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ある時、ある男が、ある山の頂近くにて、氷漬けになっていた木材を発見した。 人跡もなく草木も生えない極寒の世界、そこで見つかった『加工された木材』 その山の名はアララト山。聖書、創世記に語られた場所。そこはノアの箱舟が漂着した高峰。 眠っていたのは伝説の船か、神代の遺物か。 世界中に残された大洪水伝説が指し示す一つの答え――ノアの箱舟は実在したか? 失われた船と禁断の山 そして主は仰せられた。 「私が創造した人を地の面から消し去ろう。人を始め、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。私は、これらを作ったことを残念に思うからだ」 創世記 6:7 (新改訳聖書刊行会版) 1955年。 日本が戦後の混乱から落ち着きを取り戻しつつあった頃。その後も続く米ソの冷戦が『幻の雪解け』を見せかけた頃。 あるいは――UFOマニアたちがいうところの謎のヒューマノイドとの遭遇戦『ホプキンスビル事件』が起こった――とされ
あるひと組のカップルが南海の無人島に降り立った。 彼らの目的とする『楽園作り』――各国のメディアが面白おかしくそれを報じ、その成りゆきを見守った。 だが世間がコメディだと思っていた物語は、やがてホラーとなり、ミステリーにもなった。 春も秋もなく、ただあるのは永遠の夏。手造りの楽園――そこで何があったのか。 ここは永遠のロックランド 1929年、夏。 力強い経済成長を続けていたアメリカは、のちに「狂騒の20年代」と呼ばれる時代の終焉に差しかかろうとしていた。 永遠に続くかに見える成長の途上にあって、現代的であること、そして合理的であることが是とされ、旧来の価値観は否定された。一方のソ連ではトロツキーが国外追放され、スターリンがその権力を盤石にしている。 ちょうどダウ工業平均が大暴落直前の史上最高値をつけたその年の夏、ある一組の男女が『世界の果て』と評されていた群島に上陸した。 男の名はフリー
「アス アサ イヅ 四ジ ジシンアル ムクヒラ」 電報を受け取った科学者は気にも留めなかった。明けて翌日、科学者は戦慄することになる。 『伊豆地方大地震惨劇』死者及び行方不明者272名――。椋平青年の予言した通りの時間、予言した通りの場所だった。 調査に当たったある科学者は頭を抱える。 「彼自身を全て信じることは出来ない。だが、何かが、必ず何かがあるんだ」と。 So-called Mukuhira’s Arc 1930年(昭和5年)11月26日朝8時。 京都帝國大学の理学部部長、石野友吉博士は前日に用務員から受け取っていた電報をまじまじと観察した。 内容にはこうある。 『アス アサ イヅ 四ジ ジシンアル ムクヒラ』 発信局、天橋立局。発信日時は前日の11月25日。 発信時刻は午後0時25分、着信時刻、同日午後0時50分とある。 まぎれもなく、この電報はまぎれもなく前日に打たれ、石野の元へ
1999年に完成した町営住宅で住民の入居直後から奇妙な現象が起こる。 怪音が響き、皿が飛び、コンセントの抜けたドライヤーから熱風が――。 怪現象としてメディアに大きく取りあげられ、様々な憶測が飛び交い、全国からは自称霊能力者たちが競うように訪れた。 富加町幽霊マンション――そこで何があったのか。 小さな町の、大きな事件 西暦2000年秋。 驚くべき事件が新聞によって報じられた。 4億円の費用をかけて1999年に完成した四階建ての町営住宅で怪現象が起こっているのだという。 日本において、怪現象の報告は決して少なくないが、新聞やテレビと言った大手メディアで大々的に報じられたケースは多くない。この事件はその希有な例だ。 完成直後から、入居した住人たちは夜中に響く怪音に悩まされていた。 「ビシッ、バシッ」だの「キーッ」だの、メモによれば「ガラスビンが転がるような音、ノコギリで切るような音、金槌で叩
『謎の怪物あらわる!』奇怪なニュースが全国紙を賑わせた。 神話が息づく中国地方の山奥で直立二足歩行する獣人が目撃された、と。 目撃報告は増え続け、さまざまな人々が現地に押しかけた。 そして、怪物はある日を境にパタリと消えた。 謎の獣人、ヒバゴンは何処へいったか。 怪物のいた夏 1970年。日本、広島、夏。 中国地方の中央に位置する比婆郡西城町で奇妙な遭遇があった。 7月20日午後8時。同町油木地区に住む丸崎安考さん(当時31歳)が、仕事に使用する軽トラックで中国電力六の原調整池ダム付近を走行していた時のことだ。 突然、見たこともない生物が現れ、丸崎さんの目の前を横切った。 その生物は子牛ぐらいの大きさで、丸崎さんは一瞬ゴリラかと思ったという。 その怪物は丸崎さんの方をじっと見つめながら、ゆっくりと歩行し、やがてキリキリとヒグラシのなく森の奥へと消えて行った。どうやら谷に向かって下っていたよ
