アベノミクスにより実現が期待される経済の好循環。そのためには個人や企業の消費や投資行動が活発になる必要がある。こうした個人の消費行動と心理状態の関係性については、﹁景気は気から﹂という言葉に代表されるように、以前より何らかの関係があるものと考える人はいたものの、経済学的な分析は行われてこなかった。関沢洋一シニアフェローは、認知行動療法などの心理療法を通じて心の健康を増進することは、深刻化するメンタルヘルスの問題への対応策として人的資本の質の向上につながるだけでなく、国全体の景気に対しても良い影響を及ぼす可能性があると指摘する。 ――この研究は何を目指して行っているのですか。 この論文はRIETIのプロジェクト﹁人的資本という観点から見たメンタルヘルスについての研究﹂の成果の一部です。メンタルヘルスはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで提言が出されたり、OECDにおけるプロジェクトとして