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フェミニスト批評家・北村紗衣さんの新連載「あなたの感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評」を開始します。本連載では、映画を見る際に注目するとよいポイントを、北村さんがいままで見たことがなかった映画の感想を話しながら紹介していきます。 これまであまり見てこなかったジャンルの映画も、「なんかよかった」「つまんなかった」しか感想が思い浮かばない映画も、あるポイントに注目して見ると、これまでと違った感想が思いつくかもしれません。昔懐かしい映画から、聞いたことのない映画まで、北村さんの感想とポイントをお楽しみください。 本連載はテキストだけでなく、収録の様子を一部、YouTubeの太田出版チャンネルに公開していく予定です。記事におさめられていない話も含まれていますので、本記事とあわせてどうぞ! こんにちは。シェイクスピアやフェミニスト批評の研究をしている北村紗衣です。本連載「あなたの感想って
コントなどで探偵を演じる場合、“探偵っぽい雰囲気”を作り上げるマストアイテムが「鹿撃ち帽」。ごぞんじシャーロック・ホームズが挿絵で必ずといっていいほどかぶっている鹿撃ち帽は、「シャーロック・ホームズと言えば…」というひとつのアイコンになっていて、「シャーロックハット」と呼ばれたりもします。 しかしこの鹿撃ち帽は、実は小説には一度も出てきません。登場するのは挿絵のみ。なので、「シャーロック・ホームズと言えば鹿撃ち帽」というのは、挿絵が一人歩きして生まれたイメージなのです。 その絵を書いたのは、シドニー・バジェット。1891年の『ボスコム渓谷の惨劇』での挿絵が最初と言われています。なぜシャーロック・ホームズに鹿撃ち帽をかぶせたかは諸説ありますが、「シドニーが気に入っていたから」というのが今のところ有力な説。ですから、シドニーの想像力がなければ、鹿撃ち帽のシャーロック・ホームズは生まれなかったと
「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆し、デビュー作『世界と私のA to Z』が増刷を重ね、新刊『#Z世代的価値観』も好調の、カリフォルニア出身&在住ライター・竹田ダニエルさんの新連載がついにOHTABOOKSTANDに登場。いま米国のZ世代が過酷な現代社会を生き抜く「抵抗運動」として注目され、日本にも広がりつつある新しい価値観「セルフケア・セルフラブ」について語ります。本当に「自分を愛する」とはいったいどういうことなのでしょうか? 一緒に考えていきましょう。 資本主義的なセルフケアの問題点資本主義的な「セルフケア」の概念の問題点は、あまりにも「個人」に焦点を当てすぎていることだ。”You can’t self love yourself out of oppression (いくらセルフケアを実践しても、抑圧から抜け出すことはできない)”というフレーズがある。たくさんの制
「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆し、デビュー作『世界と私のA to Z』が増刷を重ね、新刊『#Z世代的価値観』も好調の、カリフォルニア出身&在住ライター・竹田ダニエルさんの新連載がついにOHTABOOKSTANDに登場。いま米国のZ世代が過酷な現代社会を生き抜く「抵抗運動」として注目され、日本にも広がりつつある新しい価値観「セルフケア・セルフラブ」について語ります。本当に「自分を愛する」とはいったいどういうことなのでしょうか? 一緒に考えていきましょう。 「セルフケア」の日本における受容最近、「セルフケア」という言葉が日本でも急速に広がりつつあるが、「セルフケア」という言葉を聞いて、どういうことを想像するだろうか。いつもより少し贅沢な保湿パック、いつもは買わないデパートのチョコレート、シャンパングラス片手に泡風呂、またはちょっと遠くまで一人旅。「自分で自分のご機嫌を取
「革命思想家」太田竜の「アイヌ革命論」に感化された集団による暴力事件が、1970年代前半北海道で相次いで起こり、テロの連鎖が続く。一方で、太田自身は思想的変転を繰り返し、体調不良から自然食に傾倒、やがて陰謀論に接近していく。 体調不良と「自然観の革命」アイヌ革命運動の展開、北海道と東京の往復、同志との離反、大量の原稿執筆、影響を受けた者による連続テロ事件、公安からのマーク、そして逮捕・拘留・裁判。 1960年代後半から1970年代の太田竜は、多忙かつ精神をすり減らす生活を送っていた。毎日、大量の砂糖とコーヒーを摂取するようになり、歯が痛んだ。その結果、食べ物を十分にかむことができなくなり、食事を飲み込むようになった。 水虫や痔が治らなくなり、年中、体のどこかが具合悪い状態になった。視力も遠視が進み、気力・体力も衰えていった。1970年代後半になると肝臓・膀胱・尿道が悪くなり、頻繁にトイレに
