防衛費増額の財源確保をめぐり、自民党は近く政府の借金にあたる国債を安定的に返済するしくみである「60年償還ルール」を見直す議論を始める。制度の廃止や60年の延長が想定されるが、市場の信認に影響を与えかねない。財務省も財政規律が緩むことを警戒しており、国債残高が膨張する恐れもある。 国債は10年などの満期が来ると、返済する必要があるが、一度に現金で償還することは難しい。このため、大部分は借換債と呼ばれる国債を出して借り換えた上で、毎年の現金償還を国債残高の約60分の1(1・6%)とするのが「60年償還ルール」だ。1966年度に建設国債の発行開始と同時に始まった日本の減債制度で、道路などの平均的な耐用年数から60年とした。戦後の日本の財政制度の根幹をなすルールだ。 具体的には、国債整理基金特別会計で処理されており、国債残高の1・6%の額を一般会計から毎年繰り入れている。国債残高は1千兆円規模に
年金破綻論を否定したロジックと財政問題 ――対談の後半は、所得の再分配政策や財政に話題を転じたいと思います。いま、9月末に期限を迎える雇用調整助成金の特例措置の延長が議論されていますね。 権丈善一(以下、権丈) コロナ禍で縮小した経済が相似形で元に戻ると想定するのと、そうでないのとでは政策のあり方が変わってくる。新型コロナの影響に加えて、この間のリモート化などライフスタイルの便利さを知った社会では、相似形では戻らないだろう。便利さというのは強い。多くの人たちの需要構造が変わる。そこがリーマンショックのときとは違う。雇用調整助成金に偏重するのではなく、労働力をはじめ、新たな需要構造に見合った供給へと生産要素のシフトがスムーズに行われる政策を期待したい。 ――コロナ対策の巨額支出によって、世界や日本の財政に非常に大きなストレスがかかっています。こちらはどう考えますか。 権丈 財政を考えるとき、
2013-08-09 政府の負債という「幽霊」を恐れる愚 財政・国債 6月末の国の借金(国債及び借入金並びに政府保証債務現在高)が1000兆円を超えたことがニュースになっています。財政再建のために消費税率引き上げを断行せよ、という声は海外からも届いています。 コラム:消費増税待ったなし、商品券支給が「鎮痛剤」に(ロイター) しかし、現代の通貨制度の下では、政府負債の削減を政策目標の上位に置くことは無意味であるだけでなく危険です。詳しくは8月下旬から掲載予定ですが、その前に要点を二つ指摘しておきます。 7/23【日銀理論は地動説、世界標準理論は天動説】や【金融政策の基礎解説】シリーズで解説していますが、現代の通貨制度では、預金は銀行の貸出や有価証券買い入れによって生まれ、現金は中央銀行の貸出や有価証券買い入れによって生まれます。つまり、マネーは誰かの負債ということです。経済全体にとって重要な
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ジェームズ・ハミルトンが政府債務を巡ってクルーグマンらと論争を繰り広げている。 論争の焦点になっているのは、ハミルトンがミシュキンらとの共著論文*1で示した以下の回帰式である*2。 この式を基にハミルトンは、政府債務の対GDP比率が高くなると金利が上昇し、やがて下図のように手に負えなくなる、と警告した。 それに対するクルーグマン(+ここ)、The AtlanticのMatthew O'Brien、デロング、Tim Duyの反論は、概ね以下の2点に集約される: 日本を単なる特別ケースとして扱って良いのか? (上の回帰式ではαiは国ごとの固定効果を扱っており、日本は非常に大きなマイナスの値となっている) 自国通貨を持たないユーロ圏の国がサンプルの多くを占めるとはこれ如何に? クルーグマンは論文のデータを用いた以下の散布図を示して、そうした論点を視覚的に表わしている。 またTim Duyは、日本
財務省は6日、国債の残高が10年後の2022年度末に1000兆円を超えるという試算を発表した。高齢化に伴う社会保障費の増大に加え、3%の名目成長で税収が増えたとしても金利上昇で国債の利払い費が増えるためだ。14年4月から消費税率を引き上げた後も政府が厳しい財政運営を迫られることを示した。財務省が来年度予算案の審議に合わせて提出した資料で明らかにした。国債残高は13年度末では732兆円だが、22
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