ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (21)
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<バリアフリーを要求する車椅子利用者を﹁わがまま﹂と非難する背景には、障害者を助けるのは﹁善意﹂からなので、それ以上を求めるべきではないという考え方がある。だが今は、その考え方にパラダイムシフトが求められている> 3月15日、﹁車椅子インフルエンサー﹂として活動している中嶋涼子氏が、イオンシネマで映画館スタッフの介助を得て映画を観たところ、観賞後、責任者に今後の利用を断られ、悔しかったことをSNSに投稿した。イオンシネマは翌日、従業員の不適切な対応についてホームページ上で謝罪した。ところがその後、SNSでは中嶋涼子氏に対するバッシングが巻き起こった。 近年、事業者のバリアフリー対応について公然と批判する障害者は、世間からの謂れのない攻撃に晒されている。4月からは障害者差別解消法に基づいて、障害者に対する﹁合理的配慮の提供﹂が義務化される。社会で進んでいくバリアフリー政策と、人々の意識のギャ
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<保護責任が厳しく問われるアメリカでは、子どもを一人でお使いに出すことは﹁非常識極まりない﹂はずだが......> 日本のNTV系列が放送している長寿番組﹃はじめてのおつかい﹄の中から、諸条件に合致したエピソードの放映権がNetflixに売却され、この4月1日から﹁Old Enough﹂︵﹁︵単独行動をするには︶十分に大きい﹂︶というタイトルで世界各国で視聴されるようになりました。一番幼い場合は3歳児未満という幼児が、親に頼まれて﹁一人でお使い﹂に行くというリアリティー・ショーですが、アメリカでは大変な話題になっています。 アメリカでは、州によって若干の違いはありますが、基本的に13歳未満の子供に対しては保護者の監視が義務付けられています。ですから幼児に一人で街路を歩かせていることが判明した場合には、その幼児は即座に保護され、保護者は逮捕されるばかりか、そのような﹁危険な状態を見て見ぬふり
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<﹁信者﹂を減らさないと、日本の将来は暗い。東京五輪を機に、チャンスとリスクを議論して判断できる日本へと変わるべきだ> 人間は何かを行う前に、﹁チャンス﹂と﹁リスク﹂を秤︵はかり︶に掛けて判断する。東京五輪では、選手が国民に感動を与えることがチャンスで、試合場の選手団や観客から新型コロナウイルスが広がるのがリスクである。 しかし、テレビや新聞はリスクだけを報道し、秤に掛けるような議論は進まなかった。結局、時間切れで中止にはならず、IOC︵国際オリンピック委員会︶にいいように引き込まれて大会は始まった。 五輪開催が失敗だったか成功だったかは、閉会式まで分からなかった。たまたま日本の金メダルが予想以上に多かったから、JNNの世論調査では﹁開催してよかった﹂﹁どちらかといえばよかった﹂と思う人が61%になった。 もしも予想以上に少なかったら、五輪はコロナ第5波の主因として失敗の烙印を押され、自民
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<菅政権は全力で国民の生命を救おうとはしていない。何もしなくても﹁政権は安泰﹂と高を括っているからだ> 8月2日、政府は新型コロナウイルスで、﹁中等症﹂であっても﹁症状が軽い﹂あるいは﹁重症化リスクの少ない﹂患者に関しては、﹁自宅療養﹂を可とする方針を出した。これまでは原則的にコロナ患者は入院、無症状や軽症の場合は宿泊施設に入るという方針で進めていたが、その方針を転換したかたちだ。 オリンピックの開会式を含む7月の4連休以降、日本全体に渡って新型コロナウイルスの急増がみられ、特に東京では一日4000人を越える感染者が出ている。すでに小池百合子都知事は比較的軽症の独身者に対して﹁自宅を病床のようなかたちで﹂と﹁自宅療養﹂を勧めていた。また、今年春に大阪で感染者が急増した際、入院もホテルなどの施設に入ることもできず、自宅でほぼ放置された患者が続出した。大阪の死者数の多さは、それが一因だと言われ
