ブックマーク / gendai.media (13)
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6年間東京の外資企業に勤務し、ロンドンの投資会社勤務を経て現在、ロンドンのスタートアップ企業で働く鈴木綾さん︵33歳︶。﹁鈴木綾﹂はペンネームで、彼女は日本人ではない。そしてイギリス人でもない。国籍を明かさずに、一人の人間として女性の生き方をはじめとする現代社会のあり様を観察し、執筆している。 鈴木さんは日本を愛しながらも、その﹁不愉快な環境﹂に耐えかねて、4年前に渡英した。彼女が耐えられなかった環境とは、どんなものだったのか。先日、初の著書﹃ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた﹄︵幻冬舎︶も上梓した鈴木さんに、ロンドンで暮らして改めて気づいた日本特有の問題について綴ってもらった。 ※以下、鈴木さんによる寄稿。 鈴木 綾 1988年生まれ。6年間東京で外資企業に勤務したあと、MBAを取得。ロンドンの投資会社勤務を経て、現在はロンドンのスタートアップ企業で働く。2017から2018年ま
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9月5日、﹁友人の娘さんの髪の毛。黒人のハーフです。通ってる中学校では、三つ編みが禁じられている﹂と﹁ブラック校則﹂についてのツイートが話題になり、5.7万の﹁いいね﹂が集まった。投稿をしたのは、北九州市立大学准教授のアンちゃんことアン・クレシーニさん。在日21年のアメリカ人だ。 ﹁日本人だけ﹂しか視野にないシステム 数年か前の話。確定申告のために税務署に行った。データを入力しようとした時にエラーが出て、近くにいるスタッフに声をかけた。﹁あ、あなたの名前は長すぎるから入らない﹂と言われた時に、思わず笑ってしまった。﹁どうして欲しいの? そして、名前を入力ができなかったら、税金を払わなくても良いわけ?﹂と聞きたくて仕方がなかった。スタッフの方と二人で色んな戦略を考えて、やっと機械を納得させることができ、無事に申告が終わった。もやもやしたが、﹁まぁ、日本だから仕方がないぁ﹂と思って、受け流し暫
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﹁2ちゃんねる﹂﹁ニコニコ動画﹂などで日本のインターネット界を牽引し、現在はフランスで悠々自適な生活を送っているひろゆき氏。そんな彼が﹁ほどほどに幸せに生きるコツ﹂を綴ったのが、新刊﹃ラクしてうまくいく生き方﹄だ。会社を選ぶときは、給料の高さや、やりがいよりも﹁人間関係で選びましょう﹂と勧めるひろゆき氏。その真意を解説してくれた。 ちょっと難しいことを仕事にしましょう 仕事を選ぶとき、﹁天職﹂だと思えるものを探す人がいます。天職は、天から授かった職業という意味ですが、僕、これは幻想にすぎないと思うんです。 たとえば、陶芸を天職だと思ってやっている男性がいたとします。その陶芸家に仕事のやりがいを感じるときを聞いてみると、﹁日によって焼き方を変えなければならないけど、それがうまくいったときがうれしい﹂とか﹁ろくろを回して、納得した形に成形できる瞬間がおもしろい﹂とかいったりします。 プロの陶芸
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︻映画を早送りで観る理由 #2 個性的でなければ戦えない︼ 映画やドラマやアニメを倍速視聴、もしくは10秒飛ばしで観る習慣に対する違和感を、記事﹁﹃映画を早送りで観る人たち﹄の出現が示す、恐ろしい未来﹂に書いたところ、大きな反響があった。その記事の中で、一部の人たちが﹁聞き捨てならない﹂と憤慨する箇所があった。 ﹁忙しいし、友達の間の話題についていきたいだけなので、録画して倍速で見る﹂ ﹁内容さえわかればいいからざっと見て、細かいところはWikipediaで補足する﹂ おもに10代から20代の若者の声である。察するに彼らの多くは、ことさらコアな映画ファン、ドラマファン、アニメファンでもなければ、それらを大量にチェックする仕事に就いているわけでもない。 なぜ、そこまでして話題についていかなければならないのか。 LINEグループの“共感強制力” 大学の講義や就活イベントなどで現役大学生と触れ合
