バランスシートは重要だ。これこそが、世界経済に影響を及ぼしてきた先の金融危機の最大の教訓だ。 バランスシートの変化は経済のパフォーマンスを左右する。楽観主義と悲観主義の自己成就的なサイクルの中で貸し出しが変動するためだ。 世界経済はすでに信用中毒に冒されている。次の犠牲者は中国かもしれない。 世界経済のバランスシートに関する4つの疑問 今日の世界経済のバランスシートについて考えていくと、4つの疑問が浮上する。脆弱性を引き起こすものは何か。脆弱性がいま顕在化しているのはどこか。世界の国々は以前の債務危機の遺産にどう対処しているのか。世界経済は新たな脆弱性に対処できるのか、という疑問だ。 では、脆弱性の発生源から考えてみよう。金融セクターが統制されていない国々では、公的セクターの分別のなさが危機の原動力になることよりも、民間セクターの軽率さが原動力になることの方がはるかに多い。 信用供与ブーム
英スコットランド・アバディーンの街頭で、英国からの独立を問う住民投票で賛成票を投じるよう呼び掛ける旗を振る女の子〔AFPBB News〕 筆者は最近まで、スコットランドが独立に賛成票を投じても、あまり気にしないと思っていた。ところが今、独立の可能性が現実味を帯びるに従い、自分がひどく動揺していることに驚かされている。 今では、世論調査を執拗に注視している。独立に反対する「ノー」陣営の無能さと、「イエス」陣営の視野の狭さに憤りを覚えている。そして、投票日が近づくにつれて、嫌な予感が強くなっていく。 なぜそんな気分になるのか? その答えは、独立の是非を問うスコットランドの住民投票によって、自分の抱くアイデンティティーと個人的な安心感が英国人としての国籍といかに強く結びついているか気づかされたからだ。 一方、国際情勢をカバーする筆者の仕事は、世界が過去数十年間なかったほど危険な状態にあることを教
ウェストミンスターの英国議会の3大政党が独立後のスコットランドとの通貨同盟に反対しているのは、はったりだろうか? 境界線の北側では、多くの人がそう思っている。筆者は人の心の奥底を見通すことはできない。こうしたスコットランド人は正しいのかもしれない。 だが、筆者は3大政党の反対がはったりではないことを願っている。どんな条件であっても、通貨同盟の可能性が排除される必要はない。しかし、残る英国にとって意味をなす通貨同盟は、極めて不平等なものになる。新たに独立した国家がなぜそんな同盟を受け入れるのだろうか? ユーロの経験は、通貨同盟というものに関係する多くの問題をはっきりさせた。一部の問題は、スコットランドと英国の通貨同盟には、ある程度しか関係しない。石油に依存するスコットランド経済は英国経済とは異なるものになるが、3世紀以上の連合の歴史を経た今、両者の経済、特に労働市場の統合は、通貨同盟を実行
(2013年5月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) デビッド・キャメロン首相は、EU加盟に関する投票の実施を約束している〔AFPBB News〕 欧州における英国の地位(場合によってはイングランドのみの地位)を巡る問題が、今、大きな関心を集めている。 これは危機に駆られたユーロ圏の進化、英国議会の次の任期中に欧州連合(EU)加盟に関する住民投票の実施を決めたデビッド・キャメロン首相の決断、英国独立党の躍進、そしてナイジェル・ローソン氏のような昔の保守党重鎮からの圧力に続く動きだ。 長年にわたり半ば孤立し、ユーロに参加しないことを決めてからは特に欧州諸国と距離を置いてきた英国が間もなく離脱する可能性がある。 勢い増すEU脱退論 確実なことは何もない。2015年以降はキャメロン氏が首相でない可能性も十分あることから、住民投票が実施される確率は100%ではない。だが、野党・労働党にも、同じ
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