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そこは楽園か、ディストピアか? シリコンバレーの天才たちが希求する「数学的に正しい統治」とは? アメリカのIT企業家の資産総額は上位10数名だけで1兆ドルを超え、日本のGDPの25%にも達する。いまや国家に匹敵する莫大な富と強力なテクノロジーを独占する彼らは、「究極の自由」が約束された社会――既存の国家も民主主義も超越した、数学的に正しい統治――の実現を待ち望んでいる。 いわば「ハイテク自由至上主義」と呼べる哲学を信奉する彼らによって、今後の世界がどう変わりうるのか? ハイテク分野で活躍する天才には、極端にシステム化された知能をもつ「ハイパー・システマイザー」が多い。彼らはきわめて高い数学的・論理的能力に恵まれているが、認知的共感力に乏しい。それゆえ、幼少時代に周囲になじめず、世界を敵対的なものだと捉えるようになってしまう。イノベーションで驚異的な能力を発揮する一方、他者への痛みを理解しな
2024.02.02発売情報 トヨタ最大の秘密を知る男の「告白」。豊田家世襲の内幕を赤裸々に描いた圧巻のノンフィクション!『トヨタ 中国の怪物』ほか トヨタ最大の秘密を知る男の「告白」。トヨタの中国進出と豊田家世襲の内幕――。 『トヨタ 中国の怪物』児玉博 企業人の“業”を描く児玉博さんの今作は、トヨタの中国事務所総代表だった服部悦雄氏が主人公です。服部氏は、「低迷していたトヨタの中国市場を大転換させた立役者」であり、「トヨタを世界一にした社長、奥田碩を誰よりも知る男」であり、何より「豊田家の御曹司、豊田章男を社長にした男」として、自動車業界では知る人ぞ知る人物です。トヨタをモデルにしたベストセラー小説『トヨトミの野望』の作中にも、服部氏は「中国の怪人」として仮名で登場します。 服部氏は戦争中に生まれ、27歳まで家族とともに中国にとどまりました。毛沢東の大躍進運動、文化大革命では、一羽の腐
2023.11.27ちょい読み 原子力ムラの深い闇に迫る。“言論封殺”された衝撃の問題作、ついに公開! 青木 美希 『日本は原発を止められないのか?』(青木美希) 出典 : #文春新書 ジャンル : #ノンフィクション 『日本は原発を止められないのか?』(青木美希) 太平洋を抜けてきた潮風が、漁船が停泊する港にぼうぼうと吹く。福島県いわき市の小名浜漁港から見える海は、群青色に広がっていた。 福島県漁業協同組合連合会(県漁連)理事の柳内孝之さん(57)は、Tシャツ姿で風に吹かれながらこう訴えた。 「東京電力が事故で汚した海ですよね。汚染された海を浄化していくという話ならわかりますが、(福島第一原発から)海洋放出すれば、福島の海は震災前より悪化しているとみられてしまいます。商売が立ちゆかなくなる可能性がある。仲間が苦しめられ、また命を失う人が出るかもしれない」 柳内さんは、一人の水産業者のこと
2023.11.02ちょい読み 認知症は「脳の糖尿病」だった! 20年後に後悔しないための処方箋 牧田 善二 『認知症にならない100まで生きる食事術 』(牧田 善二) 出典 : #文春新書 ジャンル : #趣味・実用 『認知症にならない100まで生きる食事術 』(牧田 善二) 認知症は食生活で防げる ◎アルツハイマー病は脳の糖尿病 なぜ糖尿病の専門医が認知症についての本を書くのか、不思議に思われている方もいることでしょう。 その理由は、ひとことで言えば、アルツハイマー病は脳の糖尿病で、糖尿病がアルツハイマー病を引き起こす最大の原因だからです。 私の専門は糖尿病ですが、正確には生化学という学問を長年学んできた医学研究者です。中でも、老化を進め、認知症の原因でもあるAGEと呼ばれる物質のことを四五年間にわたって研究してきました。極めて多くの方に認知症の検査を行って、「予防」という治療法を行っ
2023.09.06特集 「ナベツネはこう言いました」「復讐をするつもりでした」――芥川賞受賞作『ハンチバック』を書いた市川沙央さんの、ユーモアと決意に満ちた受賞スピーチを完全プレイバック! ジャンル : #小説 『ハンチバック』(市川 沙央) 8月25日、東京・帝国ホテルで第169回芥川賞・直木賞の授賞式が行われました。 芥川賞受賞作は市川沙央さんの『ハンチバック』(文藝春秋)。ミオチュブラー・ミオパチーという難病を抱える市川さんが、自身を投影した主人公を描いての受賞が話題となったこともあり、数多くの出版関係者が参加する賑やかな式となりました。 選考委員を代表してお祝いのスピーチを行った川上弘美さんは、受賞作『ハンチバック』について、その優れた部分をいくつかのキーワードで読み解いていきます。 まずは「当事者」である、ということ。 「当事者であることを小説に書くことはとても難しいことです。
