著: 玉置 標本 「日本一有名なニート」という謎の肩書を過去に持ち、長年にわたってギークハウスというシェアハウスを運営していたphaさんが、2年前にとうとう一人暮らしを始めたそうだ。phaさんを知る人にとっては、ちょっとしたニュースである。 そもそもなぜシェアハウスを始めたのか、どうしてニートの道を歩み続けたのか、そして今はどんな暮らしをしているのか。学生時代から遡って、本人からじっくりと話を伺った。 ちなみにphaさんと私の関係は、共通の友人に呼ばれて年に何度か顔を合わせるくらいの薄い関係で、二人きりで会うのは今回が初めてである。 家賃4100円の寮で過ごした京都大学時代phaさんは1978年生まれの42歳(2021年3月現在)。出身地は大阪で、大阪城の側にある高校を卒業後、現役で京都大学の総合人間学部に進学。 最初の一年間は実家のある大阪から京都まで通っていたが、二年目からは伝統的に寮
phaさんが、日常から抜け出すためにビジネスホテルに泊まる過ごし方を紹介します。今回の宿泊先に選んだのは、大浴場やサウナが完備された「ドーミーインPREMIUM東京小伝馬町」。特別なことをしなくても新鮮な気持ちになり、明日からの活力になると言います。皆さんも息抜きにやってみませんか? 別に何か大きな悩みがあるわけじゃない。 毎日の生活にはそれなりに満足している。 だけど、ときどきこの日常がつまらなくなることがある。 毎日同じ部屋の同じ布団で目を覚まして、同じ道を歩いて同じ駅から同じ色の電車に乗る。その繰り返しに飽きてくるのだ。 何かちょっと、違うことがしたい。 そんなとき、僕は家の近くの「ビジネスホテル」に泊まることにしている。 旅行をしたってもちろんいいのだけど、旅行をするにはどこに行くか考えたり計画を立てたりしなきゃいけないのがちょっと面倒だ。電車や飛行機で長距離の移動をするのも疲れる
昔に比べて文章が下手になってしまった、と思う。 以前はもっと、スッと意味の通るわかりやすい文章が一発で書けていた。それが今では、なんだかもたもたした、わかりにくい文章しか出てこなくなっている。 何度も見直して書き直せば、わかりやすい文章を作ることはできるのだけど、昔に比べて余計な手間がかかるようになった。 これは四十代になって、加齢の影響が出てきたということだろうか。多分そうなんだろう。 僕は二十代の頃から「全てがだるい」と言っていたけれど、今思うとその頃は今より全然元気だった。 あの頃は毎日のように面白いアイデアを思いついていたし、たくさんの人と会って話したりする元気もあったし、本を読んで感動をすることも多かった。 今は、体力は落ちたし肩こりもひどくなった。頭の回転も悪くなったし、感受性も鈍ってきた。自分の中にあった良いものはすっかり失われてしまったし、今後もさらに衰えていく一方なのだろ
そもそもなぜバンドをやりたいと思ったかというと、人生で特にやりたいことがなくてなんだか全てがむなしかったからだ。 なんか人生で大体やりたいことは全部やってしまったような気がして、全く新しい経験や体験というものに出会うことがなくて、一度クリアしたゲームをずっと繰り返して遊んでいるような気持ちになっていた。 もっと心を沸き立たせてくれるような何かはないだろうか。 そう思って、心の中を探してみたら、唯一思いついたのが「ドラムを叩いてみたい」ということだった。 ドラムに対する憧れは若い頃からあったのだけど、両手両足をバラバラに動かすなんてすごく難しそうで、自分には無理な気がしていた。すごく練習すればできるのかもしれないけれど、ギターやベースと違ってドラムは家では練習できないというのがネックだった。特にバンドをやるあてもなかったし。 そんな感じでずっとドラムをやったことのない人生だったのだけど、40
元「日本一有名なニート」として知られる、ブロガー・作家のphaさん。エンジニアやクリエイターたちを集めたシェアハウス「ギークハウスプロジェクト」を立ち上げたり、エッセイから実用書、小説まで多岐にわたるジャンルの本を発表したりと、アクティブでありながらも自由で肩の力が抜けた生き方に、憧れる人も多いはずだ。今回、そんなphaさんに聞いたのは、「がんばる」こととの距離。職場や社会から「がんばる」ことを要求され、ついついそれに過剰に応えようと無理をしてしまう人が多い現代において、phaさんは「がんばりすぎたことがあまりない」と語る。「がんばらない」ことの極意を、phaさんに伺った。 自分にとって苦手意識を持っていたり、キャパシティを超えていたりすることでも、「周囲の人と同じようにやれないと」と焦ってしまった経験はないだろうか。 がんばろう、と奮起する瞬間も必要かもしれないが、無理を続けると、自分自
