ブックマーク / agora-web.jp (4)
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テレビに映る沖縄の県知事室には、漢字だらけの屏風が見える。これは、もともと首里城の正殿前にあった鐘の銘。なにが書いてあるか、というと、琉球国は、南海の地の利、半島の人の利を得て、中国や日本と﹁唇歯輔車︵しんしほしゃ、対等の相互依存、出﹃春秋左氏伝﹄︶﹂の関係にある、という話。今の時代に、こんなものを一地方自治体の長の部屋に置き、わざわざやってきた中央政府の来客との面談にさえ用いる、とは、なかなか不遜な威嚇挑発。それがわからぬほど学のない大臣ばかりなのが、幸いなのかどうか。 それにしても、次から次に変な大臣、変な官僚が乗り込み、勝手なこと、失礼なことを言い散らし、沖縄の人々の気持ちを逆なでにしてばかりいるのを見聞きするにつけ、たんなる本土の一庶民としてさえ、まことに恥ずかしく、心苦しい。 だが、あの屏風を見るにつけ、先に福島で某大臣が県知事に﹁上下関係を重んじろ﹂など言ったとか言わなかったと
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年末年始は、まったくテレビを見なかった。たまに数分つけると、どの局も晴れ着の芸能人が出てきて楽屋落ちで騒いでいる。この極端な白痴化の原因は、広告収入の落ち込みだ。先日ある放送業界のシンポジウムで民放の人々に聞かされたのは、コスト節約圧力の強さだった。﹁数字を取るのは簡単なんですよ﹂と、あるディレクターは言った。﹁プライドを捨てればいいんだから﹂。 テレビの視聴者は1000万人単位なので、何が受けるかは出す側にはわからない。こういう場合、なるべくレベルの低い視聴者をねらうのがコツだ。NHKの場合は、池上彰さんのように超初歩的なことから解説する。民放もそれに気づいたらしく、この年末年始は池上さんが引っ張りだこだった。彼が悪いといっているのではない。テレビの平均視聴者は﹁こどもニュース﹂ぐらいなのだ。 民放の場合は、日本テレビの土屋敏男さんのいうように﹁馬鹿にどう見せるか﹂を考える。コストを節約
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JAL︵日本航空︶の再建問題をめぐって、海外の航空会社との提携の話が棚上げになり、経営危機説が再燃している。前原国土交通相は﹁政府が支援する﹂と明言したが、JALは資金繰りが行き詰まっており、法的整理をしないと再建は困難だという意見も多い。 JALの経営不安は、今に始まったことではない。派閥抗争が続いて﹁お家騒動﹂が繰り返され、政府もJALを地方空港に無理やり就航させてきたので、国内路線の9割は赤字だという。世界の航空会社のベスト10ランキングを見ても、JALもANA︵全日空︶も入っていない。世界の航空業界の競争は激しく、大手が倒産することも珍しくない。JALのような中途半端なサイズの企業が生き残ることはむずかしいというのが専門家の見方だ。 前原氏は、JALが破綻したりANAと合併したりして国内の大手航空会社が1社だけになると﹁独禁法違反になる﹂というが、それを避ける政策はある。いま世界の
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北村さんの記事から﹁小泉改革と地方格差﹂というお題をいただいて、考えてみました。﹁構造改革で地方が疲弊した﹂というのは、よく聞かれる批判です。自民党の政治家が言っているのは、バラマキ公共事業が減ったという話で同情の余地はないのですが、地方が衰退していることは事実です。しかし農家への所得補償で﹁地方を元気にする﹂という民主党の政策は、新たなバラマキになるおそれが強い。 人口の都市集中を抑制する﹁国土の均衡ある発展﹂を国策に掲げたのは、1970年代の田中角栄以来の全国総合開発計画ですが、これによって日本の成長率が低下したという1970年体制論が、経済学では有力です。図のように1970年代以降、人口の都市集中が止まるのと並行して、実質成長率が低下しました。これは生産性の高い都市に労働人口が移ることによって人的資源が再配分される移動の経済性が失われたためです。 図でもわかるように、小泉政権の時代に
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