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買ってよかったもの
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安倍晋三元首相を元海上自衛官が自作の銃で殺害し、その動機に新興宗教が関係していたことに、世間は大きな衝撃を受けた。防衛力整備と自衛隊の地位向上に尽力した安倍元首相の殺害事件に自衛隊が直接的に関係したわけではないにせよ、防衛省・自衛隊の高官たちは肩身の狭い思いをしながら、内心では「カルト隊員ではなくてよかった」と安堵しているのではないだろうか。筆者がそう想像する理由は、自衛隊と新興宗教・カルトの長い戦いの歴史があるからだ。 身上書に「宗教」の欄がある ある防衛省関係者は「自衛隊に入ると身上明細書という履歴書のようなものを書かされますが、そこには『宗教』という欄があり、本人が信じる、あるいは所属する宗教・宗派の記載が求められます」と話す。 いまのご時世、履歴書に年齢や性別を書かせることですらタブーだ。では、なぜ自衛隊はタブーを犯してまでも隊員の宗教を知ろうとするのだろうか。
鈴木恵子さん(仮名・55歳)の母・初江さん(87歳)は、5年前に急に倒れて介護が必要になった。必死に探し回ってようやく近隣の手頃な有料老人ホームに入れることになったが、そこは入居者を1人で食事させておくような劣悪な施設。しかも運営母体が経営破綻したことで、閉鎖の危機に追い込まれたことは、【前編】『82歳の母親を「入居金0円」の老人ホームに入れて、大後悔した一人娘の悲劇』で説明した通りだ。 なんとか別の事業者が引き継ぎ施設は存続すると決まったものの、安堵する恵子さんを待ち受けていたのは「第二の地獄」だった…。 一時金「300万円」に愕然 「ほっとしたのも束の間で、施設維持のため料金値上げの要請が来たのです。値上げ額は、月額利用料5万円、くわえて一時金300万円を徴収するというものでした。 一時金を払ってしまうと、母の貯金は600万円程度にまで減ってしまいます。さらに毎月5万円多く払うと、預貯
少年犯罪という「底なし沼」 闇バイトの先には、「社会的破滅」という底なしの深淵しかない。 少年非行は、筆者が少年だった当時と比べると、随分と様相が変わってしまった。 加齢に筆者が現時点で少年と呼べる年齢だったとしたら、おそらく何らかの犯罪に巻き込まれていたことは想像に難くない。それほど容易に犯罪に手を染めることができる環境に、彼らは生きているのだ。 とりわけ、近年、特殊詐欺(振り込め詐欺)に巻き込まれる青少年が多くなっている。警察庁によると、特殊詐欺における「少年の検挙人員は491人(-128人)で、総検挙人員に占める割合は18.7%。少年の検挙人員の79.4%が受け子で、検挙された受け子に占める割合は22.2%と、5人に1人が少年」とある(令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について〈確定値版〉)。 少年が特殊詐欺に巻き込まれるのは、スマホで簡単にアクセス可能な「闇バイト」の存在が
全国的に長雨の続く「梅雨の時期」がやってくる。 近年、梅雨時期の水害が毎年どこかで発生し、常態化している。気候変動の結果、単位時間の降水量は毎年のように過去最高を更新、豪雨被害は今後も確実に多発するだろう。 郊外・都市部にかかわらず、「これまで雨による被害はなかった」ところでも水没に襲われる可能性がある。もし自宅周辺で豪雨が発生したら、どんな事態になるのか、何をどのように準備しておくべきなのか――。 「線状降水帯」というワードに注意 梅雨の時期になると、気象ニュースなどで「線状降水帯」という言葉を耳にしたことがあると思うが、これは2014年に大規模な土砂災害が発生した広島豪雨から頻繁に使われるようになった。 線状降水帯は、大雨をもたらす積乱雲が連続的に発生して、長時間、数百ミリに及ぶ大量の降雨をもたらし、洪水被害を発生させる現象である。梅雨前線と共に現れたり、台風や熱帯低気圧などによっても
Nさんは現在55歳男性、医療関係の専門書を扱う出版社に勤めています。 職場は良くも悪くも落ち着いた環境で、Nさんもあまりリスクをとるような行動を好んでおらず、これまで投資の経験もありませんでした。 妻とは結婚25周年を迎えたばかりで、ようやく一人娘は社会人になったところです。 ニッチな分野ということもあり会社がつぶれることはなさそうですが、退職金は多くは望めません。 メディアを騒がした「老後2000万円問題」や、盛んに目にする「人生100年時代」というフレーズを目にするたび、退職後の生活も心配になります。そんなNさんは久しぶりに会った大学の友人から投資で儲けた話を聞き、自分だけ乗り遅れているという焦りと、退職後に悠々自適とは言わないまでも多少は余裕のある生活がしたいという思いで、ネット証券で口座を開き、見よう見まねで投資信託を購入しました。 友人の儲け話につられて 2020年夏といえば日本
