本性同一性障害者である自分の事を、独特のテンポとリズムで語る一冊。﹁フミノくん﹂こと杉山文野氏の語る自伝的同書は、筆者の持つ肉体への違和感も、筆者の中に内在する弱さも全てを開けっぴろげに書いている。この本を読んでいると、何処からかフミノくんが現れて﹁いろんな事があると思うけどさ。くよくよしないで生きていこーよ、そんな顔してないでさ。ホラ、酒飲みにいこーぜ﹂とガハハっと豪快に笑いながら新宿の街に引っ張っていかれそうな、そんな気がする。 弾さんが﹁本が好き﹂のサイトを紹介している記事を読み、入会登録をして、一番最初に献本依頼をした書籍がこれだった。﹁本と人と困難は、それが必要な時に目の前に現れる﹂と思っている私が、﹁本が好き﹂のサイトで一番最初にこの書籍に﹁出会った﹂のには意味がある。 私の頭の中には﹁オンナノコ﹂が住んでいる。自分の肉体を、自分の脳の中で感じている性別に﹁戻そう﹂と思ったこと