GAZOO
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GAZOO︵ガズー︶は、トヨタ自動車が運営するコンシューマー向け情報提供サービス。自動車とITを融合するe-TOYOTA事業のひとつ[1]。ポータルサイト﹁GAZOO.com﹂︵ガズー・ドットコム︶にて自動車関連の総合情報や、電子商取引︵eコマース︶やインターネットコミュニティなどのサービスを提供する。
GAZOO
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GAZOO発足のきっかけはトヨタ自動車前社長である豊田章男が、業務改善支援室の課長として勤務していた1996年に、有志と共に開発した中古車画像システムUVIS (Used car Visual Information System) である[2][3]。豊田らはトヨタ生産方式 (TPS) による販売物流現場の﹁改善﹂に取り組んだが、キャッシュ・フローを高める上で、下取り中古車が売れるまでの日数や中古車展示スペースの限度が課題になっていた。そこで、デジタルカメラで大量の下取り車の画像を撮影し、展示を待たずに店頭で見られるようにした結果、展示スペースはそのままに中古車の販売台数が1.7倍に増加し、再販までのリードタイムは半分に短縮されたという[4]。その後、板金修理情報システムVBS (Virtual Body Shop) や新車情報システムNVIS (New car Visual Information System) 、整備情報システムMVIS (Maintenance Visual Information System) 、下取り査定システムSAGS (Self Appraisal Guide System) 、保険情報システムIVIS (Insurance Visual Information System) などのサービスが追加統合されていく[5]。しかし、当時の社内では﹁インターネットで車は売れない﹂という否定的な意見が強く[6]、トヨタブランドを名乗ることができず、サービスの総称は﹁GAZOO﹂と命名された。﹃画像﹄のローマ字表記﹁GAZO﹂をある時誤って﹁GAZOO﹂と書いてしまったのがきっかけで[7]、﹁画︵GA︶﹂の﹁ZOO=動物園﹂となり、﹁楽しく親しまれるものに﹂という意味も込められた[7]。
1997年10月、トヨタオート室蘭にて画像情報ネットワークシステム﹁Gazoo﹂を初導入[8]。1998年4月より全国の販売店へGazoo端末を展開するとともに、インターネット上に会員制ウェブサイト﹁GAZOO.com﹂をオープンし、パソコンからも検索可能とした[3]。同年11月に会員数15万人を突破した[9]。
1999年12月にはGAZOO.com内にオンラインモール﹁GAZOO商店街﹂をオープンし[3]、﹁BIKE︵オートバイ︶﹂﹁SHOP︵日用雑貨・衣類・家電・食料品︶﹂﹁MEDIA︵CD・DVD・ゲーム︶﹂﹁TRAVEL︵旅行ツアー︶﹂﹁BOOK︵新刊・古本︶﹂﹁LIFE SERVICE︵駐車場・レンタカー・賃貸住宅・国際電話︶﹂などを取り扱うEコマース分野に進出した[10]。1999年末には会員数50万人を突破した[9]。
2000年にはGAZOO事業部︵現‥e-TOYOTA部︶とガズーメディアサービス︵現‥トヨタコネクティッド︶を設立。デジキューブと提携し、Gazoo専用端末をベースにしたマルチメディアキオスク端末﹁E-TOWER[5]﹂を開発。NTTコミュニケーションズおよびコンビニ5社[11] とイープラットを設立し[12]、日本全国のコンビニ、スーパーマーケット、ガソリンスタンドなどにe-TOWERを展開した。
2002年より車向け情報サービスMONET︵モネ︶とGAZOOの技術を融合し、カーテレマティクスサービス﹁G-BOOK﹂を開始[13]。2006年11月のサイトリニューアルでは地図情報やG-BOOK搭載ナビと連携し、会員発信の地域情報を共有する﹁G-BLOG﹂﹁Gazoo mura﹂プロジェクトなどのサービスを追加した[14]。2013年5月のリニューアルではマイクロソフトのWindows Azureをベースにしたプラットフォームを採用し、SNSとの連携やスマートフォン向けアプリ﹁GAZOO Drive﹂の提供を始めた[15]。また、ユーザビリティ改善のため、会員登録をトヨタ系サイト共通のTOYOTA Web Passportに統合した[16]。