2023.08.02書評 人はなぜ薬物依存症になるのか? 文:松本 俊彦 (精神科医、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長) 『薬物依存症の日々』(清原 和博) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #ノンフィクション 『薬物依存症の日々』(清原 和博) のっけからいきなり質問です。 「人はなぜ薬物依存症になるのでしょうか?」 みなさんはどう答えますか? 一回でも薬物を使用すると、薬物による快感が脳内報酬系をハイジャックし、人を薬物の奴隷に変えてしまうから? これについては、薬物依存症治療を専門とする精神科医として声を大にして、こう答えたいと思います。 「まさか!」 たとえばアルコールはれっきとした薬物であり、その薬理学的依存性は決して弱くはありません。しかし、誰もが使用経験を持っていて、大半の人はコントロールして嗜んでいるはずです。それでは、そのアルコールの初体験は
2023.07.13コラム・エッセイ なぜ、いま「信長」を考えるのか 本郷 和人 『信長の正体』(本郷 和人) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #ノンフィクション 『信長の正体』(本郷 和人) 信長は革新的な人物か、普通の大名か 「歴史上の人間で好きな人物を三人挙げよ」というと、幕末の志士であった坂本龍馬とともにランクインする確率が非常に高いのが織田信長である。 このように信長人気が高まったのは、実はそれほど昔からではない。もともとはその残虐性によって、戦国武将の中でもさほど人気があるとは言えなかった。それが幕末から明治時代にかけて、信長は勤王家、つまり朝廷の復活に功あった人という位置づけで高く評価されるようになった。たとえば明治三年には信長を祭神とする建勲(たけいさお)神社が建てられ、同十三年に京都の船岡山に遷座して現在に至っている。さらに戦後になると一変して、信長は天皇制すら否定し
2014.09.03書評 一気読みは確実の超面白小説 文:北上 次郎 (文芸評論家) 『ライトニング』 (ディーン・R・クーンツ 著/野村芳夫 訳) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #エンタメ・ミステリ あの熱狂を思い出す。クーンツがいちばん輝いていた時代を思い出す。いまからちょうど二十五年前、一九八九年のことだ。この年、クーンツ作品は、『戦慄のシャドウファイア』『ウィスパーズ』『邪教集団トワイライトの追撃』『ライトニング』『12月の扉』『夜の終りに』『雷鳴の館』『殺人プログラミング』と、各社から合計八作が翻訳された。このうち面白かったのは五作。八分の五ならすごい。クーンツ元年といっていい。それ以前にもクーンツは、『マンハッタン魔の北壁』とか『逃切』とか幅の広い作品を書く器用な作家として紹介されていた。この年突然紹介されたわけではない。だが、一九八九年のクーンツは、まったく新しいクーン
グループサウンズ(GS)は、エレキギターやエレキ・ベースを中心にして数人で編成されたグループである。ベンチャーズやビートルズ、ローリング・ストーンズなどの影響のもとに生まれたものとされ、1965年から69年にかけて、日本のミュージック・シーンを席巻した。 グループ名をあげれば、ザ・スパイダース、ブルー・コメッツ、ザ・タイガース、ザ・テンプターズ、ザ・ゴールデン・カップス、ザ・ジャガーズ、オックス、ザ・ワイルド・ワンズ、ヴィレッジ・シンガーズ・・・となる。 作詞・作曲には、橋本淳、なかにし礼、村井邦彦、筒美京平、鈴木邦彦などが参集し、独自の世界を築き上げた。その世界観は若者の熱狂的な支持を受け、社会現象ともなった。〝失神グループ”なども登場した。 グループサウンズを深く愛聴し、また通暁する近田春夫氏は、どんなGS関連の書物にも、GSはビートルズの影響下にあったとされるが、まずは、その「常識」
2022.04.19書評 奪われてはならないものについて 文:角田 光代 (作家) 『自選作品集 鬼子母神』(山岸 凉子) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #随筆・エッセイ 『自選作品集 鬼子母神』(山岸 凉子) はじめて触れた山岸凉子作品がホラー漫画で、しかもトラウマになるくらいの恐怖を味わったので、山岸凉子さんはホラー作品の書き手なのだと思いこんでいた。その後に『日出処の天子』『天人唐草』『パエトーン』『パイド・パイパー』『舞姫 テレプシコーラ』……と順不同に出合い、特定のジャンルにあてはめることの不可能な作家なのだと知った。 この『自選作品集 鬼子母神』におさめられている作品はいずれも、母親と子どもの関係を描いている。 「夜叉御前」は、怪奇ものと思って読んでいくと、怪奇現象よりももっとおぞましくおそろしい現実を、読み手は突きつけられる。引っ越した新居にあらわれる「恐ろしい女の人の
