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首都圏土壌医の会が主催した、下水汚泥についての研修会に参加することができた。 ゲストスピーカーに国交省担当者と東京農業大学の後藤逸男名誉教授を迎え、司会進行は久松農園の久松達央さんが務めた。 下水汚泥には、窒素やリンも大量に含まれているため、有効に再利用すれば、輸入依存が問題となっている農業用肥料として国内で循環させることができる。 久松さんは下水汚泥を「宝の山」「未利用資源の本丸」と表現するが、その大半はコンクリに混ぜられるか埋め立てられていて、肥料利用等の割合は約14%に過ぎない。 食料安保や資源循環型社会の重要性がこれだけ叫ばれているにもかかわらず、汚泥に含まれる窒素やリンのほとんどが無駄になっているのが現状だ。 普及が進まない背景にはインフラや技術面の障壁に加え、下水汚泥という言葉のイメージ、事業排水に含まれる重金属のリスクを不安視する声、さらにはそうした課題に向き合うことを避けて
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラム。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々をウォッチし続けている山田ノジルさんが今回注目するのは、目下炎上中のマフィンにもしっかり現れていた「不思議食品しぐさ」のあるある。作り手が「いいもの」とアピールするその「謳い文句」に注目です。 大炎上した、デザフェスのマフィン 連日「デザフェスのマフィン」で大騒ぎです。東京都目黒区の焼き菓子店が大型イベントに出張販売したところ、体調不良を訴える声がネット上に続出。SNSで広まったため、店が保健所へ連絡すると、厚労省によってリコール対象にしたと公表されたのが、事の経緯です。その危険度は、マックスである「クラス1」。「喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が高い場合」というから、さらに騒動の火が燃え広がっています。 このマフィンの製造過程のどこ
河出新書から刊行される山田正彦氏の新刊『子どもを壊す食の闇』の帯に寄せられた推薦文が、発売を目前に取り下げられるという出来事があった。推薦文を寄せていたのは、『人新世の「資本論」』が45万部を超える大ヒットを記録して一躍、時の人となった若手の哲学者・経済思想家の斎藤幸平氏だ。その顛末に迫りたい。 斎藤氏が寄せた推薦文は、元々このようなものだった。 「命の根幹である食が危ない。子どもたちの健康と日本の未来を守るために書かれた現場からの警告と改革の書」 あの斎藤幸平さんがそこまで言うなら、と思わず手に取る人もいるだろう。 読者層を広げる上での影響力、知名度は申し分ない。 だが、山田正彦氏といえば実際には、農業関係者のあいだではきわめて評判が悪い。 わずか3カ月で退任した元農林水産大臣の肩書を今も使用し、農薬や種苗などについて根拠のない情報を発信し不安を煽る人物として知られている。 もちろん斎藤
「宗教2世」が昨年来、話題になっている。 旧統一教会問題をめぐって多くの人に知られるようになった言葉だが、実際には少し前からNHK『ハートネットTV』で特集が組まれたり(※1)、宗教2世をテーマにしたウェブコミックが突然掲載を打ち切られニュースになる(※2)など、社会の関心を集めつつあった。 「社会調査機構チキラボ」が2022年9月におこなったアンケート調査の結果(※3)が現在、ウェブ上で無料公開されている。 回答した1,131人の当事者による膨大な声を拾っていけば、決して突然生まれた新しい問題ではないことがわかる。 そこに「宗教2世」という言葉が与えられたことによって、また不幸にも旧統一教会問題が大きな注目を集めた結果として、あらためて深刻な問題として「見える化」された。 このように問題を名づけることは、ともすれば安易なレッテル貼り、負の烙印(スティグマ)に転用されかねない点、また定義の
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラム。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々や、その沼にはまった住人たちをウォッチし続けている山田ノジルさんが今回は、かつてのゲテモノ扱いからエシカル消費へと転化した、昆虫食にまつわる陰謀論を観察します。 流行の裏には陰謀がある!?「流行ると陰謀だと思うのが、陰謀論者の発想」 2022年12月に開催されたトークショーで、『あなたを陰謀論者にする言葉』(フォレスト出版)の著者であるライターの雨宮純さんが語っていた言葉です。続けて紹介されたのが「昆虫食陰謀論」。昭和〜平成とゲテモノ扱いだった昆虫食は、深夜番組の罰ゲーム小道具としてお馴染みでした。それが陰謀論に登場したということは、かなり認知度が上がってきた証拠です。 陰謀論とは、大きな事件や世の状況を「闇の組織が関与している」とする世界観のこと。有名ど
