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都知事選
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マルボ族の近代化を推進した「一家」 ジャバリ・バレー先住民区域は、地球上で最も隔絶された場所の一つだ。ポルトガルに匹敵する広さの熱帯雨林が鬱蒼と広がり、道路はなく、迷路のように入り組んだ水路が張り巡らされている。ジャバリ・バレーに住む26部族のうち、19部族が完全な孤立状態で暮らしている。 その一つであるマルボ族も、かつては外界との接触がなく、何百年もの間、森の中を移動しながら生活していた。19世紀末に天然ゴムの違法伐採業者がやってきたことで、長年にわたる暴力と疫病に見舞われたが、同時に新たな習慣や技術がもたらされもした。 マルボ族は服を着るようになり、なかにはポルトガル語を学ぶ者も出てきた。イノシシ狩りに使う弓矢は銃に、キャッサバ畑を開墾するための鉈(なた)はチェーンソーに持ち替えられた。 この変化をとくに推進した一家があった。セバスチャン・マルボは、1960年代に森の外で暮らしはじめた
「インターネットのせいで、若者が怠け者に」 スターリンクは2022年にブラジルに参入して以来、世界最大の熱帯雨林全域に普及し、地球上で最後のオフライン地帯の一つにインターネットをもたらした。 隔絶された小さな文明がいきなり世界に開かれたら、何が起こるのか──「ニューヨーク・タイムズ」紙はそれを知るために、アマゾン奥地にあるマルボ族の集落を訪れた。 「インターネットが開通したときは、みんな大喜びでした」。ツァイナマ・マルボ(73)は、マロカと呼ばれる、部族の人々が寝食を共にする高さ15メートルの小屋の土床に座ってそう話す。 遠く離れた家族や友人とビデオ通話で話すことができたり、緊急時に助けを呼べたりと、インターネットは確実に利益をもたらしてくれた。「でも、いまは状況が悪化しています」 彼女は体に塗る黒い染料の原料となる、ジェニパポの実を練り潰していた。身に付けているのはカタツムリの殻を繋ぎ合
「スポッチャ」などの遊戯施設運営で知られるラウンドワンが米国で人気を集め、業績を伸ばしている。コロナ禍後、米国では郊外のショッピングセンターでテナントの立ち退きが相次いでいたが、ラウンドワンが起死回生に一役買っているという。米国で人気の理由とは? 全米で50ヵ所以上に 2021年末、米国コネチカット州郊外のショッピングモールに日本のビジネスマンご一行が訪れた。彼らは、破綻したアパレルブランド「フォーエバー21」が立ち退いた後、空っぽになっていたショピングモールを視察していたという。 このショッピングモールのオーナーは、米国ではもはや百貨店は流行しないと気づき、百貨店の代わりにモールの起死回生のために目をつけたのが、ゲームセンターなどを運営する日本のアミューズメント施設「ラウンドワン」だった。 米国ラウンドワンは現在、全米で50ヵ所以上の店舗を展開している。日本のゲーム機がたくさん並び、なか
国民議会選が目前に迫り、極右政党「国民連合(RN)」が存在感を強めるなか、フランスではこれに抗議する運動が各所で湧き起こっている。女性の権利を訴える団体の大規模デモ、サッカー選手キリアン・エムバペや女優のマリオン・コティヤールをはじめとする多数の有名人の反対表明……。 さらに、日本の「漫画ファン」コミュニティもRNへの反対を訴える。「『ONE PIECE』、『進撃の巨人』、『NARUTO -ナルト-』のファンでありながらRNに投票しようとするなんて、作品を理解していないか、作品の哲学をないがしろにしているかだ」。その真意とは? エマニュエル・マクロン仏大統領による国民議会解散を受け、6月30日と7月7日におこなわれるフランス総選挙。その選挙で、漫画がどのような役割を果たすというのだろうか? 間近に迫った投票を脅かす暗い危機を前に、日本の漫画など、とるに足らないようにも思えるが、選挙戦がイン
