はじめに ﹁キャラクター小説﹂。ライトノベルを説明するときによく使われる言葉ですが、例によって定義は曖昧です。そこで﹁キャラクター小説﹂の初期の定義を確認し、そこからどのように用法が派生していったかを探り、そして﹁もう使わんほうがいいんじゃね?﹂という結論に持っていく、というのがこの記事の主旨となります。 そもそも﹁キャラクター小説﹂という言葉がよく知られるようになったのは大塚英志﹃キャラクター小説の作り方﹄からだと思うので、そこでの﹁キャラクター小説﹂の説明を最初に引用します。 ただし、大前提として﹃キャラクター小説の作り方﹄が刊行されたのは2003年︵というか2000年からザ・スニーカーで連載されたコラムをまとめたもの︶であり、﹃ハルヒ﹄ブームなどを経てライトノベルが急拡大していく直前、まだ﹁ライトノベル﹂が未成熟でどのように発展していくかわからない、﹁ライトノベル﹂という呼称すら十分