問題点③ 反医療運動、陰謀論団体、カルト宗教、マルチ商法等との接点オーガニック給食推進に関わる市民団体やその中心人物、ときには推進を掲げる地方議員・国会議員自身が、これらとの接点を持っている、あるいは当事者として関わっているケースが、無視できないほどの規模で観察されている。 例えば、ある推進団体の代表者は自身が主宰するセミナーで「ディープステートとの戦い」をテーマに掲げ、2021年の米議会襲撃事件の背景となった陰謀論「Qアノン」思想の影響下にあることを感じさせる。 また、「子どもの障害は全て親の食生活が原因」などの差別的発言で知られる反医療インフルエンサー・内海聡氏をゲストに迎えた動画をたびたび配信している(なお、全国オーガニック給食フォーラムで結びの挨拶をおこなった元農水大臣の山田正彦氏も、内海氏とは何度も対談するなど友好関係にある)。 別のある推進団体は過去に、米国の有名カルト宗教の国
ミシュランガイドに新登場の“グリーンスター”指標2020年12月に発売された『ミシュランガイド東京2021』では、レストランのサステナビリティ(持続可能な取り組み)を評価する指標として新たに「グリーンスター」が導入された。東京では、三つ星を獲得した「レフェルヴェソンス」と「カンテサンス」、サステナブルシーフードの取り組みでも知られる「シンシア」など6店が今回、グリーンスターも併せて取得している。 グリーンスターは本家のミシュランガイドでも2020年より追加され、トップシェフの世界でもサステナビリティが大きな潮流になっていることを印象づけるニュースとなった。 この一見「良いこと」に思えるグリーンスターの導入に対して、受賞したシェフから批判的な意見も上がっている。2020年6月に配信されたWIREDの記事によれば、コペンハーゲンの有名店「レレ」のクリスチャン・プリージ氏はグリーンスターの選考プ
ラウンドアップの主成分であるグリホサートが危険だと主張する科学者除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)は、世界の規制機関によってその安全性が証明されていますが、一部の研究者がその毒性を主張しています。なかでも米国のセネフ博士はサムセル博士と連名で5つの論文を発表し、特に過激な主張を展開しています。それは、グリホサートががん、糖尿病、末梢神経障害、肥満、喘息、感染症、骨粗しょう症、不妊、先天異常など多くの病気の原因だという意見です。 メスネイジ博士とアントニオ博士による反論これらの主張に対して、英国のメスネイジ博士とアントニオ博士は論文を発表し 、以下のように反論しています。 グリホサートを含む除草剤(ラウンドアップなどの製品)の安全性について、さまざまな議論がされている。科学に基づいた研究、調査を行なっている世界の規制当局と、グリホサートを含む除草剤を販売している企業は、「規制で許容さ
科学的根拠のない、不思議なトンデモ健康法が発生する現象を観察するライター山田ノジルさんの連載コラムがAGRI FACTでついにスタート。驚くべき言説で広まる不思議食品の数々や、その沼にはまった住人たちをウォッチし続けている山田ノジルさん。記念すべきVol.1は「野良発酵」なる不思議食品の世界を観察します。 「野良発酵(のらはっこう)」。私が勝手にそう呼んでいる名称です。ヨーグルトや味噌、漬物、甘酒、納豆、ザワ―クラウト。家庭で作って楽しむことのできる手作り発酵食品は数多くありますが、その中に度々、驚くようなニューカマーたちが現れます。作り方や広め方、考え方。そこに振り切った自由度の野良みを感じ、いつしかそう呼ぶようになりました。具体的には、次のようなものたちです。 ・アボカドヨーグルト……アボカドの種を豆乳に入れ、常温放置するとヨーグルトになると主張されているもの。ちょっとしたブームになっ
発達障害児・者のグループに参加私がグループに参加しようと思った理由は、発達障害のことをよく知らなかったからです。 「発達障害の大きな要因は食(遺伝子組換え作物や農薬)」という国会議員のトンデモ発言に、農業関係の立場から「そんな根拠ないでしょ?」「そもそも発達障害は防ぐべきものなの?」というツッコミは入れていましたが、実際の当事者たちがどのような生きづらさを感じているのか、どのようなサポートを必要としているのか、などをよく理解していませんでした。 今回いただいた招待は、もしかしたら新しいことを学ぶきっかけになるかもしれない……。 というわけで参加してみました。 定例会といってもみんなで集まって近況報告をしたり、子育てや就労などの情報交換をしたり、お互いのあるある話に笑ってみたりと、参加しやすい雰囲気でした。 関係者が必要なのはオーガニック給食などではない当事者やその親たちが必要としているのは
