカ合衆国のロックバンド。本書には2回登場する。
「TALKING HEADS」と書かれたトレーナー・シャツを着たユキを見て「僕」は次のように述べる。「『トーキング・ヘッズ』と僕は思った。悪くないバンド名だった。ケラワックの小説の一節みたいな名前だ。『語りかける頭が俺の隣でビールを飲んでいた。俺はひどく小便がしたかった。小便をしてくるぜとと俺は語りかける頭に言った』 懐かしきケラワック。今はどうしているものか」[13]
「僕」の乗る車でトーキング・ヘッズの1979年のアルバム『フィア・オブ・ミュージック』がかかる。なお村上は「フェア・オブ・ミュージック」と表記している[14]
オール・アローン・アム・アイ ブレンダ・リーが1962年に発表したヒット曲。全米3位を記録した。
「そういえば僕もその頃はロック・レコードを集めていた。45回転のシングル盤を。レイ・チャールズの『旅立てジャック』やら、リッキー・ネルソンの『トラヴェリン・マン』やら、ブレンダ・リーの『オール・アローン・アム・アイ』、そういうのを百枚くらい」[15]
トラヴェリン・マン リッキー・ネルソンが1961年に発表したシングルのA面曲。全米1位を記録した。B面は「ハロー・メリー・ルー」。
歌詞の一部(3行分)が本書で引用されている。「僕は頭の中で試しに『トラヴェリン・マン』の歌詞を思い出して歌ってみた。信じられない話だけれど、まだ歌詞を全部覚えていた。どうしようもない下らない歌詞だったが、歌ってみるとちゃんとすらすら出てきた」[15][注 4]
サマータイム・ブルース エディ・コクランの1958年のヒット曲。全米8位を記録した。カーステレオに入れたテープから流れる[17]
カム・ゴー・ウィズ・ミー ザ・デル・ヴァイキングスの1957年のヒット曲。カー・ステレオから流れる「カム・ゴー・ウィズ・ミー」にあわせて「僕」は一緒に合唱する[18]
シュガー・シャック ジミー・ギルマー&ザ・ファイアボールの1963年のヒット曲。5週連続で全米1位を記録した。レンタカー・オフィスで「僕」が借りたオールディーズのテープに入っており、「僕」は次のように書く。「ジミー・ギルマー『シュガー・シャック』。僕は歯の隙間から口笛を吹いて運転した。道路の左手には真っ白な原野が広がっていた。『ただの小さな木作りのコーヒー・ショップ。エスプレッソが御機嫌にうまいんだ』。良い唄だ。一九六四年」[19]
シャフトのテーマ 映画『黒いジャガー』(原題: Shaft)のテーマ曲。アイザック・ヘイズが作詞作曲し歌唱した。正式の邦題は「黒いジャガーのテーマ」。
「僕はラジオから流れる『シャフトのテーマ』を聴きながら買ってきた野菜をひとつひとつきちんと放送して冷蔵庫にしまった。その男は誰だ? シャフト!」[20]
イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー ボブ・ディランのアルバム『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』(1965年)の収録曲。五反田君が女の子とベッドルームに行ったあとテープから流れる[21]
カウント・ベイシー 米国のジャズ・ピアニスト、バンド・リーダー。本書では2回登場する。「毎日が同じような繰り返しだった。そうこうするうちにエリオットの詩とカウント・ベイシーの演奏で有名な四月がやってきた」「風呂を出ると僕はカリフラワーを茹で、それを食べながらビールを飲み、アーサー・プライソックがカウント・ベイシー・オーケストラをバックに唄うレコードを聴いた。無反省にゴージャスなレコード。十六年前に買った。一九六七年。十六年間聴いている。飽きない」[22]
「カウント・ベイシーの演奏で有名な」とあるのは、ベイシーが1957年にアルバムの中で発表した "April in Paris" のことを指す。
エヴリデイ・ピープル スライ&ザ・ファミリー・ストーンが1968年に発表したシングル曲。翌1969年に全米1位を記録した。曲の歌詞(村上訳)が本文に出てくる。また「僕」は五反田君に向かって同曲の歌詞を引用する[23]
ハングリー・ハート[注 5] ブルース・スプリングスティーンが1980年に発表したシングル曲。ハワイのラジオ局から流れる。以下は「僕」の言葉。「ブルース・スプリングスティーンが『ハングリー・ハート』を歌った。良い歌だ。世界もまだ捨てたものではない。ディスク・ジョッキーもこれは良い歌だと言った」[25]
フランツ・シューベルト
ピアノ三重奏曲第2番 作品100
アイザック・スターンレナード・ローズユージン・イストミンのトリオによる同曲のレコードが登場する。
「僕はずっと昔から、春になるとこのレコードをよく聴いた。春の夜が含むある種の哀しみが、この曲のトーンに呼応しているように僕は感じていた」と「僕」は記す[26]
サマー・イン・ザ・シティ ラヴィン・スプーンフルが1966年に発表した歌。全米1位を記録した。
「僕」はユキの目を見て思う。「その目は僕に夏の光を思わせた。鋭く水中に差し込んで屈曲し輝いて散るあの夏の光」。そしてユキと別れると「僕」は口笛で「サマー・イン・ザ・シティ」を吹きながら車で表参道を通る[27]

