うつ病患者が100万人を超え、この10年間で2・4倍に急増している。不況などの影響はもちろんだが、新規抗うつ薬の登場との関係を指摘する声も強い。安易な診断や処方を見直す動きも出つつある。 東京の大手事務機器メーカーでは、約1万2000人いる従業員中、心の病による年間の休職者が70人︵0・6%︶を超える。2か月以上の長期休職者も30人を超えた。多くがうつ病との診断で、10年前までは年間数人だったのが、2000年を境に急増した。 この会社の産業医は、﹁﹃うつ病は無理に励まさず、休ませるのが良い﹄との啓発キャンペーンの影響が大きい﹂と話す。うつ病への対処としては正しいが、﹁以前なら上司や同僚が励まして復職させたタイプにも、何も言えなくなった。性格的な問題で適応できない場合でも、うつ病と診断されてしまう﹂と、嘆く。 国の調査では、うつ病など気分障害の患者は、2000年代に入り急激に増えており