「食の安全が売り渡される」「F1品種で不妊に」「発達障害の原因は農薬」「種子法廃止でコメが高騰する」など、ありとあらゆる農業のトンデモを拡散していた人物が、とうとう国会議員になってしまいました。その人物とは、山田正彦元農林水産大臣の息子山田勝彦氏。今回のコラムでは、トンデモ国会議員が誕生するまでに私が体験したことをお話しします。 トンデモ議員が長崎から衆院選に立候補私は同じ長崎県に住んでいるので、勝彦氏の(トンデモな)影響を実感していました。 バーに来たお客さんや知人の中には、講演会やSNSでの発信を真に受けた人もいて、「タネが外国に支配されるらしいけど、農業は大丈夫なの?」「最近の野菜は食べ続けると不妊になるの?」と聞かれることもありました。 確かに、勝彦氏の拡散するトンデモはインパクト抜群で、聴き手の不安を効果的に掻き立てます。 ですが、ウソの情報で農業の不安を煽り、不妊や発達障害など
米国のがん患者が除草剤ラウンドアップ(有効成分グリホサート)の製造元バイエル社(旧モンサント社)を訴えている裁判ではこれまで原告勝訴の判決が下ってきた。しかし今回、子どもが発症したがんに関してバイエル社を提訴し、和解の枠組みから外れたカリフォルニア州の訴訟で、2021年9月に被告バイエル社勝訴の一審判決が初めて下った。 10月5日のロイター(出典1)によると、 カリフォルニア州の陪審員は除草剤ラウンドアップが子どものまれながん(非ホジキンリンパ腫)の実質的な原因ではないことを認め、ラウンドアップががんを引き起こすと原告が主張する裁判に被告のバイエル社が初めて勝訴したと、同社が明らかにした。原告のクラーク氏はバイエル社が所有するモンサントを、ラウンドアップ使用による発がん性リスクを警告しなかったとして訴え、息子が家族の住居で雑草に散布したラウンドアップに曝露された結果、がんを発症したと主張し
国際がん研究機関(IARC)が“おそらく発がん性がある”グループ2Aに分類しています。やはり安全とは言えないのではないですか?
AGRI FACTによるファクトチェック結果 その理由は?各国の規制研究機関で高い安全性が認められ、世界150カ国以上で使用されている除草剤だから。 AGRI FACTのファクトチェック【対象と選択基準】 AGRI FACTのファクトチェック【評価基準と判定】 以上の要旨はAGRI FACT事務局が作成したものです。 詳細は以下でご確認ください。 農と食にまつわる噂・ニュース・風評の「ウソ?本当?」を検証するサイトAGRI FACT(アグリファクト)は2021年3月10日、「発がん性のある除草剤グリホサート」藤田和芳氏(オイシックス・ラ・大地㈱代表取締役会長)との投稿についてファクトチェックを行い、「科学的根拠なし」とする調査結果を発表した。 (*2021年12月更新) ファクトチェックした投稿内容「発がん性のある除草剤グリホサート」 投稿内容の原文(検証対象は太字部分)と出典発がん性のあ
プロフィール渕上桂樹さん(農家BAR NaYa/ナヤラジオ) 岡田恭子さん(ママの保健室@長崎(@mykyo3123)、麻酔科医、ISD個性心理学インストラクター、2児の母) AGRI FACTで連載中の農業トンデモハンターの渕上桂樹さんが、麻酔科医でワクチンデマを不安に思うお母さんたちと向き合い、正しい情報を丁寧に伝え続ける岡田恭子先生と対談! 医療トンデモと農業トンデモの共通点や、トンデモ発信源の真の目的、トンデモ情報を回避するための注意点を語り合った。 出会いはグリホサート渕上桂樹さん(以下:渕上):岡田先生との出会いが忘れられないんです。 岡田恭子さん(以下:岡田):先輩に渕上さんのお店に連れてきてもらいました。「野菜や果物で作られたお酒がたくさんある!」とテンションが上がってカウンターに一人で乗り込みましたね。 渕上:その日に放送したナヤラジオのテーマが除草剤だったんです。それを
世間を騒がせている「脱ステロイド」の問題に寄せて、オーガニックの世界でも何かと登場する「デトックス」「解毒」といったキーワードとの共通点、その危うさを間宮さんが自身の経験も交えて触れます。 なお、今回は先月の続編を予定していたのですが、都合により延期します。ご了承ください。 「脱ステロイド療法」番組「脱ステロイド療法」を好意的に紹介したテレビ番組が、皮膚科医などの専門家から強い批判にさらされている。放送直後から多くの医師が怒りの声を上げ、1週間と経たないうちに関連する学会や患者会が連名で抗議声明を発表し、番組側が謝罪する事態に至った。 仕事柄というのか、コミュニティ柄というのか(そんな言葉はないが)、かつて僕の周りにも、アトピー等の皮膚疾患に苦しみ、脱ステロイドを取り入れる人が少なからず存在した。何人かの友人・知人からは、皮膚炎が極度に悪化して命の危険まで感じられるような経験も含め、壮絶な
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