GAZOO.comは顧客との﹁コマース・コミュニティ﹂作りを目的としており[17]、﹁トヨタの弱点といわれる20-30歳代の若者層︵インターネットやコンビニをよく利用する︶との関係性を深める﹂﹁約7年といわれる乗り換えサイクル中、修理点検以外では来店する機会の少ないユーザーとの接点を広げる﹂という役割を担っている[18]。トヨタWEBサイト︵www.toyota.jp︶やトヨタ公式サイト︵www.toyota.co.jp︶よりも企業イメージは薄く、カーライフに関連する外部配信のニュースを掲載したり、旧車のデータベースや競合他社の歴史を紹介する独自記事を編集している。過去にはインディーズのヒップホップグループケツメイシをCMに起用してGAZOO会員限定CD﹁こっちおいでGAZOO﹂を販売したり、AV女優の紗倉まなに自動車愛好コラムを依頼するなど[19]、世界的大企業としては意外な企画も行っている。インターネット上で展開されるオウンドメディア︵企業がつくる情報発信媒体︶の先駆けという見方もある[20]。
コンテンツ
[編集]TOYOTA GAZOO Racing
[編集]詳細は「GR (トヨタ自動車)」を参照
トヨタのモータースポーツ総合サイト。”Team GAZOO”と称した社内有志によるレース活動を基点に、モータースポーツを通じて自動車ファンを増やす目的でスタートしたプロジェクト。現在はワークス体制での国際レース活動からローカルの普及活動まで幅広く展開し、市販車のスポーツチューンモデルであるGR(ジーアール)ブランドを発表している。
Gazoo mura
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インターネットと車を通してマチ︵都会︶とムラ︵地域︶の交流を促進し、地域活性化を支援するとともに、カーユーザーに新たな﹁体験型ドライブ﹂を提案する企画。日本各地に開設した﹁ガズームラ﹂の住人がブログで地元の名所や特産品などの情報を発信し、その記事を読んでドライブに訪れるユーザーに各種の体験交流型プログラムを提供する。各地のムラやトヨタ関連施設では広報誌﹁GAZOO muraマガジン﹂を年4回配布する。
2006年12月に3つのムラからスタートし、2011年3月に全国47都道府県の58ムラまで拡大[21]。この時点で﹁ムラブロガー﹂は422名、毎月1,600件の記事が発信され、地域への来訪者は6,500組︵約20,000人︶を超えると推定される[21]。
ガズームラ 加盟市町村
●北海道
●河東郡鹿追町
●広尾郡大樹町
●上川郡下川町
●東北地方
●青森県西津軽郡鰺ヶ沢町
●岩手県遠野市
●宮城県東松島市
●秋田県仙北市
●山形県西置賜郡飯豊町
●福島県喜多方市
●関東地方
●東京都西多摩郡檜原村
●神奈川県足柄上郡山北町
●千葉県南房総市
●埼玉県秩父市
●茨城県常陸太田市
●栃木県那須塩原市
●群馬県利根郡片品村
●山梨県北杜市
●北陸信越地区
●新潟県佐渡市
●長野県飯山市
●長野県飯田市
●富山県南砺市五箇山
●石川県珠洲市
●福井県三方郡美浜町
●東海地方
●愛知県北設楽郡豊根村
●岐阜県郡上市
●静岡県静岡市葵区梅ヶ島
●三重県多気郡大台町
●近畿地方
●大阪府豊能郡能勢町
●兵庫県洲本市
●京都府相楽郡南山城村
●滋賀県長浜市
●奈良県高市郡明日香村
●和歌山県有田郡有田川町
●中国地方
●鳥取県八頭郡智頭町
●島根県邑智郡邑南町
●岡山県加賀郡吉備中央町
●広島県山県郡北広島町
●山口県阿武郡阿武町
●四国地方
●徳島県三好市
●香川県高松市塩江町
●愛媛県南宇和郡愛南町
●高知県高岡郡四万十町
●九州地区
●福岡県八女市星野村
●福岡県宗像市
●佐賀県伊万里市
●長崎県東彼杵郡波佐見町
●長崎県西海市
●熊本県阿蘇郡小国町
●熊本県菊池市
●熊本県球磨郡水上村
●大分県佐伯市蒲江
●宮崎県東諸県郡綾町
●宮崎県西臼杵郡高千穂町
●鹿児島県肝属郡錦江町
●鹿児島県南さつま市笠沙町
●沖縄県
●国頭郡本部町
GAZOO SPORTS
[編集]トヨタ自動車がスポンサードしたり、運営に関わっている企業スポーツに付けられる統一名称であり、総合サイト「GAZOO SPORTS」で情報を発信している。自社に所属する障害者スポーツのアスリートに関する情報も発信していることが特徴。「GAZOO SPORTS」で紹介されているチームおよび個人は以下の通り。
- チーム
-
- トヨタヴェルブリッツ(ジャパンラグビーリーグワン)
- トヨタ自動車硬式野球部
- トヨタレッドテリアーズ(JDリーグ)
- トヨタ自動車アンテロープス(女子バスケットボールWリーグ)