淡路島にある商店街の銭湯と同じ建物の立ち飲みスペース「ふろやのよこっちょ」。近隣の飲食店をサポートするために持ち込みが自由で、常連たちの持ち込みの定番だった刺身の盛り合わせを提供する魚屋「林屋」が閉店してしまうと聞いた。最終営業日の2023年の8月30日、フェリーに乗って淡路島に向かった。 「淡路島の岩屋に行ってみませんか?」淡路島の北部にある岩屋という町が好きで、何度も訪れてきた。神戸市と四国の徳島県の間に浮かぶ淡路島へは、神戸市側からなら明石海峡大橋を使って車で行くことができて、多くの人は高速バスか自家用車かに乗って向かうのだと思う。 明石海峡大橋が1998年に開通するまでは、神戸側から淡路島へ行くのには海路しかなく、フェリーのルートが複数あったそうだ。しかし、橋が開通すると、それらのほとんどは運航をやめ、2023年現在では「ジェノバライン」という高速船が唯一、本州と淡路島を結ぶ海路と
和歌山と姫路、住んでいる大阪からも在来線でも行きやすいふたつの町に相次いで出かけた。それぞれ久しぶりの訪問だったが、新しい発見が多い小さな旅となった。何も起こらない、夢のような、必要な時間。 なんだか夢のようだったカレーを出す店を取材しに和歌山へ行くことになった。最近よく原稿を書かせてもらっているグルメ雑誌があって、先日久しぶりに会った父親に「お前は何を食べても美味しい美味しいと言うから信用できない」と言って笑われたほどに乱暴な味覚を持った私なのだが、なぜか何度も声をかけてもらっている。そのありがたい雑誌の編集長であるEさんとJR和歌山駅で待ち合わせていて、私はひとりでその時間に着くように電車に乗った。 大阪から和歌山方面へ向かう平日の昼前の電車は、いつもそうなのかもしれないが、空いていた。東京の山手線のような横並びのシートではなく、新幹線みたいな、進行方向に向かって並ぶ座席に腰かけて、本
『女の子は本当にピンクが好きなのか』・『不道徳お母さん講座』で話題の堀越英美さんによる新連載「ぼんやり者のケア・カルチャー入門」。最近よく目にする「ケア」ってちょっと難しそう……でも、わたしたち大人だって、人にやさしく、思いやって生きていきたい……ぼんやり者でも新時代を渡り歩ける!? 「ケアの技術」を映画・アニメ・漫画など身近なカルチャーから学びます。第16回は、なんと早くも最終回です! なぜなら、この連載を締めくくるにふさわしい大傑作が爆誕してしまったから。みんな大好き『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』です。
『女の子は本当にピンクが好きなのか』・『不道徳お母さん講座』で話題の堀越英美さんによる新連載「ぼんやり者のケア・カルチャー入門」。最近よく目にする「ケア」ってちょっと難しそう……でも、わたしたち大人だって、人にやさしく、思いやって生きていきたい……ぼんやり者でも新時代を渡り歩ける!? 「ケアの技術」を映画・アニメ・漫画など身近なカルチャーから学びます。第15回のテーマは、主婦バイトとアダム・スミス。
「向いているかは、まだわからない。でも意外とやれている」 喫茶店でホール担当のバイトを始めて二ヶ月経った頃、エッセイの締めに書いた文章である。 初夏から晩秋までの契約だった。覚えることがたくさんある。同じ失敗を繰り返して叱られている。だけど、最終日にはこの店の一員として認められるような動きを身に付けていたい。この調子で覚えていけば、きっとできる。そんな夢を見ていたのである。 目を覚ませ。店の裏山の清流で顔を洗え。何が「意外とやれている」のか。信じられないことに、私は二ヶ月目の情けない働きぶりをキープしたまま最終日まで走り続けたのであります。伸びしろがありませんでした。 叱られても一向に変わらないほうがむしろ難しいだろ。 まあ、まだ教えたばかりだしな。これから慣れていくよな。皿を割るのも今だけだろう。店主もはじめは内心そう思っていたはずだ。しかし、私はいつまで経っても皿を割り、注文を聞き間違
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