2022.08.17ニュース 7人の“宗教2世”の半生を描き、SNSで話題になったノンフィクションコミックが、連載中断を経て文藝春秋から刊行!(著者コメントあり) ジャンル : #ノンフィクション ,#随筆・エッセイ 2022年10月6日に、7人の“宗教2世”の半生を描いた菊池真理子さんのノンフィクションコミック「『神様』のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~」が刊行されます。 菊池真理子「『神様』のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~」より 「『神様』のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~」は、著者含む、7人の宗教2世たちの半生をマンガ化した作品です。 集英社のウェブメディアで連載していた本作は、編集部の判断により連載が中断され、削除されていましたが、作者の元に寄せられた「終わらせないで」という声に支えられ、10月6日に単行本として発売されます。連載中に発表された原稿に加えて
「人工知能の巨人」が放つ「なぜ?の科学」の革命的な入門書! 「私自身、この本の解説を書くことが憚られるくらいの凄い内容」 ――松尾豊氏(人工知能学者・東大大学院教授)絶賛! 米Amazonでは1256レビュー、4.5★。ポピュラーサイエンスの世界的ベストセラー! ・今までの統計学では答えられなかった「なぜ?の科学」とは? ・それは3段の「因果のはしご」を使って説明できる ・著者は人工知能界のノーベル賞にあたるチューリング賞受賞! ・現在のデータ主義には限界がある。それを乗り越える「因果推論」とは? ・その商品が売れた理由をどう分析し、新たな儲けにつなげるか? ・公衆衛生におけるベストな選択肢の考え方とは? ・人間のように考えられる人工知能=強いAIはつくれるか? ・そもそも私たち人間はどのように「因果関係」を考えているのか? 統計学とデータ分析を超えた新たな学問の誕生! 人工知能と人類の未
2022.06.07ためし読み エマニュエル・トッド、磯田道史が“衝撃”を受けた「日本の歴史人口学の父」速水融とは 文春新書編集部 『歴史人口学で見た日本〈増補版〉 』(速水 融) 出典 : #文春新書 ジャンル : #ノンフィクション 『歴史人口学で見た日本〈増補版〉』(速水 融) 本書の著者、速水融氏(一九二九―二〇一九)の生涯は、常に“学問”と共にあった。 そもそもが“学者一家の出”である。父、速水敬二(養子に出たので「速水」姓)は哲学者で、伯父、東畑精一は農業経済学者で、叔父、東畑四郎は農林事務次官を務め、叔母、喜美子は、哲学者の三木清に嫁いでいる。 戦時中に居候していた東畑精一の家には、政治学者・蝋山政道など「昭和研究会」のメンバーが出入りし、当時一五歳だった速水氏は、伯父から「この戦争ももうすぐ終わる。犬死だけはするな」と強く言われたという。また終戦直後の一九四五年九月には、三
NEWS 2023.08.02 8月9日に第14巻が発売されます 2022.12.21 <ニュース>東村アキコ『私のことを憶えていますか』ドラマ化! 自身初となる《韓ドラ》での世界配信が決定 2021.06.01 <ニュース>超ドラマティック! 話題のフルカラー恋愛マンガ『私のことを憶えていますか』最新4巻 発売キャンペーン実施 2021.03.02 文春オンラインに東村アキコさんのインタビューが掲載されました インタビュー(1)東村アキコ「いつも同じタイプの顔を好きになる」 洗濯物を畳みながら思い出した相手が初恋の「こうちゃん」だった インタビュー(2)「恋愛なんかしなくてもいいんですけど…」 東村アキコが「いい男がいないから恋愛できない」派に言いたいこと 2020.12.07 <ニュース>東村アキコ最新作は超胸キュンな初恋物語! 輝くホロ加工をまとった『私のことを憶えていますか』第1巻
2021.09.14インタビュー・対談 円城塔、怪獣を語る 『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』をめぐって 聞き手:佐々木 敦 文學界10月号 出典 : #文學界 ジャンル : #エンタメ・ミステリ 壮大な構想力と透徹した論理で小説世界を構築してきた作家が、アニメシリーズ『ゴジラS.P』の脚本を手がけた。世界的に知られる怪獣ものに挑むことになった経緯や作品に込めた思いを訊いた。 TVアニメ『ゴジラS.P <シンギュラポイント>』はNetflixにて全13話世界配信中。9月22日にBlu-ray&DVD第2巻が発売される(全3巻) ©2020 TOHO CO., LTD. 「文學界 10月号」(文藝春秋 編) ■すべてはSF考証から始まった ――円城塔さんがシリーズ構成・脚本・SF考証に携わり、今年、テレビ放映やネットフリックスでの配信が始まったアニメ『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』
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