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︻映画を早送りで観る理由 #1 説明過多の時代 前編︼ 先日、映画やドラマやアニメを倍速視聴、もしくは10秒飛ばしで観る習慣に対する違和感を、記事﹁﹃映画を早送りで観る人たち﹄の出現が示す、恐ろしい未来﹂に書いたところ、予想を遥かに上回る反響があった。﹁よく言ってくれた﹂と溜飲を下げる人、﹁どう観ようが勝手﹂と怒りだす人、記事に触発されて持論を熱っぽく展開する人など、反応は様々にして百家争鳴。その後、記事は地上波TV番組で取り上げられ、倍速視聴を特集したネット番組に筆者がZoom出演する事態にまで発展した。 記事で指摘した倍速視聴・10秒飛ばしの背景は、大きく3つ。﹁無料もしくは安価で観られる作品が増えた結果、時間が足りない﹂﹁時間コスパを求める人が増えた﹂﹁セリフですべてを説明する作品が増えた﹂。 中でも、もっとも多くの議論を呼んだのが、3つめの﹁説明セリフの増加傾向﹂である。なぜこのよ
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︻本稿はネタバレを含みます︼ ﹁アニメ化する日本社会﹂を批判するアニメ 新海誠監督の新作﹃天気の子﹄を観て、疑問を持った。その疑問について書く︵今回は枚数制限があるため、他の新海作品との比較などは行わない。私の新海誠論については﹃戦争と虚構﹄︵作品社、二〇一七年︶を参照︶。 ﹃天気の子﹄の舞台は、異常気象でもうずっと陰鬱な雨の止まない、東京オリンピック・パラリンピックの翌年の東京である。伊豆諸島の離島・神津島から何らかの事情で家出し新宿でネットカフェ難民となった高校生の森嶋帆高︵ほだか︶と、母を病気で失って弟の凪︵なぎ︶と二人で安アパートに暮らす天野陽菜︵ひな︶――天に祈ることで天候を晴れに変える力をもった﹁100%の晴れ女﹂――のボーイ・ミーツ・ガールの物語である。 身寄りもなく、経済的にも貧窮した彼らは、陽菜の﹁晴れ女﹂の力を使って小さなベンチャービジネスを始めるが、陽菜はその能力の代
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神奈川県川崎市の登戸で起きた無差別殺傷事件。小学6年生の女子児童と39歳男性の2名が犠牲となり、17名もの負傷者を出した。なによりはじめに、事件の犠牲者とそのご家族に深く哀悼の意を表したい。 この事件はマスメディアやインターネットでもひじょうに大きく取り上げられている。犯人とされる51歳の男も事件直後に自殺したことで、事件の全貌解明は難しくなってしまったが、人びとは自分が事件をどのように受け止めているかを口々に表明し、議論が白熱している様子だ。 本稿の主旨にかかわる重要なことなのであらかじめ述べておきたい――私はこのテキストを事件当日の2019年5月28日に執筆している。 ﹁平和な社会﹂と﹁凶悪犯罪﹂のコントラスト まず、事件を考える上での前提事項をおさえておこう。 こうした凶行が起きるたび、社会は大きな動揺に包まれる。世相の荒廃を憂い、治安の悪化を嘆く声がそこかしこから漏れ聞こえるのも常
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ピークの4分の3ネット上には新聞やテレビなど﹁マスコミ﹂をあげつらって﹁マスゴミ﹂呼ばわりする人がいる。論調が自分の主張と違うとか、趣味に合わないとか、理由はいろいろあるのだろうが、﹁ゴミ﹂と言うのはいかがなものか。ゴミ=いらないもの、である。新聞は無くてもよいと言い切れるのか。 新聞を作っている新聞記者は、全員が全員とは言わないが、言論の自由や報道の自由が民主主義社会を支えているという自負をもっている。権力の暴走をチェックしたり、不正を暴くことは、ジャーナリズムの重要な仕事だ。日本では歴史的に、新聞がジャーナリズムを支えてきた。 だが今、その﹁新聞﹂が消滅の危機に直面している。毎年1月に日本新聞協会が発表している日本の新聞発行部数によると、2018年︵10月時点、以下同じ︶は3990万1576部と、2017年に比べて222万6613部も減少した。14年連続の減少で、遂に4000万部の大
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﹁極右の牙城﹂? ドイツ東部のケムニッツという町は、東ドイツ時代、カール・マルクス市といった。町の真ん中には、今でもカール・マルクスの巨大な顔のオブジェが鎮座している。高さ13m、スフィンクスのような迫力。今は亡き東ドイツの歴史の証人だ。 ケムニッツはドイツ東部のザクセン州にあり、そのお隣はチェコ。ドイツの産業革命以来、第2次世界大戦まで、重要な工業都市で、1930年代には人口が36万人を超えた。1945年の2月と3月の大空襲で、町の8割が瓦礫と化したが、その後、再び主要工業都市として復活。東ドイツの産業を支えた。 1990年、東西ドイツが統一された途端、人々が真っ先にしたのは、この町の名前を元に戻すことだった。その後は、西からの莫大な支援を手に、着実に発展。今、ライプツィヒ、ドレスデン、ケムニッツと、ザクセン州の諸都市の景気は好調だ。 そのザクセン州が数年来、極右の牙城という汚名を着てい