正確にいうと、書く意欲が湧かなくなった。 僕は、ネットとかにあれやこれやの思ったことを書き続けていれば人生はなんとか進んでいくだろう、と思って今までやってきた人間なので、書けなくなるのは困る。これからどんなふうにやっていけばいいんだろう。 なぜ書けなくなったのだろうか。いろいろ思い当たることはある。 ・大体書きたいことは書いてしまった ・長く書き続けてきたので自分の書くことに飽きてきた(会社をやめてブログを熱心に書き始めてから15年、最初に本を出してから10年) ・シェアハウスをやめて一人暮らしになったのでいろんな情報にさらされる度合いが減った(最近はテレビとかよく見ていて普通になった) ・ネット全体の雰囲気が自分に合わなくなってきた ・40代になっていろいろエネルギーが減ってきた かつての自分は、ツイッターに断片を書き散らす→そういうのがある程度まとまったらブログに書く→もっとまとまった
phaさん(id:pha)が新刊を出したのをたまたま観測したので読んだ。 パーティーが終わって、中年が始まる (幻冬舎単行本) 作者:pha幻冬舎Amazon 個人的には2013年の最初の本『ニートの歩き方』以来だったので10年分のphaさん情報を一気に知れてよかった。僕の認識している最後のphaさんは確か練馬のシェアハウスで相変わらず熊野寮にいる大学生のような生活をしていたと思うが、10年もあればあれから色々あってザ・ノンフィクションに出たりバンドを始めたりして四十代の中年にもなって流石の最強ニートもクライシスの最中にある、というのがこの本のテーマのようだ。 phaさんとは旧知の仲であるがあまり接点はない。会ったことが数えるぐらいしかないのだけどなぜか会話量に対して関係性が深く、恩人のようなポジションにいる。葬式とかあったら行けたら行くレベル 当ブログの以下の過去記事に練馬のシェアハウス
phaさんが、新しい息抜きとして「ゆるい登山をしたあとに温泉宿に泊まり、美味しいご飯を食べる」という過ごし方を紹介します。東京から長野方面に向かい、霧ヶ峰を登って、温泉宿「信州しもすわ温泉 ぎん月」に宿泊。贅沢な時間の過ごし方を提案します。 最近どうも肩こりがひどい。 まあ運動を全くしてないし、歳のせいもあるだろうけど、つらくてしかたない。なんとかならないだろうか。 多分一日中インターネットを見ているのがよくない。つい5分に一回ツイッターを開いてしまうのをやめたい。いいねがいくつついたとか、はてブがいくつついたとか、そんなどうでもいいことを四六時中気にしてしまうのをやめたい。たまにはインターネットを断ちたい。だけど、自分の意思ではうまくできない。 あと、僕は疲れたときの気晴らしの手段が、インターネットを見るか本を読むかゲームをするかくらいなのだけど、結局どれも目を使うものなのがよくないと思
"京大卒元ニート"phaさんに聞く老後の話ーー見通しはないけど不安はない。 #老いの準備#楽に生きる 公開日 | 2020/04/20 更新日 | 2021/04/27 「京大卒の元ニート」こと、ブロガーのphaさん。2019年、40歳を機に、2008年から運営してきたシェアハウスを離れて一人暮らしを始めました。その背景には、年齢を重ねる中で生じてきた精神的なギャップがあったといいます。 そんなphaさんに自身の老いや老後について聞くと、これといった見通しはないものの特に不安はないとの答えが。 「なんとかなる」。取材中、何度もそう口にしたphaさん。老後に対して必要以上に“深刻ぶらない”、その軽やかな生き方、考え方についてお聞きしました。 今回のtayoriniなる人 pha 1978年大阪府生まれ。京都大学総合人間学部を卒業後、国立大学の職員に。数年後に退職してからは「ニート」を自称。2
たとえ結婚しても、死ぬ瞬間はひとりで味わいたい。能町みね子さん・phaさんと考える「老後」の話 #老いの準備#夫婦#楽に生きる 公開日 | 2021/08/17 更新日 | 2022/03/14 これまでは恋愛結婚を経て、家族で支え合いながら老後を過ごすという形が理想として語られることも多かったと思います。昨今は「友人同士でシェアハウスをする」「結婚せずに一人で悠々自適に過ごす」など、老後に対してさまざまな選択肢が浮かび上がりつつあり、議論が進むことが待たれます。 ただ、友人同士など親しい人たちの間でも老後のことを話す機会はそう多くなく、漠然と考えるのを避けている人も少なくないのではないでしょうか。 そこで今回は「契約結婚」という形を選び、2018年から夫(仮)のサムソン高橋さんと同居されているエッセイストの能町みね子さんと、2019年にシェアハウスでの暮らしを卒業し、一人暮らしをしている