友人が投資で儲けているのを見て、55歳にして初めて日経平均のインデックスファンドを購入した出版社勤務の男性・Nさん。最初こそ少し儲けが出ていましたが、調子に乗ってキッチンのリフォーム代として貯めておいた500万円を、妻に内緒で同じくインデックスファンドに投じたあたりから雲行きが怪しくなります。日経平均は徐々に下がっていったのです。 【前編】「インデックスファンドに500万円を突っ込んだ55歳男性「まさかの絶望」に陥ったワケ」 失敗した理由 下がり続ける相場に後悔する毎日を過ごしたのち、ようやく反発したところで、投資信託は4ヵ月で手放しました。結果的には収益はトントンにあと一息というところで収まり、Nさんは傷が浅いうちに投資から足を洗えたことに、胸をなでおろしました。 もしもNさんが退職金を手にしてから投資をしていたら、もっと大きな損失を抱え、傷が深かったことでしょう。軽い火傷で済んだことは
「クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)」はなぜエッセンシャル・ワークよりも給料がいいのか? その背景にはわたしたちの労働観が関係していた? 『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』著者の酒井隆史さんが解説します。 「エッセンシャル・ワークの逆説」という難題 『ブルシット・ジョブ』の強力な文脈として作用していたテーマ、不要な労働ではなく、必要な労働というテーマについてお話ししていきます。 「エッセンシャル・ワーカー」が、その名の通り、この人類が生活をいとなんでいくにあたりもっとも基本的で必要不可欠であるにもかかわらず、労働条件において相対的に低劣におかれていることはたとえば、アメリカの経済政策研究所(EPI)という労働組合のシンクタンクによる統計のまとめによってもあきらかです。 2020年5月の時点で、このレポートの著者たちは、コロナ禍のもとでのエッセンシャル・ワ
ちょうど100年前の1920年代は、第一次世界大戦の余波で欧州諸国が苦しむ 中、米国が繁栄を享受して株式バブルへと突き進んだ時代でした。そしてバブルが崩壊した後の1930年代は、大恐慌と戦争に象徴される悲劇的な時代となりました。 世界史上最悪の金融危機とは何だったのでしょうか? 財務省・IMF・世界銀行などで活躍され、『教養としての金融危機』を上梓した宮崎成人さんが解説します。 資金の流れの中断 米国→ドイツ→英仏→米国という資金の流れに基づいた、世界経済の一時の安定は長続きしませんでした。米国の投資家が、ドイツに投資する以上に有利な投資対象を見つけたからです。 ニューヨーク株式市場は、1927年に38%上昇した後、1928年には44%上昇します。1928年の上昇は配当の増配と乖離しており、バブルの域に達したと言って良いでしょう。 市場の行き過ぎを恐れて1928年初めからニューヨーク連銀は
2021年で、現代ビジネスで反響の大きかった経済・ビジネス部門のベスト記事をご紹介していきます。5月12日掲載〈「ペット禁止」マンションを買った「動物アレルギーの男」に起きたヤバすぎる悲劇〉の記事をご覧ください。 ※情報はすべて2021年5月12日時点のものです。 マンションの三大トラブルのひとつ 日本で分譲マンションに住む人は約1,550万人。国民の8人に1人がマンションで暮らしている計算だ。 いまだにマンションは、めんどうな近所付き合いをしなくて済むと思っている人が多い。たしかに積極的な交流を図るマンションは少ないかもしれないが、実際は複雑な人間模様を垣間見るケースが少なくない。
2021年で、現代ビジネスで反響の大きかった経済・ビジネス部門のベスト記事をご紹介していきます。4月10日掲載〈「いきなりステーキ」が、会員1500万人を敵に回してまで「肉マイレージ」を改悪したウラ事情〉の記事をご覧ください。 ※情報はすべて2021年4月10日時点のものです。 日本最速記録で100店を突破、「肉マイレージ」システムの会員は1500万人ーー。高原価・高回転のビジネスモデルにより大躍進を実現した「いきなりステーキ」だが、近年は急失速。ペッパーランチ事業を売却、大量閉店を続け正念場を迎えている。 極めつけは各種特典の終了という、肉マイレージの事実上の“改悪”だ。1500万人の会員を敵に回してまで、システムを見直した理由とは。飲食店コンサルタントの白岩大樹氏が、その舞台裏を解説する。 スタバ・マックを超えた!2年8ヶ月で100店 2016年8月2日、それは外食産業の歴史に残る日と
