﹁無理無理 絶対無理﹂ 振り返れば、母親の私はわが子が夢を持てるとすら考えていませんでした。 息子は生まれて4か月で難病を発症し、医師から普通の発達は望めないと宣告されました。 できないことだらけの彼の世界を変えたのはチェロ。 ことばで感情を伝えられなくても、弦に乗せれば伝えられる。 ひたむきに努力を重ね、この春、プロのチェリストとして一歩を踏み出しました。 ステージで堂々と演奏する姿に私はかつての自分にそっと語りかけました。 ﹁子どもには想像もつかない未来が待っている。だから﹃無理無理﹄って言わないで﹂ ︵ネットワーク報道部 松本裕樹︶ ﹁同じ病気で苦しんでる親御さんたちの希望の灯になれば﹂1通のメールがNHKの情報提供窓口ニュースポストに届きました。 ある演奏会の招待状でした。 生後4か月で国指定の難病﹁ウエスト症候群﹂を発症した男性が、チェロ奏者としてプロデビューするというのです。