ブックマーク / qjweb.jp (9)
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就寝直前に﹃ゴールデンカムイ﹄実写化の第一報を聞いて、反射的に思ったことがあった。﹁あの監督だったらやだな﹂。翌朝目を覚ましたらみんなが同じことを言っていた。みんなが同じ﹁ない未来﹂に苛まれて、ネットが阿鼻叫喚の様相を呈していた。 ああ、やっぱみんなそう思うんだ、というのが最初に感じたこと。次に感じたのが、これってある意味ものすごく興味深いことが起こってるんじゃないか?ということ。これは、ある現代的な恐怖のかたちがすっかりポピュラーなものになったことのひとつの証左といえる現象なんじゃないか。いわゆる﹁推しを人質に取られる問題﹂だ。 さまざまな“人質”のあり方 “こういうこと”は、もうすっかり我々の日常風景だ。広くおなじみのあるあるの苦しみになった。“推し”という概念にも“人質に取る”という表現にも思うことはあるものの、日々さまざまなかたちで、さまざまな作品や作り手が“人質”化させられている
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学生に﹁ゴールデンウィーク中に観るといいアニメを教えてほしい﹂と頼まれ、アニメ評論家・藤津亮太は考えた。20歳のアニメファン向け﹁入門書﹂を編むべきではないか。この本を読むことで﹁日本でメジャー流通するアニメが、現在のような形になっている背景を知ることができる﹂ことを目標に、まずはタイトル選びに着手した。 過去の作品・歴史上の創作者にアクセスするには 先日、非常勤講師をやっている大学で学生から声をかけられた。ゴールデンウィーク中に観るといいアニメを教えてほしい、というのだ。観終わったら個人的に短いレポートを提出したいが見てもらえるか、という話とセットだったので、単に﹁おもしろいアニメを知りたい﹂というわけではない。むしろ﹁アニメというのものにもうちょっと迫りたい﹂という積極性の表れという感じだった。 そこで僕は、ちょっと迷ったのだけれど、今 敏監督の映画を観ることを勧めた。学生は見たことが
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国立競技場が登場するアニメを調べてみたら、4年前の2017年公開作品が多かった。アニメ評論家・藤津亮太がその理由を考察。﹁近未来﹂として描かれた国立競技場像に迫る。 ﹃プリキュア﹄世界の中でぐらい理想の場所で テレビを頻繁に見ているわけではないのに、ふと目に入ってくるのが、あの数字のゼロにも似た国立競技場の俯瞰映像だ。隈研吾による木材を活用したこの競技場は、上空から見ると、約7万人を収容できる大きさのわりには案外つつましやかな存在感で、テレビ画面の中に収まっている。 アニメの中に現実のランドマークやそれに類する建築物が出てくるとちょっと楽しくなる。それは、ロケ地巡りの発展である、いわゆる﹁聖地巡礼﹂のおもしろさと似ているようで少し違う。現地をロケハンしてその成果を画面に反映するのは、リアリティを画面に与えるためだが、ランドマークは﹁時代﹂や﹁地域﹂を伝えるもっと即物的なアイコンとして使われ
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東京五輪の本来の主役って コロナ問題や五輪開催がどうしようもなく深く民心の分裂を招き、もうこれを再統合させるには人類ゾンビ化現象の勃発拡大ぐらいの超危機イベント発生しかないかなー、などと茹だった頭で考えてしまう猛暑の今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか? 私はドイツ公共放送のプロデューサーとして、東京五輪中継の撮影手配とか編集サポートとかの作業にひたすら埋もれて…となるはずが、ドイツ本局から派遣されてドイツ向け番組に出演する予定だった特派員が諸般の事情で来れなくなったため﹁お前出ろ﹂ということになり、 ・開会式の中継︵日本の事情や文化の地元民視点での紹介役︶ ・五輪番組での日本文化紹介コーナー出演 私は東京五輪の開会式にて、ドイツZDFテレビの、ドイツ向け放送の実況コメンテーターを務めることになりました。文化的意味や文脈のドイツ向け翻訳をやるので何気にキツい。 NHK語学講座以来、メ
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芸人が書いた台本に声優が声を当て、二次元のキャラクターが漫才をする、声優×芸人の二次元漫才師プロジェクト﹃サンパチスター﹄︵テレビ朝日︶。昨年9月に第1弾が放送され、その目新しいおもしろさが注目を集め、2月28日︵日︶25:25から第2弾の放送︵関東ローカル︶が決定している。 前回放送の告知動画 今回は、大のアニメ好きでも知られる番組MCの霜降り明星・粗品と、2度にわたり粗品の台本に声を当てた声優・杉田智和の対談を、第2弾の収録後に敢行。 それぞれの職業で最前線を走るふたりに、仕事のポリシー、お互いの印象、そして﹃サンパチスター﹄への思いを語ってもらった――つもりだったが、至るところで脱線。ずっと漫才をしているかのようにも感じられた対談の中で、お互いが大切にしていること、今後の目論見が垣間見えた。 “テレビに声優が出ること”に抱く違和感 霜降り明星・粗品︵以下、粗品︶ 杉田さんとまたお会い
