旧ユーゴスラビアのセルビアは﹁球技の王国﹂としてつとに有名である。現名古屋グランパス監督のドラガン・ストイコビッチが、偉大なフットボーラーであったことは、日本のサッカーファンなら誰もが知るところであろう。この国は、これまで何人もの世界的な選手を輩出してきたが、それは決してサッカーに限った話ではない。バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、水球、テニス、などなど。この国のアスリートは、とりわけ球技において天才的な能力を発揮する。以前、セルビア人の友人に﹁なぜ君たちは、そんなに球技が得意なのか?﹂と質問したところ、彼は一言﹁血だ﹂と答えた。それくらい、かの国の人々にとって球技を楽しむことは呼吸をするがごとく自明となっている。 では、日本の国民的スポーツである野球はどうか? ヨーロッパの野球大国であるイタリアやオランダほどではないにせよ、実はセルビアでも野球はマイナースポーツとして行われ