最近、谷崎潤一郎の﹁小さな王国﹂を読みました。 ある田舎の小学校に訳あって都会で教鞭をとっていたベテラン教師、貝島先生が赴任します。 そこに、沼倉という小学生が転校してきました。 沼倉は、特に勉強が出来るわけでもない、ケンカが強いわけでもない、容姿が良いわけでもありません。 しかし、転校してきて早々、周囲の子供たちを牛耳り始めます。 ガキ大将だった子供も、級長も、裕福な家の子も、みんな沼倉の言いなりとなって、しかも恐れられている節さえみられるのです。 沼倉はクラスの中に﹁沼倉王国﹂を作り、王国だけに通用する独自の通貨を発行していました。沼倉は大統領に就任し、クラスメートを大臣や側近に任命します。生徒一人一人は階級があり、大統領からその通貨で給料を受取るのです。そのお金でお互いが好きなものを買ったり、お金を増やしたりしていました。金持ちの子も、貧乏な子も平等にモノやサービスが行き渡り、その交
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