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<﹁誤解を与えたのであれば申し訳ない﹂とは、形を変えて加害を繰り返しているとすら言える言葉だ。ホテルから保健所、政治家、首相まで、そんな﹁謝らない謝罪﹂が多過ぎる> この原稿を書いているのは東京五輪開会式の前日。今朝は開閉会式の演出担当である小林賢太郎氏が解任されたという速報で目が覚めた。 森喜朗大会組織委員会会長︵当時︶が女性差別発言で辞任したのが今年の2月だった。そこで明るみに出た人権意識の低さが、その後も繰り返し表面化し続けている。 つい先日もこんな報道があった。東京・赤坂のホテルがエレベーターに﹁日本人専用﹂﹁外国人専用﹂と掲示していたというのだ。コロナ禍で一般客と五輪関係者の動線を分ける目的だったとのことだが、そのための手段はあまりに稚拙で差別的だった。 加えて気になったのは、発覚後のホテルの﹁謝罪﹂コメントだ。﹁差別する意図はなかったが、誤解を生じさせてしまいおわびする﹂ ﹁誤
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<JOC︵日本オリンピック委員会︶理事だが、東京五輪の開催を危惧する山口香氏。なぜ政府は国民の不安や反対に応えないのか。今回の五輪、そして今後の五輪にどのような懸念があるか。単独取材に答えた> 東京五輪の開会式︵7月23日︶まで50日を切ったが、新型コロナウイルスの感染が収まらない中での大会開催には、多くの国民が不安や反対の声を上げている。 しかし日本政府や東京五輪・パラリンピック大会組織委員会はひたすら﹁安心・安全﹂を繰り返すばかりで、人々の疑問に答えているとはいいにくい。 そんな状況を危惧する1人が、柔道の五輪メダリストで現在は筑波大学教授を務める山口香JOC︵日本オリンピック委員会︶理事だ。 ﹁五輪は開催されると思うが、今回の五輪は﹃安全ではなく危険です﹄から入ったほうがいいと思う﹂と話す山口氏に、仏リベラシオン紙東京特派員の西村カリンが話を聞いた︵*回答はJOC理事ではなく、個人と
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・習近平国家主席は共産党幹部に、中国について国際的な理解を得られるよう、もっと努力することを指示した。 ・そこには、トラブルを抱えた外国政府を非難罵倒するこれまでのやり方が逆効果という見方が共産党内部にも広がっていることがある。 ・その一方で、﹁中国が理解されていない﹂という焦りは歴代政権が抱えてきたもので、習近平を待ち受けるハードルは高い。 中国の習近平主席は5月31日、共産党の最高意思決定機関、中央委員会政治局で、中国の国際的イメージの向上を厳命した。 国営の新華社通信によると、その主な内容は、 ・コミュニケーション手段︵マスメディアやSNSなどを指すと思われる︶を発達させ、中国に関する国際的な言説に、中国の声を届かせること。 ・中国共産党が中国人民の幸福のみを追求していることを海外に広く知らしめること。 ・中国の活動を説明できる、中国自身の言説やナラティブを育成すること。 ・信頼され
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<﹃鬼滅の刃 無限列車編﹄を観に行くのは、原作漫画を全部読んでからでも遅くない。万難を排しても今観るべき時事的アニメ作品は他にある> ﹁勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし﹂──こう言ったのは、江戸後期の長崎・平戸藩九代目藩主、松浦静山であった︵﹃甲子夜話﹄=かっしやわ︶。つまり失敗には必ず原因があるが、成功には理外の運や天賦が作用するという事である。 今次のいわゆる﹃鬼滅の刃﹄ブームが、まさにこの言葉で形容するのにふさわしいと言えよう。同劇場版﹃鬼滅の刃 無限列車編﹄は11月末現在、日本歴代興行収入3位に躍り出た。なぜこれほどまでに流行っているのか。したり顔で解説する人間を私は信用しない。ましてアニメ評論家でも何でもないものが、それを言うのは殊更頂けない。﹃鬼滅﹄ブームは、正しく﹁不思議の勝ち﹂の部類であり、その背景を探るという試みはすべて後付けの理屈である。 運否天賦が左右し
