ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 作者:デヴィッド・グレーバー発売日: 2020/07/30メディア: 単行本この『ブルシット・ジョブ』は、文化人類学者であるデヴィッド・グレーバーによる「クソどうでもいい仕事」についての理論である。「クソどうでもいい仕事」とはなにかといえば、文字通りとしかいいようがないのだけれども、「その仕事に従事している人がいなくなっても誰も何も困らないような無意味な仕事」のことである。 原書で刊行された時から日本でも大変に話題になっていた一冊で、楽しみに読み始めたのだけど、これがとにかくおもしろい! 確かに世の中にはブルシット・ジョブとしか言いようがないくだらない仕事が溢れているように見える。それがどれほどありふれているのか、またどのようなタイプのブルシット・ジョブが存在するのか。また、仮にこれが近年さらに増大を続けているとしたら、それはなぜなのか。そ
悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか? 作者:サイモン・マッカーシー=ジョーンズインターシフトAmazon最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマーは数千、数万といった視聴者を集める。そうすると、一人用ゲームではない対戦系ゲームを配信で行っている配信者は、少なからぬ「嫌がらせ」行為に遭遇するものだ。 たとえば、配信者がゲームのマッチングを開始したのにタイミングを合わせてマッチング開始し、配信者とマッチングしたらその試合で通常ありえないえないゲームプレイをして負けに導いたり、挑発行為を繰り返したり、Apexのようなバトロワなら配信を見て位置を把握し集中攻撃をかけたりが行われるのである。 そうした悪意あるプレイヤーが、なぜ、自分にとってたいして利益があるようにも思えない悪意あ
「搾取」この言葉を使うことに抵抗がなくはないですが やはりそうとしか考えられない現状です… もちろん現場の人は誰も悪くないのですが 悪しき慣習が漫画家の首を締めています。 普通の方々でも結構知ってる数字かとはと思いますが 漫画家が貰える印税率は10%です。 これは紙の漫画の印税率です。 まだ漫画がデジタルじゃなかった頃 漫画家は漫画を読者に届けるにあたって 写植も打てなければ、印刷もできない。 書店との交渉事や販売数も把握できないし 在庫管理もできなかった。 つまり、漫画が漫画本として世に出るために 漫画家 編集者 写植屋 印刷会社 書店取次業者 書店 倉庫管理業者 少なくともこれだけの業者が関わらんないと 本が出せなかったのです。 その、漫画家ができない仕事を 各業者に振り分けて仕事を依頼し かつ、円滑に進め、さらに販売促進、売上の分配などを 一手に担っていたのが 出版社という存在です。
リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか 作者:マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング原書房Amazon はじめに どのように人々は集まってきたのか? 自由な町にヤバいやつらが集まってくる。 リバタリアンらは町を良い方向に変えたのか? おわりに はじめに 他者の身体や私的財産を侵害しない限り、各人が望むすべての行動は自由であると主張する、リバタリアンと呼ばれる人たちがいる。すべてを自由にすべきと考える原理的な人から、条件的に制約を認める人まで無数の思想的内実があるわけだが、そうした思想を持つ人々にとっては多くの国家・地域は制約だらけにみえるだろう。 自分たちの思想を社会に反映させるためには、民主主義の場合にはリバタリアン的思想を持つ候補者に票を投じたり、自分自身が立候補して国の方針を地道に変えていかなければいけないわけだが、それは当然ながらなかなかに大変な
本日8/2(金)より公開となった映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」。 その「映画ドラクエ」を相手方として、「小説ドラゴンクエストⅤ」の著者である久美沙織さんが裁判所に訴状を提出したそうです。 久美さんご本人に許可をいただき、DQフリでもその声明全文を公開いたします。 www.dq-free.com 久美さんの声明は以下の通りです。 ※映画ドラクエのネタバレを一部含みますので、ご注意ください。 ーーー 「小説ドラゴンクエストⅤ」の著者であるところの私こと久美沙織は、悲しいことながら、本日、長野地方裁判所佐久支部に対し、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さまを相手方とする訴状を提出したことをお知らせします。本人訴訟です。 問題の焦点は、映画「DRAGON QUEST YOUR STORY」で、「小説ドラゴンクエストⅤ」で私が創作した主人公の名前「リュカ
2024年1月、漫画家・芦原妃名子先生が逝去された事につきまして、改めてお悔やみを申し上げます。また、ご遺族にも深く哀悼の意を表します。 当社は、芦原妃名子先生に関する一連の事案について、事実関係の調査、問題点の洗い出し、必要な改善策提案を目的として、弁護士を含む特別調査委員会を設置し、調査を行ってまいりました。 この度、特別調査委員会より報告書を受領いたしましたので、その概要と、報告書を受けて当社が作成した映像化指針を下記のとおりお知らせします。調査にご協力をいただいた日本テレビの皆様はじめ関係者の皆様には、厚く感謝申し上げます。 報告書の公表は、当該事案関係者への批判を意図しておりません。関係者個人への誹謗中傷は、厳に慎んでいただきますようお願い申し上げます。 なお、公表する報告書は、関係者のプライバシー配慮及びその保護、機密情報保護のため、部分的な非開示措置をとっています。 PDF1
※こちらの記事を盗用しているブログを見つけました。現在、このnote以外で当記事の転載や転用を許可しているサイトやメディアはありません。万が一取り上げたい方がいらしたら、まずは@dash_director宛にご連絡ください。(鍵かけてますが、ご要望があれば開けます) ※この記事ではわかりやすさを優先して、頒布を「売る」と表現しています。 1.イベントも新刊もない日々 ―半年で半減した同人誌発行部数とうとう、今年はコミケのない1年になってしまいました。 一部の同人イベントは徐々に開催を再開していますが、参加できるサークルも一般参加者も制限されている状態です。 そして今、コロナ禍やオリンピックを前にして同人業界が潰れてしまうのではないかと危ぶまれています。 https://www.j-cast.com/2020/07/29390934.html?in=news.yahoo.co.jp http