その他

キース・ヘリング 1990年に死去した米国の画家。「僕」のハーフコートにはキース・ヘリングのバッジがついている[28]
ダンキンドーナツ 1948年に米国で創業したファーストフードチェーン店。1998年を境に、米軍基地内を除いて日本から姿を消した[注 6]。本書では8回登場する[30][31]
トヨタ・カローラ・
スプリンター
「カローラ・スプリンター」はトヨタ自動車の「スプリンター」シリーズの初代の名称。スプリンターは1968年から2002年まで生産・販売されていた。
北海道の空港のレンタカーオフィスで主人公が借りる車[32]
バージニア・スリム タバコの銘柄の一つ。2010年に「バージニア・エス」と改称した。ユキがバージニア・スリムを吸う仕草を「僕」は次のように表現する。「ナイフで切り取ったような薄い鋭角的な唇にフィルターがそっとくわえられ、火をつけるときに長いまつげが合歓の木の葉のようにゆっくりと美しく伏せられた。額に落ちた細い前髪が彼女の小さな動作にあわせて柔らかく揺れた。完璧だった」[33]
ル・コルビュジェ スイスで生まれフランスで主に活躍した建築家。映画『片想い』の五反田君の部屋にル・コルビュジェの絵がかかっている[20]
パブロ・ピカソ スペイン出身の画家・彫刻家。牧村拓が主人公に向かって「君は俺に何かを連想させる。何だろう?」と問いかけると、「何だろう? ピカソの『オランダ風の花瓶と髭をはやした三人の騎士』だろうか?」と「僕」が自問する場面がある[34]。ピカソにこのような作品は存在しない[注 7]
T・S・エリオット 英国の詩人、文芸批評家。上記の引用部分は、エリオットの長編詩『荒地』の書き出しが「April is the cruellest month」であることにちなんでいる。
三菱・ランサー 三菱自動車工業が生産している自動車の名称。オリジナルのランサーは2010年5月をもって販売終了した。ホノルルのレンタカー屋で「僕」が借りる車[36]
ロバート・フロスト 米国の詩人。ピューリッツァー賞を4度受賞している。
「僕は一度ディック・ノースがロバート・フロストの詩を朗読するのを聞いた。詩の内容まではもちろんわからなかったけれど、なかなか上手い朗読だった。リズムが美しく、情感がこもっていた」[37]
佐藤春夫 近代日本を代表する詩人、小説家のひとり。「佐藤春夫の短編を久し振りにゆっくりと読みかえしてみた。何ということもなく気持ちの良い春の宵だった」という箇所がある[38]
イザベル・アジャーニ フランスの女優。「泉に車を落としたらイザベル・アジャーニみたいな泉の精が出てきた」と「僕」がユキに説明する場面がある[39]
ニキ・ラウダ オーストリア出身のF1レーシングドライバー。1975年1977年1984年のF1チャンピオン。
ドライブ中「Uターンして東京に帰ろう」と言うユキに「僕」はこう答える。「ここは東名高速だよ。たとえニキ・ラウダといえどもここでUターンはできない」[40]
ビョルン・ボルグ 村上は「ビヨン・ボルグ」と表記している。スウェーデン出身の男子プロテニス選手。コート上で常に冷静沈着なことから「アイス・マン」と呼ばれていた。
「真似しないでよ」と言うユキに「僕」は次のように反論する。「真似じゃないよ。それは君自身のこだまだよ。コミュニケーションの欠落を証明するためにビヨン・ボルグが激しく打ち返してるんだ。スマッシュ!」[41]
シェーキーズ 米国発祥のピッツェリアチェーン。物語の終盤、「僕」と五反田君はシェーキーズに入りピザとビールをとる。

