ブックマーク / gendai.media (2)
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生涯に1万5000点以上の本の装幀を担当し、数々のベストセラーを生み出した装幀界のトップランナー、菊地信義。 今年3月に逝去した菊地が、35年にわたるライフワークとして手掛けたのが、講談社文芸文庫の装幀だ。 その集大成となる作品集﹃装幀百花 菊地信義のデザイン﹄が12月に刊行された。 多くの読者を魅了した菊地のデザインの﹁秘密﹂とその﹁思想﹂を、菊地に師事したデザイナー・水戸部功が読み解く。 ︵本記事は﹁群像﹂2023年1月号への寄稿を編集したものです︶。 ﹁文庫﹂という理想 グーテンベルクによる活版印刷の歴史が始まって以来、日本独自の出版形態として発展を遂げた﹁文庫﹂は、出版の理想の形といえる。活版印刷の発明が目指したのは、詰まるところ、言葉の複製だ。聖書を始めとするテキストを広く一般に普及させるには、それまでの、手で書き写すか木版かという方法では時間もコストもかかりすぎるため、効率的な
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陛下と会食? マジで? 実は、天皇陛下と皇居で食事をするという奇跡に恵まれたことがある。もちろん、筆者自身はそんなVIPではないので、偶然と幸運が重なったためだ。 2015年のお正月に、神経科学会の重鎮であるN先生が、天皇陛下の御前で﹁ご進講﹂という講義をしたのがそもそもの始まり。ご進講の1ヵ月後に、陛下が講師を皇居に招き、お礼の意味で食事会を開く、というのが慣例となっているそうで、その時に、2名の随行者を連れていくことが許される。N先生は神経科学が専門のK大学医学部教授の先生をひとりと、もうひとりになんと筆者を指名してくれたのである。 指名してくれた理由は、筆者の専門が、﹁動物の縞模様ができる原理の研究﹂だからである。陛下が魚類の分類学者であることは、ご存知だろうか。宮内庁のHPに行くと、陛下の論文のリストがある。全部で28編もあるが、そのほとんどがハゼ類の分類に関する論文である。魚種の
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