コラムニストのジェーン・スーさん(46)が会いたい人と会って対談する企画。ゲストは、京大卒の元ニートで文筆家のpha(41)さんです。全3回。毎週木曜更新。 ジェーン・スーとphaの共通点は? スー:先日、「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系、日曜午後2時)を見ていたらphaさんのシェアハウスが出てきて。同世代の人たちの話だけど、自分とは接点のない世界だなあ、なんて思ってたらphaさんが出てきて。そうか、この人がオーナーだよなと。で、ツイッターを検索したんですよ。(テレビを見ながら)実況でもやってるかなって。そしたらアカウントが凍結されてて(笑)。 pha:そうそうそう。あの時ちょうど凍結されてたんですよ。理由は分かんないんですけど。 スー:凍結されてなければ、だーっとツイート読んで終わったと思うんです。けど、見られなかったことで逆に探究心が湧いてきた。グーグル検索してインタビューを読ん
書くことがなくなった - phaの日記 リンク先の文章がアップロードされた時、半目でそっと、逃げるように全文を読んだ。読んではいけないものを読んだ気分になった。 それから丸一日が経ち、寝る前に再び「書くことがなくなった」というタイトルを思い出していたら、おなかが痛くなってきた。心に引っかかっていることがある時の、そういう腹痛だとすぐにわかった。やっぱり他人事ではなかったのだ。他人事ではないから逃げるように読み、ブックマークすることもツイッターで言及することもなかった。が、腹痛をとおしてこれが自分の問題だとハッキリ認識した。たぶん、私と同じぐらいの年齢の、だんだんオンライン上で文章を書かなくなっていった人たちも他人事ではないだろう。 phaさんが言う「書くことがなくなった」の内実はどういうものだろう? あくまでオンラインの、無料の、すべての人に公開された領域に書くことがなくなったのか。それと
それははたして、家なのか?クルマなのか? 赤井成彰さんが生活の拠点とするのは、1トントラックの荷台に居住スペースをセルフビルドした「モバイルハウス」。クルマなのだから、もちろん移動は可能。そして、“ハウス”なのだから、もちろん居住可能。赤井さんはこのモバイルハウスに乗り込み、「生活まるごと」持ち運びながら日本中を旅し、いま、モバイルハウスで生活する人が集える、「モバイルヴィレッジぼちぼち」の建設に注力しています。 こんな赤井さんの生活に興味を持ったのが、ブロガーであり作家としても活動する、phaさんです。phaさんも住んでる場所に飽きるとすぐに引っ越す、ふらりと知らぬ街に出かけ、ビジネスホテルに泊まりインターネットしているだけ、という旅をするなど、「普段の生活を持ち運ぶ」かのような移動にかけては経験豊富なのです。 今回、phaさんとともに赤井さんのモバイルハウスを訪問し、「定住」と「移動」
気づいたらインターネットで書くことが特にないな、という状態になっていた。ツイッターとか何をつぶやいたらいいかわからない。 もともとツイッターとかで熱心につぶやいていたのは、ネットにいるたくさんのよく知らない人たちに曖昧にちやほやされたい、という自己顕示欲があったからだったのだろう。 年をとったせいか、知らん人に別にそんなにちやほやされたくないなー、という気分になってきた。興味のある人には直接連絡を取って話せばいいし、人間関係をむやみに広げたいという気持ちもなくなってきた。 昔はネット上で流行ってる話題に乗っかっていっちょかみしたり、仲良くなりたい人にエアリプしたりなんかもしてたけど、もう全くそんなことする気がしない。 そうすると、つぶやくことを何も思いつかなくなってしまった。もともと、つぶやく必要があることなんて特に何もなかったのだろう。 なんかいろいろできあがってしまったんだな。これから
