役割さえ与えられれば、人間はどんな悪者にもなれる 中野信子氏︵以下、中野︶‥大衆に判断をゆだねることの恐ろしさについてもう少しお話していきましょう。 人は、自分のことを﹁正しい判断をするものだ﹂と無自覚に信じている。これは多くの実験が示唆しているところです。 例えば、ミルグラム実験と呼ばれる有名な実験があります。これは、閉鎖的な状況で、権威者の指示にどれだけ人間が従ってしまうものか、その心理状況を調べるために行われた実験です。 実験者、つまり権威者から﹁あなたは生徒役の被験者が課題を間違ったら、罰として電気ショックを加えてください﹂と依頼される。あらかじめ、自分でもその電気ショックがどんなものか、体験もしてもらいます。 生徒が一問間違えるごとに15ボルトずつ電圧を上げるように指示されるのですが、それぞれの電気ショックボタンには﹁ストロング・ショック﹂やそれを超えた﹁エクストリーム・インテン
![「人間はどんな悪者にもなれる」脳科学者・中野信子が説く、“わかりやすさ”だけで判断する恐ろしさ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e530f453da57c0191b35fdb4197e962ccb672978/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimg.logmi.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2017%2F07%2FIMG_3604.jpg)