日本の製造業はいうまでもなく,環境問題への対応が迫られている。その一方で,本連載コラムの統一テーマである﹁競争力﹂の強化も大切である。この二つはやり方によってはトレードオフになりがちだが,どちらか一方ということではなくて,両者を同時に達成することが大切であろう。または,両者のバランスをうまくとる工夫や戦略が大切だと考えられる。しかし日本では,このバランスが崩れてしまう傾向にひょっとしたらあるのではないだろうか---。ある記事を読んで,そんな思いが頭をかすめた。 その記事とは,﹃日経Automotive Technology﹄誌2008年3月号に掲載された﹁塩ビ再び---バッシング去り,内装材として再評価﹂である。著者は,自動車技術を長年取材してきた浜田基彦記者︵同記者のブログ︶。内容は,ダイオキシン問題や環境ホルモン問題などで環境負荷の高い材料として悪者扱いされてきた塩ビ︵ポリ塩化ビニル樹
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