ロシアのアナトリー・チュバイスがこのほど気候変動特使の職を辞し、国を離れると決断したことは今後、極めて重要な意味を持つかもしれない。近年のロシアの歴史に再び風穴を開けることにより、「プーチン政権のお追従」とされる約12人(編集部注:人数などは諸説あり)のロシアの「オリガルヒ(新興財閥)」の資産凍結を目指す、西側の対ロ制裁タスクフォース「クレプトキャプチャー(窃盗犯の逮捕)」に、ある種の規律をもたらす可能性があるからだ。さらに「それ以上」のことが実現する可能性すらある。 編集部注:クレプトキャプチャー:「クレプトクラシー」は「指導者がほかの人々から盗むことで権力と豊かさを獲得する社会」(ケンブリッジ辞典オンライン版)。そこから名付けられた、その資金源であるロシアの新興財閥オリガルヒを制裁するため米司法省が設立した部隊 チュバイスというキーパーソン 1990年代にエリツィン大統領の下でロシアの
会社員の山野恵子さん(40歳仮名)は、大手企業で経理をするかたわら、趣味を機に7年前に取得したワインエキスパートの資格を生かしたダブルワークをしている。平日の夜や週末に街の酒屋や中小飲食店向けのワインアドバイザーとして数店舗を回っており、毎月の副業収入は10万円くらい。これに加えて、ワインスクールの教材作成の仕事なども請け負っており、副業年収は200万円近くになる。 コロナ禍以降はリモートワークがしやすくなったこともあり、副業収入が増えた。将来的には会員制のワインサロンを作りたいと、現在ウェブサイトの作成も始めている。 そんな山野さんには現在、気がかりなことがある。副業の収入が年300万円を下回る会社員の副業所得にメスが入るかもしれないからだ。 国税庁が8月に公表した所得税基本通達の改正案で、副業で得た収入が年300万円を超えない場合は、原則「雑所得」として扱う方針が示された。税法上、所得
1987年に筆者がリクルートに通信事業のエンジニアとして入社してから、コンピューター活用に関する様々なバズワードを聞いてきた。BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)、WEB2.0、クラウド、AI(人工知能)を経て、今はDXが大きなキーワードとなっている。DXの定義は曖昧だが、シンプルに言えば「データとITを使いこなして新しい価値を生み出すこと」となるだろう。 長年、コンピューターとインターネットを活用した事業に関わってきた立場から、DXはこれまでのシステム開発やデジタル化とは全く違うものだと感じている。違う点は大きく分けて以下の3つだ。 導入の目的が、業務の効率化やコスト削減よりも、売り上げの拡大など競争優位性の確保を目指していること 取り組みの内容が、データ活用に主軸を置いていること DXの導入に際し、お手本となるようなシステムが存在していないこと 筆者は1998年ごろからリクナ
働きたくない若者が増えている――。 2001年から実施されているパネル調査(労働政策研究報告書 No.213 大都市の若者の就業行動と意識の変容 ――「第5回 若者のワークスタイル調査」――)で、こんなことがわかった。 未来の社会を映す鏡 この調査は2021年1~3月に、東京で暮らす25~34歳の働く男女8000人を対象に実施されたもの。つまり、“働かないオジサン”ならぬ、“働きたくないヤング”の誕生である(調査結果の詳細は後ほど)。 オジサンの対語をヤングとするセンスの悪さはさておくとしても、私自身、数年前から「『働かない働き方』という新しい働き方を目指す新人が増えた」といった、意味不明で、まどろっこしい嘆きを耳にしたり、その一方で最近、「働くことの面白さを若い社員に話してほしい」と講演会でオーダーされたりすることが増えたりしている。 働かずに食べていけるほど豊かな社会なら、「働きたくな
テレビ通販に参入して10年。知名度も上がり、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けていた。そんなときに訪れた1人の記者が持っていたのは、ジャパネットの顧客情報だった。「このままでは営業は続けられない」。自主的な営業停止は49日間にも及んだ。 髙田 明[たかた・あきら]氏 ジャパネットたかた 創業者 1948年長崎県平戸市生まれ。大学卒業後、機械メーカーを経て、父のカメラ店に入社。86年に分離・独立し、たかたを設立。99年にジャパネットたかたに社名変更。自ら通信販売で商品を紹介し、通販大手に成長させた。2015年に社長を退任し、経営を離れる。個人会社のA and Live(エー・アンド・ライブ)を設立した。(写真=菅 敏一) テレビの通販番組などを手掛けるジャパネットたかた(現在はジャパネットホールディングス傘下の中核子会社)の経営を離れてから6年になります。創業経営者である私に代わって、長男の髙田