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作りとしては、コアなファン向け 現在大ヒット中の﹃劇場版﹁鬼滅の刃﹂無限列車編﹄は異例の存在だ。そもそも新型コロナウイルス感染症の流行という情勢そのものが過去に例のない事態なのだが、異例なのはそれだけに留まらない。今回は、その異例さを確認し、仮説を立てることで、これからのアニメのあり方を考えてみたい。 改めて説明するとマンガ﹃鬼滅の刃﹄は﹃週刊少年ジャンプ﹄の連載作で、2019年4月からテレビアニメ全26話が放送された。鬼に家族を殺された少年・竈門炭治郎が、鬼殺隊という組織に入り、努力を重ねながら鬼と戦っていくというストーリーだ。テレビアニメは1巻から6巻︵正確には7巻冒頭の第53話︶までを描いており、今回の﹃無限列車編﹄はそのつづきにあたる、7巻から8巻の途中までを映画化したものだ。また、原作自体は2020年5月に連載を終了し、すでに22巻まで発売されている。 ﹃無限列車編﹄で異例な点は
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このニュースを聞いて、ジブリ論を集めたある人文書が、ジブリ作品の図版を引用していたことを思い出した。後述する理由で、商業出版でアニメの図版を引用のかたちで掲載する例は多くない。しかもこの本は、映像をキャプチャしたのではなく﹁フィルムコミック︵映画の場面写真を構成してマンガのかたちにした本︶﹂からの引用というかたちをとっていた。それも、印象に残った理由だった。どうしてフィルムコミックからの引用という迂遠な方法がとられていたのか。 アニメの場面写真を正当に︵ここはとても大事なポイントだ︶利用しようとした場合、どのような問題と可能性があるのか。それは、この﹁オフィシャル場面写真﹂と﹁フィルムコミックからの引用﹂という両極端の話題を考えることから見えてくると思う。 そもそも、スタジオジブリの場面写真無償提供が非常に驚きを持って迎えられたのは、アニメ業界は場面写真を厳しく管理しているからだ。これはも
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﹁全205話で完結﹂は意外ではない 今年5月時点でシリーズ累計発行部数6000万部を突破していた﹃鬼滅の刃﹄。2016年末の連載開始から3年半というわずかな期間に﹃週刊少年ジャンプ﹄のトップに君臨する﹃ONE PIECE﹄にも比べられる破竹の勢いのなか、5月18日発売の同誌で第205話をもって完結。人気絶頂なのに、劇場版﹁無限列車編﹂︵10月公開予定︶を控えているのに、なぜ?との声が日本中に響き渡っている。 しかし﹁なぜ﹂ではなく﹁見事に﹂というべき。コミックが売れているからと未練がましくダラダラ引き延ばしたりせず、すべての因果が回収されたところで物語がキレイに完結しているのだから、美しいと言うほかはない……とはいえ、まさに﹁売れているから﹂には何者も逆らいがたいのが資本主義の真実ではある。 実際、熱心な読者ほど最終決戦の行方以上に﹁その次﹂にハラハラしていたはず。せっかく最高におもしろい
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﹃テラハ﹄出演中の木村花さんが亡くなった5月23日、恋愛リアリティショー番組﹃テラスハウス﹄︵フジテレビ︶に出演中だった女子プロレスラー・木村花さんが亡くなったことを所属団体・スターダムが発表した。これを受けて匿名掲示板5ちゃんねるには﹁︻訃報︼女子プロレスの木村花選手︵22︶、急死 ﹃テラスハウス﹄出演でネット上で凄まじい誹謗中傷を受けていた﹂というスレッドが立ち上がり、書き込みスピードがかなり速くなっていた。 木村さんはSNSで誹謗中傷を多数受けていたという報道もあり、最後のインスタグラムの更新は猫と一緒の写真で、﹁愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。﹂とある。木村さんは﹁嫌々ながら﹂スターダムの﹁SNS推進部ブチョー﹂に就任していた。 少数でも中傷の書き込みのダメージは大きい5ちゃんねるのスレッドには﹁俺みたいなSNS一切やらない人間はこの時代精神的に平和と思います﹂という書
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