大日本帝国は﹁終戦構想﹂が破綻した後も戦争を続け、敗戦を迎えた。写真は1945年9月2日、東京湾上の米戦艦﹁ミズーリ﹂で開かれた降伏調印式 始まった戦争は容易に終わらない。ウクライナとガザでの戦争で、私たちはそのことを改めて実感した。戦争を始める為政者の多くは戦場の最前線に行かない。そして戦争の終わらせ方を知らない。かつての大日本帝国︵帝国︶がそうだったように。今回は帝国の﹁終戦構想﹂を振り返りつつ、日本政府が想定する﹁新しい戦争﹂について考えてみたい。 開戦1カ月前に﹁腹案﹂5月配信の原稿で書いた通り、帝国の指導者たちは武力で米国を屈服させられないことは分かっていた。ではどうやって戦争を終わらせるつもりだったのか。一応の﹁終戦構想﹂があった。開戦1カ月弱前の1941年11月15日、﹁大本営政府連絡会議﹂︵主要閣僚と陸軍参謀本部、海軍軍令部の幹部らによる会議︶でまとめられた﹁対米英蘭蔣戦