司馬遼太郎の時代-歴史と大衆教養主義 (中公新書 2720) 作者:福間 良明 中央公論新社 Amazon ﹁司馬さんの書かれるものは日本外史とでも呼ぶべき種類の史書ではあるまいか﹂とは、有吉佐和子の﹃坂の上の雲﹄評だ。このように、司馬遼太郎作品はたんなる歴史小説の枠をこえ、一種の教養本として読まれている。司馬作品は物語中にしばしば﹁余談﹂がさしはさまれ、そこでは司馬の政治や軍事、世論などへの見解が自在に語られる。こうした特徴は吉川英治や山岡荘八といった、それまでの歴史作家の作品にはないもので、読者の歴史への知的関心をかきたてるものだった。なぜ司馬の﹁歴史教養本﹂は時代に求められたのか。﹃司馬遼太郎の時代 歴史と大衆教養主義﹄によれば、司馬作品の人気を支えていたのは、昭和50年代に起きた﹁大衆歴史ブーム﹂だという。 昭和50年代に司馬作品を愛読していたのはおもに中年男性だが、かれらは教養主
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