ウォーターゲート事件の内幕を描いた映画﹁大統領の陰謀﹂(1976)の一場面に、ワシントン・ポストの記者と、﹁ディープ・スロート﹂と呼ばれる情報提供者との印象的なやりとりがあります。 互いの表情もはっきりしない薄暗い駐車場で、事件の核心に早くたどり着きたいと焦る記者に、ディープ・スロートは短くこう告げます。 “Follow the money.”︵カネの流れを追え︶ ﹁大統領の陰謀﹂﹁カネ﹂が政治権力の重要な資源であり、その流れを追うことが政治的現象の理解に資することは、昔も今も変わりません。 現在、政治資金パーティを巡る不透明な﹁カネ﹂のやりとりが問題になっていますが、私が政治にまつわる﹁カネ﹂を調べるきっかけになったのは、島根県議会の﹁政務活動費﹂の取材でした。 県議会のベテラン議員が不正な工作によって140万円を受け取っていたことを明らかにし、報道の翌日に議員が辞職という事態になりまし