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<2015年にヒューゴー賞を受賞し、世界的なベストセラーとなった﹃三体﹄の著者、劉慈欣が綴る﹁自分をSF作家の道へ歩ませた5冊の書物﹂。意外にも、その1冊はSFではない。本誌﹁人生を変えた55冊﹂特集より> 書籍が各人に与える影響はさまざまだが、自分の人生の道を決定する本こそ最も重要である。一人のSF作家として、私は自分をSFの道へ歩ませた書物を紹介したい。 まずジュール・ベルヌの大機械小説。ベルヌのSF小説はその対象から大きく2つに分類できる。1つは科学探検小説、もう1つは大きな機械を描写する小説。後者はよりSF的内容を備えており、私に最も大きな影響を与えたのが﹃海底二万里﹄である。 ﹃海底二万里﹄ ジュール・ベルヌ﹇著﹈ 邦訳/岩波書店ほか ︵※画像をクリックするとアマゾンに飛びます︶ このタイプの小説に現れる大機械は、等しく18〜19世紀の蒸気技術と初期の電気技術を基礎としている。お
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PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY GETTY IMAGES PLUS <反人種差別デモに参加した息子が見覚えのない高価な靴を履いているのですが、その手の靴を扱うお店が略奪に遭ったというニュースを見ました。盗んだのではないかと疑っているのですが──。> Q‥15歳と17歳の息子が人種差別抗議デモに参加しました。ところがデモが暴動に発展したと連絡があり、私と妻は車で2人を迎えに行きました。 今日になって、妻と私は上の子が高価な新品の靴を履いていることに気付きました。息子はネットで買ったと言うのですが、その手の靴を扱っていた靴店が略奪に遭ったとのニュースが報じられており、私たちは息子が盗みに加わったのではないかと疑っています。 妻は本人を問い詰めて真実を語らせ、靴はどこかに寄付しようと言います。私は店に行って靴を返すのが筋だと思いますが、妻は警察に通
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4月2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてTBSは﹁4月4日から19日までの2週間、ドラマやバラエティにおけるロケとスタジオ収録の中断﹂を発表しました。その理由に挙げられたのは、﹁不特定多数の方々と接したり、大人数が集まったりするケースが多い﹂﹁一般の方々や出演者の方々、番組スタッフへの感染予防を最優先﹂の2点。さらに20日以降も状況を見て﹁再開するかどうか﹂の判断を下すようです。 TBSは前日にも今春スタートのドラマ3作︵﹃半沢直樹﹄﹃私の家政夫ナギサさん﹄﹃MIU404﹄︶と、大型特番﹃オールスター感謝祭﹄の放送延期を発表していました。ともに4月の重点番組だけに、﹁これを延期するくらいなら他の番組も厳しいのでは?﹂と不安視されていましたが、それに続く対応は思いのほか早かったのです。 また、テレビ東京も、﹁3日から生放送を除く収録を中断し、1週間をめどに社員の出社を2割程度に絞る﹂こ
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マスクをして通学する小学生、一斉休校でこの日が今年度最後の登校に︵2月28日︶ Issei Kato-REUTERS <入試の公平性や教育の格差は大問題になるのに、一斉休校で教育の機会が失われることには異論を唱えない。日本は終わった> 日本はもう終わりだ。 コロナウイルスによって終わったのではなく、終わっていたことがコロナウイルスによって明らかになったのだ。 安倍首相は、官邸主導で、全国の小中高校の一斉休校を要請した。 最悪だ。 目的が間違っている。 感染拡大を抑えるということだが、子供の感染率は低いし、それよりも高齢者のスポーツジム利用自粛要請の方がまだましだ、という例で明らかなように、手段の優先順位が間違っている。 しかし、そんなことは今に始まったことではない。そんなことで日本が終わるなら、とっくに終わっている。 私にとっての最大の驚きは、官邸のこの意思決定に対する人々の反応だ。 もち
