2013年4月に黒田総裁のもとで量的・質的金融緩和がスタートした時点では、「大胆な金融緩和」が景気と物価の押し上げに大きな効果をもたらすものと期待された。だが、14年4月の消費税率引き上げ(5%から8%へ)をきっかけに消費が大きく落ち込んで景気の停滞が続き、物価上昇のペースは次第に鈍化していった。 景気と物価の弱い動きをうけて、14年10月には追加緩和が実施され、16年1月にはマイナス金利政策の導入が決定されたが(2月の積み期間から実施)、16年中の消費者物価指数(対前年同月比)がほぼ毎月マイナスで推移するなど物価の動きは弱いままで、「2%」の物価安定目標は未達の状態が続くこととなった(ここまでの経過の詳細については前編(https://synodos.jp/opinion/economy/28684/)をご参照ください)。 こうした中、2017年頃からは「シムズ理論」(物価水準の財政理論
2018年河野氏 ”政策調整を開始する場合、10年金利やマイナス金利の調整より、年6兆円のETFの減額を優先するのだと筆者は考えている”
IMFの白川論文が話題になったが、小生から見ておかしいと思われる点をまとめておく。 日本の2000-2012年の生産年齢人口当たりの成長率がG7の中で最も高いことをゼロ金利制約の無効性の根拠としているが、12年前の拙エントリで示したように、その期間の生産年齢人口当たりの成長率は、リーマン・ショックの影響もあり、期間の取り方によって簡単に国別の大小がひっくり返るので、分析や議論の根拠に使うのは不適切。 同期間の需給ギャップを見ると、内閣府の計算でも日銀の計算でも概ねマイナスであった時期であり、需要が供給に比べて不足していた。その期間に確かに実質GDPは2000年度の485.6兆円から2012年度の517.9兆円に6.7%増加しているが、一方で名目GDPは537.6兆円から499.4兆円に7.1%減少している。即ちGDPデフレータの1割以上の低下が生じていたのであり、需給ギャップのマイナス傾向
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