いつどこでも編み物をしたいし、編みはじめたらしばらく没頭したい。できれば無限に没頭したい。そんなすきま時間が今日、確保できるかどうか予想はつかないが、私は常に備えている。どんなに大量のすきま時間が降りかかってもちゃんと編み狂えるように……安心して狂うためには、準備が要るのだ。 その準備について説明する前に、まず、セーターなどのウエアを編むときのモードには2種類あるということを書きたい。車の運転と同じで、マニュアルと、オートだ。かんたんにいうとマニュアルモードは曲線部分を編むことで、オートモードは直線部分を編むことだ。 曲線部分というのは、襟ぐり、袖ぐり、袖山。わかんない人はセーターの﹁ひらき﹂、つまり展開図を見てください。この図の中で斜線にしたのがマニュアルモードで編む部分、白いままのがオートモードで編める部分だ。 マニュアルモードのところを編むにはさまざまな注意がいる。編みながらこれらの