- トヨタ自動車スケート部(ショートトラックスピードスケート)
- トヨタ自動車陸上長距離部
- トヨタ自動車ビーチバレーボール部
- 名古屋グランパスエイト(サッカーJリーグ)
- アルバルク東京(男子バスケットボールBリーグ)
- 個人競技選手
脚注
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(一)^ “e-TOYOTA事業”. 企業情報. トヨタ自動車株式会社 企業公式サイト. 2017年9月23日閲覧。
(二)^ GRブランド記者発表会︵1:55 - 3‥20︶ - TOYOTA GAZOO Racing︵2017年9月19日配信︶。
(三)^ abc“e-TOYOTA・GAZOO”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車. 2017年9月21日閲覧。
(四)^ "GAZOO.comが目指すもの ﹁豊田 章男﹂". GAZOO.com.︵2006年10月1日︶。
(五)^ ab“e-TOYOTA・GAZOO 補足説明”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車. 2017年9月21日閲覧。
(六)^ 稲泉連 (2016年8月16日). “豊田章男ドイツ密着72時間︻第2章︼﹁トヨタ﹂に挑め”. PRESIDENT Online (プレジデント社) 2017年11月4日閲覧。
(七)^ ab株式会社デルフィスITワークス︵編︶ ﹃トヨタとGAZOO-戦略ビジネスモデルのすべて﹄ 中央経済社、2001年、pp.73-74、ISBN 4502357820
(八)^ “文章で読む75年の歩み 第3部第4章第6節第4項 販売政策”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車. 2017年9月23日閲覧。
(九)^ ab﹃トヨタとGAZOO-戦略ビジネスモデルのすべて﹄、pp.80-81。
(十)^ ﹃トヨタとGAZOO-戦略ビジネスモデルのすべて﹄、p.102。
(11)^ ファミリーマート︵名称は﹁Famiポート﹂︶、サンクスアンドアソシエイツ、サークルケイ・ジャパン、スリーエフ、ミニストップの5社。
(12)^ “株式会社イープラット設立のお知らせ”. ファミリーマート. (2000年3月30日) 2017年9月23日閲覧。
(13)^ “文章で読む75年の歩み 第3部第4章第8節第3項 ITSへの取り組み”. トヨタ自動車75年史. トヨタ自動車. 2017年9月23日閲覧。
(14)^ “﹁クルマ好きが集まる“場”を提供したい﹂--トヨタ自動車 顧客満足度向上を目指して”. ITPro (日経BP社). (2007年1月22日) 2017年11月4日閲覧。
(15)^ “トヨタ、総合ウェブサイト﹁GAZOO﹂一新--﹁Windows Azure﹂がベース - (page 2)”. ZDNet Japan (朝日インタラクティブ). (2013年4月26日) 2017年11月4日閲覧。
(16)^ “導入事例 トヨタ自動車株式会社”. 日本マイクロソフト. (2013年4月26日) 2017年11月4日閲覧。
(17)^ ﹃トヨタとGAZOO-戦略ビジネスモデルのすべて﹄、p.120。
(18)^ 丸山弘昭 ﹃トヨタのキャッシュフロー戦略-トヨタ式カネの生み方・使い方の秘密﹄、中経出版、2004年、pp.94-96、ISBN 9784806119623。
(19)^ “紗倉まなと世界のトヨタが衝撃合体 広告業界も仰天”. 東スポweb (東京スポーツ新聞). (2014年10月14日) 2017年10月11日閲覧。
(20)^ 藤代裕之 (2015年5月1日). “宣伝か有益な情報か 評価﹁紙一重﹂の企業メディア”. 日本経済新聞 2017年9月23日閲覧。
(21)^ ab“トヨタ自動車、Gazoo mura︵ガズームラ︶を全国都道府県に展開―全国58ムラに拡大―”. TOYOTA Global Newsroom (2011年3月1日). 2020年4月2日閲覧。
関連項目
[編集]- GAZOO METAPOLIS
- G-BOOK
- TS CUBIC CARD - 2001年の事業開始当初よりカード毎にGAZOO.comの初期IDが付与されている(カード台紙に印字)。
外部リンク
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