更新履歴 2021/06/05 【NEW】ノアの箱舟――大洪水で繋がる世界 公開。 2020/10/03 ファフロツキーズ――落ちた魚で昼食を 公開。 2020/03/05 【追記】坪野鉱泉肝試し失踪事件――消えた2人と消えた真実 続報。行方不明だった2人の車両および遺体発見。 2019/10/06 【追記】万病を治すルルドの泉 認められた奇跡 『無原罪の宿り』についての指摘追記。 2019/04/28 【追記】ヤクート死の谷の謎―永久凍土に眠る大鍋 『地球防衛システム仮説 ATフィールド』についての指摘追記。 2018/12/15 富士市UFO同乗事件――メルセデス星人のケース 公開。 2018/12/15 【追記1】ミイラ漂流船――良栄丸の怪奇 『食人描写デマ』についてのソース情報を追記。 【追記2】画家だって第三種接近遭遇する――レジャー星人ハウピ村事件 花田氏による追跡調査情報
1人の男が死んだ。その男は暑い夏の盛りにコートを羽織り、眠るようにビーチに横たわっていた。警察がどれほど調べても男の身元は判明せず、ただ意味不明のメモばかりが見つかる。Taman Shud――いまだ未解読の暗号が残る、いぜん未解明の事件。 謎の男 サマートン・マン 1948年12月1日の朝。オーストラリアはアデレードの南に広がる砂浜で、男が死んでいると通報が入った。 駆けつけた警察は男が亡くなっている事を確認すると同時に、奇妙ないくつかの事実に首をかしげた。 半袖すら煩わしく思える暑い夏の盛りに、この男はスーツの上に分厚いニットのプルオーバーを着込んで死んでいるのだ。争った形跡もなく防波堤代わりの石を枕にして、ただ眠っているかのような穏やかさで死んでいる男。 当初、地元警察はこの事件がすぐに解決すると踏んでいた。奇妙ではあるが、大した事件ではない。この男はビーチを散歩中に何らかの急性的な病
心霊スポットに行ったきり2度と戻らなかった――。怪談話のテンプレートとも言える話の流れ。それを地で行く事件があった。 若い女性が2人、有名な廃墟へ肝試しへ行き、消えた。車ごと忽然と、跡形もなく。 恐怖の都市伝説となった失踪事件。まとわりついた誇張やデマ、その誤ったヴェールの向こうに何が隠れているのか。 好奇心は猫をころすか 1996年5月5日21時頃。 富山県氷見市に住んでいた19歳の少女二人が家族に「肝試しに行く」と告げ、車で出かけたきり消息を絶った。 彼女たちが向かったのは魚津市にある温泉旅館廃墟ホテル坪野跡、通称『坪野鉱泉』だった。 深夜になって、彼女たちから友人に向けて発信された「いま魚津市にいる」というポケベルのメッセージが彼女たちが発した最後の足取りとなった。 目撃証言も残っている。 同日5月5日22時頃、2人の乗った車が国道8号線(富山市と滑川市の市境あたり)を魚津方面へ向か
ある老人が亡くなった。 彼には友人も身寄りもなく、彼を知る者は、彼の名前しか知らないと言った。 彼の部屋を片付けようとしたアパートの管理人はそこで、異様なものを発見する。 300枚を超える巨大な極彩色のイラスト、膨大な1万5000ページに及ぶテキスト。 そのテキストにはタイトルがあった。『非現実の王国で』 これは、誰も知らない、世界で一番長い物語。 非現実の王国で、ひとり。 1973年、シカゴで1人の男が亡くなった。 そのとき誰も気にもとめなかった。 亡くなったのは酷く孤独な老人で、同じアパートの住民との交流もなかった。 むしろ、一部の住人たちは、その老人を疎ましく思っていた。 彼はいつも決まって第一次大戦の軍用コートを着て、まるで浮浪者のようだった。 壊れた眼鏡は絆創膏で補修し、コートも繕った痕ばかり。 そしてごみ捨て場をウロウロして、なにやら拾っては持ち帰っているらしい。 住民たちはそ
2018年。ある一冊の書籍が刊行された。発売日当日から発行部数が少ないがゆえの混乱により、買い占め・転売が横行――書籍ながらに新興国通貨よりも激しい値動きを見せ、投機スジでさえ顔をしかめる相場が続いた。書籍を買えなかった者は浅薄きわまるマネーゲームに義憤の涙を流し、その一方で買えた者は買えた者で、通読に耐えないレベルの誤字脱字に涙した。「私はお金を出して本を買ったはずが、気がつけば初版の校正要員として利用されていたのです」――涙ながらにそんな憤りを語った読者もいた。だが初版だけではなかった。この書は、オカルト界隈の荒廃に戦いを挑んだ読者と著者の記録である。界隈においてまったく無名の弱小サイトが荒廃の中から健全な精神を培い、わずか数年で絶版からの復刊をなし遂げた奇跡を通じ、その原動力となった猜疑心と信奉心そして読者と著者、その子羊たちのもどかしくも屈折した成長の軌跡――はひとまず脇において、
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