はてな20周年を記念して、はてなインターネット文学賞というのが開催されるそうだ。 インターネット文学と言うからには、それは本屋で本を買えば読めるような文学とは全く違うものであってほしい。 本や雑誌では絶対に読めないようなわけのわからないものが読みたい。書籍化や収益化を狙っていそうなブログなどは論外。世間的な評価や金銭的な見返りを求めて書くのではなく、文脈不明のエネルギーのほとばしりが衝動のままにネット上にぶちまけられたような文字列。あとに残って長く読まれることなんて全く考えず、時間が経てば一体何のことを書いているのかもよくわからなくなってしまう、日々ネットに生まれてはすぐに消えていく無数のあぶくのような営み。僕はネットを見るとき、そんな虚無へと捧げる供物のような文章が読みたいといつも思っている。 そうした文章の一つの極北として、次の記事を紹介したい。 tender-mountain.hat
一年ぶりの新刊、『人生の土台となる読書』が発売になりました。 人生の土台となる読書――ダメな人間でも、なんとか生き延びるための「本の効用」ベスト30 作者:phaダイヤモンド社Amazon 内容は、僕が今まで独自のやり方でふらふらと生きてこれたのは、こんな本がバックボーンにあったからだ、というのを集めたブックガイドです。 僕の本では大体いつもたくさんの本を紹介しているんですが、今回の本で大体全部ネタ元を出してしまった感じがありますね。 僕の場合、やっぱり読書というのが自分の人生のベースになっているんですよね。 社会の中でうまくやっていけないとき、本だけが自分のことを理解してくれる、と感じたことがたくさんありました。本のおかげで、自分を曲げずに、自分なりのやり方で生きていくことを今まで続けてこれた、と思っています。 この本の中で紹介している著者やジャンルは以下のような感じです。 中島らも、橋
京都大学後卒業後、元「日本一有名なニート」という肩書でブロガーや作家として活動。phaさんを中心にインターネット好きを集めたシェアハウス「ギークハウス」がザ・ノンフィクションで特集されるなど、その独特な生き方は人々に新たな気づきを与える。 ブックオフか。昔に比べたら行かなくなったな。一瞬そんなふうに思ってしまったのだけれど、よく考えれば昨日も行ったし、土曜日にも行った。数えてみると週に2回か3回はブックオフに行っている。これは一般的には「行っている」ほうだろう。 これで行く回数が減ったというならば、昔はどれだけ行ってたんだという話になる。20代の頃は週に5日は行っていた。さすがに行き過ぎだったと今では思う。 あの頃は若くて暇で、お金がなくて、体力があった。特にやりたいこともなく、どんなふうに生きていったらいいかもよくわからず、ブックオフくらいしか行く場所が思いつかなくて、一日中マンガを立ち
ブロガーで作家のphaが11月15日、自身初となる小説『夜のこと』を出版した。これは「日本一有名なニート」として世に知られる様になった、彼自身の恋愛や性の体験を元に書き上げられた恋愛短編集である。数々のエピソードが連なっていくなかで、この作品がたどり着くのは“虚無”だ。この作品は私小説であるとphaは語る。SNSやマッチングアプリの流行により、近代以来の自由恋愛がある種の極点に差し掛かった今こそ、再び私小説が書かれるべき時代なのかもしれない。今回はこの小説や自身と未来のセックス観などについて、著者のphaに話を聞いた。(小池直也) 僕は「人生は虚無だ」という考え方 ――Twitterを拝見すると、完成までの追い込みが大変だったのかなと感じました。『夜のこと』を出版される今のご心境を教えてください。 pha:疲れきって完成から1週間ほど放心状態でしたよ。最後は頭の中が本のことばかりの1カ月で
10月6日(日)と13日(日)に、フジテレビのザ・ノンフィクションに出ます。「好きなことだけして生きていく~元ニートの再々再々出発~」というタイトルです。残念ながら放送は関東ローカルだけなのですが。 www.fujitv.co.jp ザ・ノンフィクション #60「お金がなくても楽しく暮らす方法」(2014年7月14日、フジテレビ) ザ・ノンフィクション #61 #62「会社と家族にサヨナラ…ニートの先の幸せ」 前後編(2017年6月18日、6月25日、フジテレビ) に続いて2年ぶり3度目の出演です。もう6年くらい続けて撮られていることになりますね。 今回は僕がシェアハウスをやめて一人暮らしを始めた話などになると思います。僕も放送内容を見てないのでわからないのですが。よかったら見てみてください。 www.youtube.com
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