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毎月一組のアーティストをフィーチャーし、そのアーティストの音楽史をディープに掘り下げ、楽曲とともにお送りする聴くドキュメンタリー『Artist CHRONICLE』。2月はシンガーソングライター・KANの特集が4回シリーズで公開され、縁のあるミュージシャンからの証言とともに、改めてKANの魅力に迫っている。 KANといえばMr.Childrenの桜井和寿やaiko、スキマスイッチ、秦基博といった数多くのアーティスト仲間からも愛されたことで知られ、その背景には彼独自の音楽に対する哲学やこだわりがあった。『Artist CHRONICLE』に寄せられた、スターダスト☆レビューの根本要や槇原敬之らのコメントを紹介しつつ、彼の影響力の大きさを再考する。
2023年7月から12月にかけて放送されたテレビアニメ『呪術廻戦』 第2期の劇伴を集めた『「呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変」オリジナル・サウンドトラック』がリリースされた。音楽を担当したのは照井順政で、これまでハイスイノナサやsiraphでのバンド活動、sora tob sakanaのプロデュースなどで音楽家としてのキャリアを重ねてきたが、劇伴を担当するのは『呪術廻戦』 第1期が初めて。自らを「異分子」と捉え、ミニマルミュージック、フリージャズ、アンビエントなどの要素を持ち込んで、カッティングエッジなアニメの世界観をより魅力的なものに仕上げてみせた。 近年はagraphやfox capture planといったアーティストが劇伴でも活躍しているが、それは作品の魅力をより高めるために、強い「個」を持った音楽家が求められていることの証明だと言っていいだろう。数々の『呪術廻戦』のテーマ曲が国内外
2012年に拠点を東京から群馬に移し、2019年にプライベートスタジオを設立したmabanua。ソロやOvallとしての活動の一方で、一時期はサポートミュージシャンとしても多岐にわたる活動をしていたが、コロナ禍を経て、近年はプロデュースワークにウェイトを置き、多数のアーティストの作品に関わっている。 米津玄師や星野源といったビッグネームをはじめ、“NIGHT DANCER”が世界でバズを起こしたimase、「RADAR:Early Noise」に選出されているchilldspot、RADWIMPSの楽曲への参加が話題となった十明など、若い世代の作品も数多く手がけるmabanuaは、現在では日本のトッププロデューサーの一人だと言っても決して過言ではない。 そこで今回は2023年のプロデュースワークを振り返ってもらうとともに、現代の音楽シーンについても語ってもらった。彼の言葉から見えてきたのは
─まずは、『TWO MOON』というタイトルの由来から教えてもらえますか? TOMOO:このアルバムに収録されている13曲は、生まれたタイミングや、そこに宿る感情やテンションなどがバラバラなんです。何かテーマを決めて、コンセプチャルにアルバム制作をしていたわけではなく、集まった13曲を前に「どんなタイトルにしよう?」と考えたので、何かしら共通項を探す必要があったんですね。 TOMOO(ともお) 6歳よりピアノを始め、のちに聴いたことがない楽曲の歌詞に自分で即興のメロディーをつけて歌って遊んでいたことをきっかけに作曲に興味を持つようになる。中学に入りオリジナル曲の制作を開始。その後、本格的に音楽活動をスタートさせる。PONYCANYON / IRORI Recordsより、2022年8月3日にメジャー1stデジタルシングル“オセロ”をリリース。Spotify が2023年に躍進を期待する次世
ヒップホップの誕生から50年というセレブレーションイヤーとなった2023年。人気プレイリスト「RapCaviar」がSpotifyで最も再生されたヒップホップアルバム50枚を発表した。 今回は、その発表を受けてヒップホップをこよなく愛する2人が対談。音楽ライターの渡辺志保と、YouTubeチャンネルを運営するShama Stationに、ストリーミング時代のヒップホップについて語ってもらった。
今年デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズ。7月にリリースされた、エキゾティックな昭和歌謡“盆ギリ恋歌”からスタートした3か月連続の新曲配信リリースに加え、10年ぶりに故郷である神奈川県・茅ヶ崎でのライブイベント『茅ヶ崎ライブ2023』の開催も控えている。 そんな節目を祝し、桑田佳祐をアマチュア時代から知る音楽評論家、萩原健太と高橋健太郎の対談を実施。当時のエピソードはもちろん、その類稀なる音楽的才能について語り尽くしてもらった。萩原と高橋が、サザンオールスターズについて初めて語り合う貴重な対談となった。
