「日本はものづくりの国といわれているが、実はもの“づかい”の国なのではないか」と福岡俊弘氏は指摘する。たしかに、ツイッターを大喜利に使うなど開発者が想定しないような使い方をするのが長けているのは日本のユーザーの特徴といえそうだ。 また、古くは浄瑠璃や歌舞伎から現代ではボーカロイドの初音ミクにいたるまで、日本の芸能は「掛け合い」を通じて生み出された二次創作によってクオリティが高められてきたことは、前回お届けした対談前編でも指摘したとおりである。 さてそんな折、最近ネットを中心に「ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)」についての議論がにわかに熱を帯びている。ヨーロッパでは表現の自由を侵害する恐れがあるとして約250万人のデモが起こり否決されたこの協定だが、日本では法案の一部が今年7月31日に参議院委員会等で可決した。行きすぎた監視が日本の「創作の連鎖」に負の影響を及ぼさないとよいのだが…
2012年現在、音楽という産業、アートフォームほど状況が激変している分野も他にないのではないだろうか。 2012年4月、アメリカ・デトロイトのハウス・ミュージシャン、Moodymannの新作EP『Picture This』が無料ダウンロードで公開された。このデトロイトの深海の住人は、無料ダウンロードのようなリリースとは、もっとも遠い位置にいた。学生時代に彼のレコードを、渋谷・宇田川あたりのレコード店を渡り歩いて探した頃のことを思うと、隔世の感は否めない。 ここには、大きく分けて2つの変容がある。1つは、音楽がCDなどのパッケージからデジタル配信に移行し、宇田川のレコード街からレコード店というプレイヤーが姿を消したこと(あるいはそれらが実店舗からネットに移動したこと)。もう1つは、Moodymannの新作が「無料」で手に入るということである。 このように、インターネット/デジタル技術は
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