「神はサイコロを振らない」 相対性理論でニュートン力学を覆したアルベルト・アインシュタインはそう述べて、古典物理学を根本から揺るがしかねない量子論の曖昧さを批判した。 量子力学の礎を築いたエルビン・シュレーディンガーは、毒ガスが充満した箱の中の猫は、生きている状態と死んでいる状態が同時に存在しており、箱を開けてみなければ結果はわからないと、「シュレーディンガーの猫」と呼ばれる理論で、量子の動きは予測不能であることを説明した。 遡ること100余年。ルートビッヒ・ボルツマンやマックス・プランクといった物理学者らが仮説を立て、「量子論の育ての親」ニールス・ボーアとアインシュタインの論争を経ても、量子は杳としてその全貌が明らかにされていないが、これまでの研究によって量子の特徴、たとえば小さな粒が複数の箇所に同時に存在する、本来は相容れない複数の可能性を重ね合うように同時に併せ持つ、それは確定的では