翻訳

[編集]
翻訳言語 翻訳者 発行日 発行元
英語 アルフレッド・バーンバウム 1994年1月 講談社インターナショナル
1995年1月31日 Vintage Press
フランス語 Corinne Atlan 1995年8月25日 Seuil
ドイツ語 Sabine Mangold 2002年 DuMont Buchverlag Gmbh
イタリア語 ジョルジョ・アミトラーノ 1998年 Einaudi
スペイン語 Gabriel Álvarez 2012年 Tusquets Editores
カタルーニャ語 Núria Parés, Alexandre Gombau 2012年 Empúries
ポルトガル語 Maria João Lourenço 2007年 Casa das Letras (ポルトガル)
Lica Hashimoto, Neide Hissae Nagae 2005年 Estação Liberdade (ブラジル)
オランダ語 Luk Van Haute 2008年6月 Atlas
デンマーク語 Ib Høy Hansen 1999年 Klim
ノルウェー語 Kari Risvik, Kjell Risvik 1994年 Pax forlag
ポーランド語 Anna Zielińska-Elliott 2005年 Muza
スロバキア語 Lucia Preuss 2006年 Slovart
ハンガリー語 Erdős György 2010年 Geopen Kiadó
セルビア語 Divna Tomić 2005年 Geopoetika
ロシア語 Dmitry Viktorovich Kovalenin 1998年
ウクライナ語 Дзюб Іван Петрович 2006年
ラトビア語 Ingūna Bek̦ere 2008年 Zvaigzne ABC
リトアニア語 Milda Dyke, Irena Jomantienė 2004年 Baltos lankos
エストニア語 Margit Juurikas 2020年 Varrak
ヘブライ語 2010年
中国語 (繁体字) 頼明珠 1996年11月11日 時報文化
葉蕙 1992年
中国語 (簡体字) 林少華 1996年
韓国語 ユ・ユジョン 1989年12月20日 文学思想社
ベトナム語 Trần Vân Anh 2011年 Nhã Nam
タイ語 นพดล เวชสวัสดิ์
アラビア語 أنور الشامي 2011年 المركز الثقافي العربي

英訳版『Dance Dance Dance』は、未成年の飲酒・喫煙のシーンや、文化的に英語圏の人間にはわかりづらい箇所、ボーイ・ジョージに関する描写などが諸々の理由からカットされている。

その他

[編集]

   (MAKIMURA HIRAKU - MURAKAMI HARUKI)[ 8]

[42]

[43]

[44]

[45]

2002229

脚注

[編集]

注釈

[編集]


(一)^ 196410

(二)^ [5]

(三)^ 26[8]

(四)^ [16]

(五)^ B[24]

(六)^ 19989退 [29]

(七)^ [35]

(八)^ 

出典

[編集]


(一)^ BOOK

(二)^ , BOOK

(三)^ BOOK

(四)^ ab19906334

(五)^ 45

(六)^ 

(七)^ 36

(八)^ 20144284

(九)^ 37

(十)^ 72-73

(11)^ 137

(12)^ 144-145

(13)^ 201

(14)^ 312

(15)^ ab203-204

(16)^  34200641517

(17)^ 209

(18)^ 210

(19)^ 211-212

(20)^ ab237

(21)^ 278

(22)^ 291337

(23)^ 3551165

(24)^  2  2017224429

(25)^ 92

(26)^ 161-162

(27)^ 317

(28)^ 61

(29)^ 200141631998914917

(30)^ 110129184

(31)^ 151637156345

(32)^ 207

(33)^ 225

(34)^ 372

(35)^ 78

(36)^ 65

(37)^ 121

(38)^ 161

(39)^ 196

(40)^ 199

(41)^ 251

(42)^ 337

(43)^ 335

(44)^  632006589

(45)^ 282?2000815