憧れの「タワマン」に住み、夫婦関係が「完全に壊れた」36歳・専業主婦の大誤算 夫がテレワークになった結果… 「亭主元気で留守がいい」――テレビのCMから生まれたこのコピーは、1986年の新語・流行語大賞にもランクインした言葉だが、「夫婦というものは適度な距離感を保っているほうが長期的にうまくいく」というのは、令和の世でも変わらない「真理」だともいえる。 新型コロナウイルスが蔓延して以降、にわかに聞かれるようになったのが「コロナ離婚」というフレーズだ。 多くの会社でテレワークが導入され、夫婦ともに毎日ずっと自宅にいるせいで、近すぎる距離感からトラブルにつながるケースが多発している。 いわば一連のパンデミックの二次被害ともいえる悲劇だが、「家」という閉鎖的な空間で、なにが起こっているのか――今回の記事では、そんな「コロナ離婚の危機」という闇の深さをご紹介したい。 夫婦仲は決して悪くなかった、が
日本でも多くの人が悩み苦しんでいる「クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)」——。 そのひとつの種類に「尻ぬぐい」があります。それはどんな仕事で、誰が担っているのでしょうか。『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』著者の酒井隆史さんが解説します。 「取り巻き」と「脅し屋」のつぎは、「尻ぬぐい」です。原文では、duct tapers。ガムテープのような補修テープを意味するのですが、ソフトウェア産業で、補修作業についてこの言葉が用いられていたようです。 グレーバーはそれを使いながら、さらに一般化できるといっています。要するに、ダクト・テーパーとは「尻ぬぐい」であって、「組織のなかに欠陥が存在しているためにその仕事が存在しているにすぎない被雇用者」のことです。 「組織のなかの欠陥」には、たとえばわかりやすい例としては、目上の人間の不注意や無能もあてはまります。部下はその
なぜ「クソどうでもいい仕事(ブルシット・ジョブ)」が増えているのか? なぜやりがいを感じないとわかっているのに仕事をつづけるのか? そもそもブルシット・ジョブってなに? 『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』著者の酒井隆史さんが、ブルシット・ジョブとはなんなのか、わかりやすく解説します。 世界中から集まった証言 そもそも「ブルシット・ジョブ」とかいわれても、耳慣れない造語ですし、なんとなくわかるようでわからない感じをもたれている方も多いのではないかとおもいます。 そこでBSJとはなにかについてあれこれ切り込むまえに、まずBSJとは具体的にどのようなものか、そのイメージをつくってみたいとおもいます。 2013年の小論は、グレーバーが理論的に考えていたことと直感のラフな提示でしたが、それが予想外の反響を呼んだことで、かれのもとには当事者からの報告が多数集まることになりま
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元禄15年12月14日、大石内蔵助をはじめとする四十七士が吉良上野介を討ち取る「赤穂事件」が起こった。これに至る顛末を描いたのが「忠臣蔵」だ。かつてはよくドラマや映画になった「忠臣蔵」だが、最近では映像化される機会も格段に減ってきている。いったい、なぜなのか…? 時代劇研究家の春日太一氏の新刊『忠臣蔵入門』から、その理由を紹介しよう。 実は「一大プロジェクト」だった 忠臣蔵の映画やドラマが長いこと作られてきた背景として、作り手側にも大きな事情がありました。 「忠臣蔵」は大きな見せ場だけで六つあります。それぞれ屋内が主な舞台になるため、セットを作る必要があります。 「松の廊下」であれば、かなり長い廊下で襖に大きな松が描かれている。「大評定」の広間は赤穂藩の藩士全員が入る広いスペースになります。それから、祇園で大石が遊ぶ遊郭に「東下り」の宿に瑤泉院の屋敷。さらに討ち入りで使う吉良邸のセットも、
日本にとって「遊廓」とはなんだったのか。そして、どう語り継いでいくべきなのか——こうした問題意識にもとづき、江戸時代の遊廓の実態をつぶさに描いた『遊廓と日本人』(田中優子著、講談社現代新書)が刊行された。遊女が置かれた厳しい環境、一方でそこから生まれた絢爛な文化など、日本史の陰影の一端をご覧いただこう。 「床上手」の意味 「床上手」ということも遊女の大事な要素でした。ここでは、井原西鶴『好色一代男』と『諸艶大鑑(好色二代男)』に登場する遊女を何人か見てみましょう。 野秋という遊女については、「一緒に床に入らなければわからないところがある」と書いています。肌がうるわしく暖かく、その最中は鼻息高く、髪が乱れてもかまわないくらい夢中になるので、枕がいつの間にかはずれてしまうほどで、目は青みがかり、脇の下は汗ばみ、腰が畳を離れて宙に浮き、足の指はかがみ、それが決してわざとらしくない、と。 もうひと
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