死刑確定後、二〇一四年の再審開始決定で釈放された袴田巌さん︵82︶は、死刑の恐怖にさらされながら半世紀近く拘禁された影響で、今も精神を病む。国内では袴田さん以外にも、独房での収監が長期に及ぶ死刑囚がいる。日本の死刑囚の処遇は非人道的との批判がある一方、世論調査では国民の多くが死刑存続を望んでおり、刑の在り方が問われている。 ﹁死刑執行という未知のものに対するはてしない恐怖が、私の心をたとえようもなく冷たくする時がある﹂。一九六八年に一審死刑を言い渡された袴田さんは七三年一月二十六日、兄宛ての手紙に記した。八〇年の死刑確定後の日記には﹁私の心身は苦しんでいる。あせりと不眠。それから一種の恐怖。健全への渇望。それらが魂を圧倒し、時にとらえてはなさない﹂︵八二年八月三日︶とある。 法務省によると、五月二十五日時点の確定死刑囚は百二十四人。刑事訴訟法は確定から六カ月以内の死刑執行を定めるが、長けれ
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