色づき始めた秋の森を抜け、波静かな入り江を渡り、スウェーデンの首都ストックホルムの中心部から郊外電車で30分ほど走ると、コンクリートの団地群が姿を現した。低所得の労働者が暮らす街ボートシルカだ。人口の約55%はシリア、アフガニスタン、インドなどからの移民やその子どもたちで、国籍は160にも及ぶという。8月、ここで深夜に犬を散歩させていた12歳の少女が射殺され、社会を揺るがした。近くでは毎晩、武装した移民系若者らによると見られる発砲音が響いており、流れ弾を受けたと考えられた。一帯の治安は数年前から悪化し、﹁行けない地域﹂(no-go zone)と呼ばれていた。 コンクリートの団地が並ぶボートシルカの街並み この事件にとりわけ衝撃を受けたのは、ボートシルカで住民の交流の場となってきた﹁多文化センター﹂だった。問題を深刻に受け止めたスタッフのミカエル・モールベリさん(56)は、移民の代表者とと
![「みんなの文化を尊重」かえって溝広げた? 「多文化主義」問い直すヨーロッパ:朝日新聞GLOBE+](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6ad71725515daf2e88c25279425f72aebb0880c6/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fp.potaufeu.asahi.com%2Fc99a-p%2Fpicture%2F24455943%2Fc5c3a496d069c59cbc3d64ce5e3e2d6a.jpg)