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世界から見た新型肺炎危機の﹁震源地﹂、ダイヤモンドプリンセス号︵横浜、2月12日︶ Kim Kyung-hoon-REUTERS <日本は新型コロナウイルス危機の震源は中国の武漢と思ってるが、世界には横浜のダイヤモンド・プリンセス号が震源だと思われている> 2月24日。日本は振り替え休日で、テレビのニュースはひたすら新型肺炎でうんざりだったが、夜になるとネットのマーケットニュースは危機を伝えていた。 米国株価指標、ダウ平均は1031ドルの下落という大暴落。ナスダックの下落率はそれ以上で、3.7%の大暴落。3連休明けの日本市場の株価は日経平均の下落は1000円を超えるものになるのは確実だ︵これをみなさんが読んでいる頃は大暴落のあと、乱高下しているだろうが︶。 当然だ。 これまで、株価が暴落しなかったほうがおかしい。 中国では工場も学校も実質閉鎖。再開したとはいうものの、学校はすべてオンライン
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﹁世界中が怒りを感じている﹂上位26人が下位38億人分の富を保有。富裕層があと0.5%でも多く税金を払えば、貧困問題は解決するのに <国際慈善団体オックスファムが年次報告書で貧富の格差がまた拡したと指摘。各国政府に富裕層や企業への増税を呼びかける> 新たに発表された報告によると、世界で最も裕福な26人が、世界で所得が最も低い半数38億人の総資産に匹敵する富を握っており、しかも貧富の格差は拡大し続けているという。 イギリスを拠点に貧困問題に取り組んでいる国際慈善団体オックスファム・インターナショナルが、このほど年次報告書を発表。拡大する一方の貧富の格差を是正するため、富裕層への増税が必要だと各国政府に呼びかけた。2008年の世界金融危機以降、世界の超富裕層の資産総額が数十億ドル単位で増えた一方で、世界人口のうち所得が低いほうの半数にあたる38億人の資産総額は10%以上減少した。 中東の衛星テ
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<外国人旅行者が急激に増えている高野山。外国人観光客からのネガティブなレビューへの、ある僧侶の歯に衣着せぬ反応が話題になっている> 日本仏教の聖地にいる辛口僧侶 高野山といえば、空海が開山した歴史ある場所で日本仏教の聖地と言える。世界遺産にも登録され、国際的に知名度も上がった。そこにある1つのお寺が、英語圏で話題になっている。というのも、そのお寺の宿坊︵宿坊とは通常、僧侶や参拝者向けに境内に用意された宿泊施設︶がホテルの予約サイトに掲載されているのだが、外国人観光客からのネガティブなレビューへの返信が、歯に衣着せぬ内容でナナメ上を行っているのだ。英紙ガーディアンが報じた。 この宿坊は、和歌山県高野山にある赤松院︵せきしょういん︶だ。世界的なホテル予約サイト﹁Booking.com﹂に宿坊として掲載されている。このサイトでは、実際に宿泊した人が点数をつけたりコメントを投稿したりできるようにな
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<ニューズウィーク日本版8月8日発売号︵2017年8月15&22日号︶は﹁2050 日本の未来予想図﹂特集。少子高齢化で迫りくる人口大減少。国際的な舞台で現在の影響力を維持できなくなった日本の未来像は中国の衛星国か? 近づく恐ろしい未来に日本人はどう立ち向かうべきか、﹁窮地に活路﹂を示す7つの未来予想をまとめた。この特集から、﹁もはやデフレや日本的資本主義は口実にできない﹂と説くデービッド・アトキンソン氏による寄稿を転載する> 先進国経済の中で、2050年の日本経済を予想することはとりわけ難しい。 他の先進国の場合、発展する中国経済の影響や欧米の金融危機などさまざまな苦難があっても、政府や学者、経営者などが対策を打ってきた。改革とイノベーションによって経済成長を持続させてきた実績があるため、エコノミストは過去のデータからの﹁延長線﹂を引っ張ることで予想が可能となる。 日本でも改革は昔から求
