サンケイ新聞より﹁︻論説委員の取材ノート︼鹿間孝一 迫られた実名か匿名か﹂ 2010.5.14 07:55 平成13年6月8日、大阪教育大付属池田小学校で事件は起きた。 当時大阪の社会部長だった。朝の部長会が始まってまもなく﹁小学校に刃物を持った男が乱入して、けが人が出ている﹂と一報が。 全体像がわからぬまま、嫌な胸騒ぎがした。 予感は不幸にして当たった。児童8人刺殺という犯罪史に残る惨事だった。 男は現場で取り押さえられ、持っていた免許証からT︵死刑が執行されたので元死刑囚とする︶とわかった。そこから難しい判断を迫られることになる。 まず精神科の病院に通院していることがわかり、犯行前に精神安定剤を大量に服用したという供述が入ってきた。さらに2年前、傷害容疑で逮捕されながら、心神喪失状態だったと不起訴になり、措置入院していた。 これらを総合すると、池田小の事件も精神障害によるもので刑事責任