権力者が蓄えた富を使って仲間に忠誠を誓わせる手法は、政治の歴史において何ら目新しいものではありません。1804年にフランス皇帝に即位したナポレオン一世は、部下に忠誠を誓わせる手段として所領を与えることに注意を払いました。その供給源は武力で征服した外国の領地であり、ナポレオンにとって戦争は重要な富の源泉となっていたのです。 このような手法は非公然に行われることもあります。1830年の七月革命でオルレアン公ルイ・フィリップが樹立した七月王政は、秘密基金を設置し、国内外の支持者に資金を提供しました。その受取人の一覧は1848年の三月革命によって暴露され、著名なドイツの作家ハインリヒ・ハイネも年額4,800フランの贈与を秘密裡に受け取っていたことが判明しました。 誰から誰に富が移動しているのかを調べることは政治学の重要な課題の一つであるといえますが、調査が困難であることが多く、具体的な数値が明らか