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政治空白が終わらない… ドイツの政局については、正式に政権が発足するまで書かないつもりだったのだが、あまりにも大混乱しているので、やはり記すことにする。 世論調査に特化したInsa社が、2月9日から12日までに集計したアンケートによれば、CDU/CSU︵キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟︶の支持率は、9月の総選挙の際の最低の記録をさらに下回り、現在、たったの29.5%。 SPD︵社民党︶にいたっては16.5%にまで下降し、15%の大台に乗ったAfD︵ドイツのための選択肢︶とほぼ同列に並んだ。いずれも、かつての国民政党の面影はない。 幾つかのメディアがその有様を﹁implosion﹂と書いていた。爆発︵explosion︶ではなく、真空の︵中身がない︶ため、勝手に凹んで原形をとどめくなってしまったという意味だ。 もし、再選挙になったとしたら、今、進んでいる﹁大連立﹂はもう過半数に満たない
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森友学園問題と日本の右傾化 日本中、さらに世界中で﹁森友疑惑﹂が報じられ、ひとびとの関心を集めている。 それはおおむね次のような疑惑だ。 右翼思想を抱く理事長が運営する学校法人森友学園が、幼稚園児に教育勅語を唱和させている。運動会では、﹁中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願いいたします。安倍首相、ガンバレ! 安倍首相、ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです!﹂と連呼させていた。 学園は﹁よこしまな在日韓国人・支那人﹂、﹁韓国や中華人民共和国人の元不良保護者﹂などと記した文書を、保護者に配布したりホームページ︵HP︶で公開したりしていた。﹁お仕置き部屋﹂などでの暴行虐待も報告されている。理事長は政権中枢を牛耳る右翼仲間の同志であり、首相夫人や、政治家や、上層部の意を忖度する役人たちを通じてさまざまな便宜をはかってもらっている。 森友学園は子どもたちを極右思想で教育する小学校を
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文/辻田真佐憲︵近現代史研究者︶ バブル時代とゴジラ映画 経済大国日本は、21世紀にその財力で赤字国の領土を買いあさり、22世紀に世界最大の面積を誇る大国になり、23世紀に唯一の超大国として世界に君臨するにいたる。この事態を憂慮した未来人の一部は、タイムマシンを使って20世紀末の日本に怪獣を送り込み、日本を徹底的に破壊して、歴史を改変しようと試みる――。 これは、1991年12月に公開された﹃ゴジラ対キングギドラ﹄︵大森一樹監督︶のストーリーである。衰退する一方の現代日本では、このストーリーはいまやまったく現実味のないものになってしまった。 しかし、この脚本が書かれたころの日本では、必ずしもそうではなかった。 当時の日本はバブル景気の真っ直中であり、世界中の企業を買いあさるなど、まさに我が世の春を謳歌していた。いわゆる﹁ジャパン・アズ・ナンバーワン﹂の時代だ。それゆえ、日本がこのまま世界を
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社員の生産性を極限まで高めるには、どうすればいいのか――米グーグルが2012年に開始した労働改革プロジェクトの全貌が明らかになった。 社員同士のコミュニケーションを中心に、その仕事ぶりを徹底的に観察するワーク・モニタリングは、果たして功を奏したのだろうか? ●"What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team" The New York Times, FEB. 25, 2016 プロジェクト・アリストテレスとは 上の記事によれば、米グーグル︵持ち株会社に移行後の正式社名は﹁アルファベット﹂︶は2012年に生産性向上計画に着手した。 この計画は﹁プロジェクト・アリストテレス︵Project Aristotle︶﹂と呼ばれ、同社の﹁人員分析部︵People Analytics Operation︶﹂によって実施された。 グ
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