家族計画を立てる際に人工知能(AI)搭載のチャットボット(自動会話プログラム)を頼りにできるだろうか。100万ドル(約1億5700万円)の投資や結婚式の誓いの言葉を作成する場合はどうだろうか。 人間のように会話するボットは2年前にはほとんど存在していなかったが、今や至る所にある。生成AIブームの火付け役となった「ChatGPT(チャットGPT)」やグーグルとマイクロソフトの製品に加え、無数の中小プレーヤーが自然な会話が可能な独自のアシスタントを開発している。 われわれは主要ボット5つを使用して一連のブラインドテストを実施し、どのくらい役に立つかを判定した。能力が抜きんでたチャットボットが見つかることを期待していたが、そうはならなかった。それぞれ得意・不得意な分野があった。その上、進化のペースも速い。われわれのテスト中に、オープンAIはスピードと時事知識が向上したチャットGPTのアップグレー
EV競争に飲まれる日本車メーカーたち 日産自動車が中国市場で苦戦を強いられている。同社は中国最大手のEVメーカー、BYDとの価格競争をうけ、中国江蘇省の工場閉鎖を発表した。今後は生産数を落とし、事業の立て直しを図っていくとみられる。 EV業界の動向を専門に報じる米メディア「エレクトレック」は、「日産はBYDがガソリン車に対して講じたEV解放戦の新たな犠牲者」だと書く。 多くの自動車メーカーと同様、日産にとって中国は重要な市場だ。2023年の販売台数実績を見ても、およそ2割は中国が占める。だが、EV化の煽りをうけ、中国での販売台数は落ち込む一方だ。 低価格のEVでガソリン車のシェアを奪うBYDの戦略は、いまのところ功を奏している。もっとも安価なコンパクトEV「シーガル」も日本円で150万円から購入可能だ。 同記事では、こうした果敢な価格競争の影響を受けているのは、日産だけではなく、「トヨタ、
本稿は社会心理学者ジョナサン・ハイトの未邦訳書『The Anxious Generation(不安な世代)』の抜粋である。第一回はこちらから。 スマホの罠から抜け出す4つの規範 子供とその親たちはスマホを使い続ける「集団行動の罠」にはまっている。どれも個々の家庭で抜け出すのは難しいが、家庭、学校、地域社会が連携して行動すれば、抜け出すのはずっと容易になるはずだ。 ここからは、スマートフォンに支配された子供時代に終止符を打つための4つの施策を紹介する。 地域コミュニティがこの4つを実践すれば、2年以内に若年層のメンタルヘルスに大幅な改善がみられると私は信じている。
宗教を信仰する10代の若者は、世俗的な若者よりも幸せであることを示す研究が注目を集めている。 近年、米国では若者のメンタルヘルスの危機が度々報じられている。だが、信仰心の篤い10代の精神状態は、この社会的傾向とは異なり、安定しているという。 一体なぜか? 米紙「ボストン・グローブ」が掲載した、米国の高校生を対象とした「モニタリング・ザ・フューチャー」のデータ(1979〜2019年)によると、「信仰心の篤い10代」と「世俗的な10代」のメンタルヘルスに顕著な差がみられ始めたのは2010年以降だ。 同調査では、対象者を「世俗的な進歩派(リベラル)」「信仰心に篤い進歩派(リベラル)」「世俗的な保守派」「信仰心に篤い保守派」の4つのグループに分けており、そのデータは2010年以降、ほぼどのグループも孤独や不安、無価値感、憂鬱をより強く感じるようになったことを示している。
足元で世界中を襲っているインフレ。イギリスでは物価上昇率が40年ぶりに10%を超えるなど、歴史的な水準にまで上昇した。では、過去にインフレが発生した時代の教訓から、私たちは何を学ぶことができるのだろうか。 インフレ高騰した16世紀はどんな時代だったか ヘンリー8世の時代、イングランドは崩壊寸前の様相を呈していた。かつてなく物乞いが増え、隙あらば他人の喉をかっ切るような連中ばかりだったという。誰もが貨幣価値の低下を疑い、その懸念は的中していた。貨幣に負けずモラルも低下していた。 ヘンリーの治世の半ば頃にケント州で行われたある悪名高い葬儀では「酒池肉林の乱痴気騒ぎとなった」と報告されており、「140人の男たち全員が女性をはべらせていた」という。何かおかしいという感覚はヨーロッパ全域で共有され、1590年代までに財政危機、社会不安、そして戦争に見舞われたのである。 社会混乱の元凶は、まったくの予