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<職場でも恋愛でも――。人の弱みにつけこみ、コントロールする技術をもつサイコパス。﹃サイコパス﹄はその謎を脳科学から解き明かす> ﹃サイコパス﹄︵中野信子著、文春新書︶は、脳科学者である著者が、なにかとわかりにくい部分の多い﹁サイコパス﹂の実態を、脳科学的な観点から明かした新書。 サイコパスとは何か。謎も多いだけに、いろいろと知識を身につけておきたいところだ。しかし、多くの人がまず知りたいのは、相手がサイコパスであるか否かを判断する基準ではないだろうか? そこで役に立ちそうなのが、著者が﹁はじめに 脳科学が明らかにする﹃あなたの隣のサイコパス﹄﹂で挙げているサイコパスの主だった特徴である。 ・外見や語りが過剰に魅力的で、ナルシスティックである。 ・恐怖や不安、緊張を感じにくく、大舞台でも堂々として見える。 ・多くの人が倫理的な理由でためらいを感じたり危険に思ってやらなかったりすることも平然
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<イスラム教徒向け食品﹁ハラール﹂の不正表示対策を求める声が、中国のネット上で激しいヘイトスピーチに火を付けた>︵写真‥﹁清真︵ハラール︶﹂の食品を販売する陝西省西安の店︶ ここ半年ほど、中国のソーシャルメディアで過激な反応を引き起こしている問題がある。 それは、中国人のイスラム教徒がハラールフード︵イスラム教の戒律にのっとって処理された食品︶の偽装表示対策を求めていることだ。中国版ツイッター﹁微博︵ウェイボー︶﹂には、こうした要求をテロと同一視し、要求を聞き入れれば国内のイスラム教徒の過激化を招くと決め付ける声が渦巻いている。 偽ハラール・フードへの法規制を求める運動を主導するのは、少数民族の回族の人々だ。中国最大のイスラム教徒グループで、人口は1000万人を超す。イスラム教徒は﹁ハラール認証﹂の表示を頼りに食品を買うが、悪徳業者による偽装表示が絶えず、不信感は募る一方。そこで、回族たち
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ちょうど封切りの初日に間に合ったのは幸いでした。短い一時帰国の最後の晩、新宿のシネコンで観賞後に羽田発の深夜便で西海岸乗り継ぎで戻ってくるというのは強行軍に聞こえますが、その間、映画の余韻がずっと続いていたことで疲労も感じなかったぐらいです。 傑作だと思います。いや大傑作でしょう。 これはアニメーションというカテゴリに全く新しい次元を開いただけでなく、原作の﹃竹取物語﹄が千年を越える生命を保っているように、この作品も長い時間を越えて残っていく価値がある、それぐらいの作品と思います。 何よりも、日本画や水墨画を思わせる﹁開かれた、そして動的なエネルギーのある線﹂の表現が、動画になることで、ここまでの表現力を獲得したということが画期的です。アニメは、ここに至って﹁輪郭線と塗りつぶし﹂という文法から解き放たれたのですが、そのことの意味がこれほどまでに説得力を持つというのは驚愕でした。 日本画の影
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先週21日に﹁アサド政権は自国の反政府勢力に対して化学兵器を使用した﹂というニュースが報じられたのを受けて﹁シリアへの介入論﹂が高まっています。今日︵8月29日︶から翌30日にかけて、アメリカが攻撃を開始するという説も相当に濃厚になっているようです。 アメリカは、アフガンとイラクの戦争で大苦戦を強いられると共に、国が大きく傾くほどの経済的なダメージを受けました。これを受けて、国民の間には強い厭戦気分があります。また、9・11以降続いていた、自国の安全のためには手段を選ばずという本能的な心理も消えています。 何よりも現在のアメリカは2008年9月の﹁リーマン・ショック﹂以来の不況をようやく脱しつつある中で、﹁軍事費を聖域とはせず﹂という方針で国家財政の健全化に取り組んでいる最中でもあります。 そうした時代の流れの中で、アメリカの世論は今回の﹁シリア攻撃﹂を支持はしていません。一部の調査によれ
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