裁判官からみて、良い弁護士とは、どのような弁護士か︵なお、筆者は任官以来民事畑を歩んでいる裁判官であり、本稿は、もっぱら民事事件の代理人弁護士について述べるものであって、刑事事件の弁護人は検討の対象外である。︶。 筆者以外の、所謂﹁真っ当な﹂裁判官にこの問いかけをしたら、例えば、﹁高い法的素養を有し、的確な法律構成を提示する弁護士﹂、﹁裁判所の判断枠組みを踏まえた主張立証を行う弁護士﹂、﹁理路整然とした読みやすい書面を書く弁護士﹂、﹁期日における実質的な口頭議論に対応できる弁護士﹂等々、所謂﹁優秀な﹂弁護士の評価根拠事実が、種々挙げられるかもしれない。 しかし、批判を恐れずにいえば、裁判官からみた良い弁護士とは、﹁和解ができる弁護士﹂、実のところ、この一点に尽きる。 多数の事件を抱える我々裁判官にとって、和解になじむ事件︵単独事件のほとんどはそうであるといえる。︶を、取りこぼしなく和解で落