新しい動画がアップされるのは、金曜日と水曜日の22時。毎週、若手からベテランまで様々なアーティストが登場し、歌われる曲も新作から過去の代表作まで様々だ。パフォーマンスのスタイルはバンド編成だったり、少人数編成だったりで、CD音源とは全く違ったアレンジも珍しくない。未音源化のカバー曲を披露する場合もある。音楽ジャーナリストの柴那典氏は、「公開日時が決まっていて、アーティストや披露される楽曲が事前にアナウンスされるので、オンラインライブさながら、みんなで一緒に見るという視聴体験ができるのも魅力」と言う。 「THE FIRST TAKE」設立の経緯について、運営スタッフはこう説明する。「洋楽の人気アーティストでは、歌唱動画やリリック・ビデオなどミュージックビデオ以外でも様々なYouTube上のコンテンツがよく見られ、人気が広がるという現象があった。日本でも決まったルーティンのもとで様々なアーティ
この記事の3つのポイント Z世代との意思疎通は「対等に」「素早く」「ロジカルでエモく」がカギ 若手社員への承認は、成果だけでなく「存在自体」と「行動」も必須 質問のバリエーションを増やすことで、部下とのやり取りをスムーズに これまで2回、早期離職防止のためのコンサルティングサービスを提供するカイラボ(東京・中央)の井上洋市朗社長に、若手社員の早期離職に対応する上で必要な考え方の基本と、若手社員と接する際の「NGコミュニケーション」について解説してもらった(接し方を変えないと「3年で辞める若者」はいつまでも減らないと「甘いな」と思っているのに「分かるよ」と共感を示す上司の過ち)。井上氏によると、1990年代半ば以降に生まれたZ世代とのコミュニケーションには、3つのツボがあるという。最終回となる今回は、より具体的なテクニックをお伝えする。(聞き手 経済メディア編成部 久保俊介)
つい3日ほど前、千葉県の八街市でいたましい事故があった。 6月28日の午後、集団下校していた児童の列にトラックが突っ込んだのだ。 県警によると児童5人が巻き込まれ、うち2人が死亡、1人が意識不明の重体、2人が重傷を負っている。県警は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、運転していた60歳の男を現行犯逮捕した。 容疑者の呼気からは、基準値を超えるアルコールが検出されている。本人は「左に急ハンドルを切ったら電柱にぶつかり、そのまま子どもたちの列に突っ込んでしまった」と容疑を認めており、詳しい経緯を調べているという。 こういう事故(子どもが犠牲になる事故)のニュースが伝えられると、テレビの情報番組は、オリンピックもコロナもすっ飛ばして、朝一番から容疑者憎しの空気一色でスタジオを埋め尽くしにかかる。 ネットも同じだ。 おかげで、ふだんは滅多に見かけることのない激越な呪詛の言葉が、ツイッターのタ
千葉県船橋市に製造拠点を構える平和産業。この中小の金型企業は今、コロナ禍の直撃を受けて、高齢者雇用をめぐり苦しい決断を迫られている。 1963年創業の同社は92年から航空機部品の生産をスタートした。会社全体の売上高の6割を占めるほどに育ち、成長のけん引役となっている。航空機部品の好調な受注に支えられて、平和産業はここ数年、前年比10%程度の成長を実現してきた。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大という予期せぬ危機に直面し、事態は暗転する。 航空需要の落ち込みを受けて、米ボーイングが減産を決めた余波は同社にも及び、民間航空機のエンジンや機体向けの部品をめぐる需要が激減。持続化給付金の支給を受けてなんとか持ちこたえているものの、赤字転落も現実味を帯びている。 コロナ危機が迫る高齢者からの「人員整理」 苦しい経営状況の中でやむなく同社が実施したのが、高齢社員を対象にした事実上の人員整理だ。20
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