富士フイルムは半導体事業と深い関係を築いたオールドエコノミー企業の一つ(写真は同社が昨年横浜で開いた展示会) Photo: Stanislav Kogiku / SOPA Images / LightRocket / Getty Images
米ハーバード大学の政治哲学者マイケル・サンデルは2001年末、思いがけない招待状を受け取った。生命倫理に関する問題を取り扱う諮問機関「大統領生命倫理評議会」への参加を要請されたのだ。サンデルは生命倫理の専門家ではなかったが、遺伝子操作、クローン技術、幹細胞研究など、大きな道徳的課題をもたらす新興分野を考察するというアイデアに心引かれた。 そして、これらのテーマをその有名な講義を通じて追究し続け、特に興味を引かれた問題だった遺伝子増強(エンハンスメント)に関する著作『完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理-』を出版した。この中で、サンデルは現在も未解決となっている倫理的なジレンマに関し、その知性と鋭さで切り込んでいる。また、この本では『実力も運のうち 能力主義は正義か? 』などの後に出版した著作でも展開した正義や民主主義、共同体、能力主義に関するサンデルの考え
チョコレートの原材料であるカカオ豆の国際価格が急騰し、2024年4月には過去最高値を更新した。5月以降、相場は調整を深めているが、今後カカオ豆の価格は再び上昇するのか。また、そもそもなぜ、カカオ豆の価格は急騰したのだろうか。その理由を探ると、世界的なインフレとは関係のない理由が浮かびあがってきた。 カカオ豆が史上最高値に上昇した理由 2024年3月初頭。イースターまで1ヵ月を切り、欧米では甘党の消費者たちがチョコレートに思いを馳せはじめる頃だ。英国だけでも、この時期にはミルクチョコレートエッグが何千万個も売れる。だが、2024年のチョコレート価格は例年になく高まることが予想されており、しかもその原因は、市場における既存のインフレ圧力とはほぼ無関係だ。 むしろ、ここ数ヵ月のカカオ価格の容赦ない上昇が価格を押し上げているようだ。カカオ豆の価格は史上最高額まで急騰し、ニューヨークのカカオ豆先物価
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマリアナ・マッツカート教授らは、コンサルティング業界は不当に莫大な経済的利益を得ていると指摘する。それはなぜなのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が解説する。 衰退するコンサル業界 私は以前、米国の大手出版社で働いていた。当時は「ドットコム革命」の渦中にあり、読者の減少と収益の低下が課題となっていた。そこで同社幹部は大手経営コンサルティング企業と契約し、何をなすべきか分析を依頼した。 数ヵ月にわたって会議が続き、数100万ドルが支払われた。しかし、そうして提案されたシナリオは明らかに不充分だった。賢者たちによるそのアドバイスに従っても、読者をつなぎとめることも、雑誌を救うこともできなかったのだ。 さらに他の要因もあり、私はずっと経営コンサルティングに対して懐疑的だった。まず「正しく数値化できれば、適切に対応できる」というアプローチでは、たくさんのもの
著しく高齢化が進む日本の水産業。人手不足が深刻な状況のなか、漁師を目指す女性の姿も見られるが、古くからの男社会が彼女たちの参入を難しくしているという。英「ガーディアン」紙が岩手県で取材した。 岡田真由美(49)は最後にひと振りして、水をたっぷり吸った重いロープを太平洋へ繰り出した。午後の強風で海面に白波が立つなか、夫の薫省(くにあき・54)が船室を出て船べり越しに目を凝らす。そして、最後に投入した幼生カキの稚貝が所定の位置まで下りたことを確認した。このカキが成長すると、東北地方の太平洋岸一帯の代名詞といえる大振りな身の高級食材となる。 3年前、岡田薫省は勤務していた旅行会社を辞め、妻の真由美とともに東京から500キロ北の岩手県大船渡市三陸町の小規模集落、泊(とまり)へ移住した。彼は以前から、漁師として一本立ちすることを夢見ていた。真由美は夫の夢を応援したが、彼女自身も海への憧れがあった。