スティーブ・ジョブズは自分の子供たちにiPadを使わせていなかった――彼はその影響力をもって世界中に自社のテクノロジーを広める一方で、プライベートでは極端なほどテクノロジーを避ける生活をしていた。デジタルデバイスの危険性を知っていたから。彼だけでなく、IT業界の大物の多くが似たようなルールを守っている。まるで自分の商売道具でハイにならぬよう立ち回る薬物売人みたいではないか……。 そんなツッコミで幕を開ける本書は、フェイスブックやツイッター、インスタグラム、ソーシャルゲームといったデジタルテクノロジーが持つ薬物のような依存性をわかりやすく噛み砕いて分析した一冊である。ネット依存を題材とした本は他にもあるが、本書が類書とちょっと違うのは、こうした依存症ビジネスを否定・糾弾するのではなく、人間心理への深い理解を促すことに重心が置かれている点だ。著者はニューヨーク大学の行動経済学や意思決定の心理学
〒113-0033 東京都文京区本郷3-31-1 盛和ビル40B TEL:03-6279-7103/FAX:03-6279-7104 (月・水・金曜日/11:00~17:00) e-mail:s h u p p a n k y o @ n e o . n i f t y . j p
なんと、黒川弘務東京高検検事長が辞意を表明した。 2020年に入ってからというもの、毎日のようにびっくりすることばかりが続いていて、何かに驚く感受性自体が、たとえば去年の今頃に比べて、50%ほど鈍化した気がしているのだが、それでも今回のこのニュースには仰天した。 黒川氏は、5月21日発売の「週刊文春」誌がスクープしている新聞記者との賭け麻雀の事実関係を認めて、辞意を漏らしたもののようだ。 してみると、3日前(18日)に政府が検察庁法の改正案の今国会での可決成立を断念した理由も、安倍総理が説明していた「国民の皆様のご理解なくして前に進めて行くことはできない」という筋立ての話ではなかったことになる。 「ネット世論が政治を動かした」 というわたくしども野良ネット民の受け止め方も、こうなってみると、ぬか喜びというのか、勘違いだった可能性が高い。 政府が法改正を断念した理由は、あらためて考えるに、黒
mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来 作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon日本政府によると、日本の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、本書『mRNAワクチンの衝撃』はそうしたワクチンの中でもビオンテック・ファイザー社によるワクチンがどのように開発され、世界に行き渡ったのかを描き出す迫真のドキュメントだ。 まだワクチンが出回り始めて十分な期間があるわけでもなく、これほどの速度で刊行される(原書も刊行されたばかり)本は中身が速度の犠牲になっていることも多いので読み始めはそこまで期待していたわけではなかったのだが、本書はまるで何年も準備をしてきたかのように中身が詰まっている。面白すぎて一気読みしてしまった。 ビオンテックはまだ多くの人が新型コロナウイルスの危険性を認識し
集英社に抗議しマンガを削除させた幸福の科学地球至高神として崇められている教祖・大川隆法総裁。菊池真理子氏のマンガで描かれていた幸福の科学学園の創始者でもある 集英社のウェブサイト「よみタイ」に掲載されていた菊池真理子氏のマンガ連載について、打ち切り決定前に連載を全て削除した集英社の対応が、幸福の科学からの抗議によるものであることがわかった。匿名を条件に本紙の取材に応じた集英社側関係者が明かした。 それによると、集英社側は、抗議を受けた直後にマンガを削除した上で幸福の科学の総合本部に謝罪に赴いていた。また同社がウェブサイトに掲載した謝罪文が教団側の抗議内容を踏襲したことであることもわかった。「全面降伏」とも言える集英社の姿勢が、改めて浮き彫りとなった。幸福の科学以外の団体からの抗議はないという。(集英社マンガ問題取材班)
マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫マーダーボット・ダイアリー 下 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫この『マーダーボット・ダイアリー』はマーサ・ウェルズのSFアクション連作中篇集である。上下それぞれに二篇の中篇が収められていて、特に上巻の「システムの危殆」はヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の各ノヴェラ部門を授賞。続く「人工的なあり方」もヒューゴー賞、ネビュラ賞を授賞と(賞的な意味で)評価の高い作品。 それにこの創元文庫版は安倍吉俊のイラストもあいまって刊行がたいへん待ち遠しかったんだけれども、読んでみたらこれが期待通りのおもしろさ! 全篇通して自分のことを一人称で「弊機」を呼ぶ人型警備ユニット
■最高の旅行冒険記でもある 彼女の調査方法がまたすごい。 お仕着せの学校訪問、地元の教育関係者がアピールのためにアレンジした理想コースを避けるために、彼女は自力で各国の教師に、公開されているメールアドレスを頼りにアポイントをとり、ホームステイさせてくれる教師を探す。 そして教師の家に泊まり込みながら、1ヶ国のなかだけでも複数の学校に潜り込んで教鞭をとり、1ヶ月以上生活をともにする。その中で子どもたち、教育関係者、両親特に母親と様々な対話をする中で、文化含めてその国が教育に期待してるものを抽出する。その旅行記としてだけでも面白い。 僕は彼女が調査した中で、日本と中国とシンガポールには、住んでいたしそれなりに詳しい。たぶん言葉の理解とかを含めれば彼女より詳しいだろう。その僕から見ても、彼女のこの3カ国での体験は、文化の深いところをきちんと捉えている。教育にまったく興味がない人でも、そうした文化
『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、本書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く