これで三菱電機は品質不正に関する調査に完全に終止符を打った。2023年1月5日の年頭挨拶︵あいさつ︶で漆間啓社長は﹁全ての問題を出し切った﹂と語った。今後は、本体ではなくグループ企業の品質不正を調査するのだという。 残念ながら、最後まで外部調査委員会︵以下、調査委員会︶および同社の品質改革推進本部は、まともな検証力を発揮できなかった。日経クロステックは客観的な検証のために技術に詳しい第三者の専門家︵競合企業のOBや業界団体などの人材︶の登用を勧めてきたが、三菱電機側は拒否。現場、具体的には業務用エアコンを造る三菱電機冷熱システム製作所︵和歌山市︶の報告や回答を鵜吞︵うの︶みにし、そのまま報告書に記載した。ずさんな調査であり、﹁膿を出し切る﹂と何度も口にしてきた漆間社長の姿勢は形だけのものだったと言わざるを得ない︵図2︶。