自民党派閥の政治資金裏金パーティー問題など、これまで数々の政治スクープを他紙に先駆けて報じてきた「しんぶん赤旗」に英誌「エコノミスト」が注目。その一方で権力におもねり、政治の責任を追求しようとしない日本の大手メディアの姿勢に疑問を投げかける。 日本では2024年1月に通常国会が召集されて以来、主にあるひとつの問題が議論されつづけてきた。 政権与党たる自民党の汚職スキャンダルだ。 2023年末、政治資金を集める目的で開かれていた会費制パーティーの収入を報告書に記載せず脱税したとして、検察は複数の自民党派閥への捜査を開始した。 すでに会計士や議員などを含む自民党関係者が起訴されており、同年12月には閣僚4人、副大臣5人が更迭された。 2024年4月には岸田文雄首相が自民党の重鎮2人である塩谷立元文部科学相と、世耕弘成前参院幹事長を離党勧告するなど、39人の党員を処分した。 日本を揺るがすこの政
ニューアルバムを発表したジョン・ボン・ジョヴィ。62歳となった彼が、これまでのキャリアや結婚生活、そして後悔について英「ガーディアン」紙に語った。 1982年、ニューヨークの録音スタジオで働いていたジョン・ボン・ジョヴィは、休み時間に『夜明けのランナウェイ』という楽曲を録音した。レコード会社に持ち込んでは、片っ端から断られたが、あるラジオDJから無契約バンドのコンペに出すよう勧められ、優勝した。しばらくしてから、車でニュージャージー州セアビルの実家へ向かっていたときのことを、ボン・ジョヴィはこう振り返る。 「ひとりきりの車内で、初めてラジオで『夜明けのランナウェイ』を聴いたんだ。両サイドのウィンドウを下げて、車を飛ばしたくなったよ。警察に止められたら『ほら、このラジオの曲は俺が作ったんだぜ』って言えるから、そうなればいいと思っていた」 ひとりきりで、カーラジオをつけて車を飛ばす。ボン・ジョ
メッカのカーバ神殿の周囲を回る巡礼者たち Photo: Issam Rimawi / Anadolu / Getty Images 灼熱のなかの巡礼 イスラム教の五行の一つで、財力と体力のあるイスラム教徒が一生に一度はおこなわなければならないとされている、サウジアラビアのメッカへの大巡礼「ハッジ」。その日程はイスラム暦によって決定され、2024年は6月14日から19日だった。公式には、約180万人が世界各国からメッカを訪れたとされる。 この時期は、サウジアラビアの灼熱の夏にあたる。特に今年は強い熱波に襲われ、サウジアラビアの国立気象センターによると、この期間のメッカの最高気温は51.8度にまで達したという。 その暑さのため、今年のハッジでは大量の死者が出てしまった。AFP通信は6月20日に、死者が1000人を超えたと発表したが、いまだ収容先や消息がわからない「行方不明者」も多く、全容はわか
本稿は社会心理学者ジョナサン・ハイトの未邦訳書『The Anxious Generation(不安な世代)』の抜粋である。第一回はこちらから。 スマートフォンによる多くの弊害 Z世代の幼少期に訪れたSNSやスマホがもたらした弊害はメンタルヘルスの域を超えている。社会的な不器用さや自己肯定感の低下、座りっぱなしの子供時代などに加え、ここでは、さらに3つの弊害を紹介しよう。 注意力の分断、学習の中断 前頭前皮質が充分に発達した大人にとっても、コンピュータを前にして作業を続けるのは難しい。思春期の子供が宿題をしようとコンピュータの前に座るのは、もっと難しい。彼らはおそらく、タスクに集中しようという内発的動機づけが弱いのだろう。 子供たちは前頭前野が未発達であるゆえ、アプリを提供する企業にとっては、共感や娯楽で彼らを誘い出すのは簡単なのだ。 若者たちは、楽しみが多く、労力の少ないデジタル体験の可能
ChatGPTほどまだ浸透してはいないかもしれない。だが、ソフトバンクも提携を発表し、じわじわとその勢力を拡大するスタートアップ企業「Perplexity(パープレキシティ)」。彼らが生み出した「回答エンジン」は、インターネットの検索システム自体を変えてしまうのだろうか。 ある日突然、グーグルの検索エンジンに取って代わるアプリケーションが出現したら──。これまでなら突飛な仮説でしかなかっただろう。だが、生成AIの新時代において、こうした仮説はますます現実味を帯びてきている。 もちろん、この技術を実質的に発明したと言える巨大企業グーグルは、まだ始まったばかりのAI戦争において、反撃するための資本と頭脳のリソースを充分有している。しかし、OpenAI(オープンAI)による「ChatGPT」のような対話エージェントの普及は、グーグルの主要な糧である「グーグル検索」を揺るがしつつある。何千ものスタ
姫路城の入場料を、海外からの観光客であるかないかで分けて設定したいという姫路市長の発言をうけ、米紙「ワシントン・ポスト」が海外の識者らの見解を紹介している。 日本の兵庫県にある姫路城を訪れる外国人観光客はまもなく、国内の観光客の6倍も入場料を払わねばならなくなるかもしれない。押し寄せる観光客の波と、海外からの観光客にとってはやや魅力的すぎる円安に、姫路市長が対処しようとしているのだ。 ユネスコ世界遺産にも登録されている姫路城の入場料は現在、18歳以上なら誰でも1000円だ。 6月16日に姫路市で開かれた国際会議で清元秀泰市長は、その入場料について「外国の人は30ドル払っていただいて市民は5ドルぐらいにしたい」と発言。その収益は城の補修・維持に充てるつもりだという。 観光客がもっとお金を落とせばよいという話ではない 観光税は真新しいものではない。国外からの観光客を対象にした割増料金は、宿泊料
スマホ中心の子供時代がもたらす代償 デバイスの中で消えゆく時間 米国の思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローは1854年、簡素な暮らしに関する著作『森の生活:ウォールデン』のなかで、次のように書いている。 「ものの値段とは、それと引き換えに直ちにまたは長期にわたって要求される人生の量のことである」 これはのちに経済学者が「選択の機会費用」と呼ぶものの洗練された表現だ。つまり一度、お金と時間を何かに費やしたことで、もうできないすべてのことを指す。 だからこそ、子供の1日のうち、どれだけの時間がデバイスに費やされているかを把握するのは重要なのだ。 その数字は信じがたい。ギャロップの最近のデータによると、米国の10代がTikTokやYouTubeなどSNSで過ごす時間だけで1日約5時間に上る。 これに、スマホをはじめとするスクリーンデバイスにおけるその他の活動を加えると、1日平均7時間から9時間に
子供の数が減っている層 しかしながら、出生率の問題はもっと複雑なものだ。大部分の原因は、ベッカーの理論が示唆するような、働く人の習慣の変化によるものではなく、若い女性があまり子供を産まなくなったということにある。 1960年代、米国の女性は平均3.6人の子供を産んでいたが、2023年には1.6人だった。驚くべきことに、30歳以上の女性のほうがより多くの子供を産んでいる。産む子供の数が減っているのは若い女性だけなのだ。 さらに、出生率の低下は若い世代のなかでも10代に特徴的である。米国全体の出生率の低下は、半分以上が19歳以下の女性がほとんど出産しなくなったことによって説明できる。だが、そうした出産のうち3分の1は無計画な出産であり、大部分は低所得の女性によるものだ。 プリンストン大学の社会学者であるキャサリン・エディンは、1990年代から貧困層の女性へのインタビューをおこなっている。彼女は
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