アーティストの音楽史をディープに振り返る、Spotifyの「聴く」ドキュメンタリー『ArtistCHRONICLE』。その第三弾に藤井フミヤが出演し、幼少時代のエピソードからチェッカーズ時代、そしてソロ活動まで本人の肉声で振り返っている。 今年9月にデビュー40周年を迎えるチェッカーズは、1980年代のアイドル全盛のなかオリジナリティー溢れる音楽性とファッション性で圧倒的な人気を博した。これまであまり本人の口から語られることのなかった当時のエピソードはもちろん、10代のフミヤを夢中にした50sカルチャーの魅力についても聞いた。 ─Spotifyの『ArtistCHRONICLE』によれば、フミヤさんが最初にご自身で購入したレコードはキャロルの『燃え尽きる=ラスト・ライヴ』(1975年)だったそうですね。 藤井:はい。それまではテレビで流れている歌謡曲を主に聴いていたのですが、「聴く側」から
テレビアニメ『呪術廻戦』の待望の第二期が7月6日からスタートした。その制作を担うアニメスタジオMAPPAは、ここ数年、「MAPPA SHOWCASE」や「MAPPA STAGE」といったイベントの開催、ライツ事業の強化、配給事業などアニメ制作にとどまらない活動を展開している。その活動には、アニメ業界の構造的な問題を解決する糸口や、作品を世界に届けるヒントがあるように思う。今回は、そんなMAPPAの近年の活動と今後について、代表取締役・大塚学氏と取締役 / 企画部部長・木村誠氏にお話をうかがった。 ―「MAPPA SHOWCASE」や「MAPPA STAGE」を開催するなど、アニメ制作にとどまらない展開をされています。アニメ制作会社が自らこうしたことを手がける狙いはどういったところにありますか。 大塚:一番大きな理由は、アニメを制作するだけではビジネスとして成り立たないからです。アニメ制作だ
映画『ラ・ラ・ランド』で『第89回アカデミー賞』6部門受賞となったデイミアン・チャゼル監督の最新作『バビロン』が、今年2月より公開され話題となっている。物語の舞台は「ゴールデンエイジ」とも呼ばれた1920年代のハリウッド黎明期。サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代、映画業界で夢を叶えようとする男女の出会いと別れを主軸としつつ、さまざまな登場人物の人生が交差する壮大な群像劇だ。 豪華絢爛な1920年代ファッションや、毎晩繰り広げられる猥雑なパーティー、スケールの大きな映画撮影など見せ場を過剰なまでに盛り込みながら、産業化していくハリウッドが取りこぼした狂乱を「これでもか」といわんばかりに見せつける。なかでもチャゼル作品の常連ジャスティン・ハーウィッツが手がける音楽は、ジャズやラテン、オペラに電子音楽など異ジャンルどうしの頻繁な接触のなかで、カオティックかつエネルギッシュに進化して
2013年の連載開始以来、シリーズ累計920万部超の人気を誇るジャズ漫画『BLUE GIANT』がついにアニメ映画化され、2月17日より全国公開がスタートした。「音が聞こえてくる漫画」と呼ばれてきた原作を映画化するにあたって、音楽はピアニストの上原ひろみが担当。挾間美帆らも参加したオリジナルサウンドトラックも大きな話題を呼んでいる。 世界一のジャズプレーヤーを目指す主人公・宮本大たちが結成するトリオ「JASS」の演奏を上原とともに担当したのが、オーディションで選ばれたサックス奏者の馬場智章と、上原のラブコールにより参加が決まったドラマーの石若駿。ともに北海道出身の同い年で、小学生からの知り合いであり、ともに若くして東京やニューヨークで活躍してきた2人は、まさに『BLUE GIANT』の物語を実際に体現してきたかのようだ。 そんな馬場と石若の2人に、アニメのキャラクターの演奏を演じるという稀
文章と同じくらい音楽を愛するピース・又吉直樹が、ゲストとその人の出囃子について語り合い、芸人と音楽の切っても切り離せない関係を学んでいく、Spotify独占配信のポッドキャスト番組『又吉直樹の芸人と出囃子』。2022年10月にスタートしたこの番組には、これまでオズワルド、3時のヒロイン、蛙亭、すゑひろがりずといった人気芸人が多数登場し、普段なかなか聞くことのない音楽遍歴や、出囃子についての隠れたエピソードが語られ、音楽好きとお笑い好きの双方から好評を博している。 各回で幅広いアーティストや楽曲についてのトークが繰り広げられるのは、無類の音楽好きである又吉がホストを務めるからこそ。彼自身は以前組んでいた線香花火時代にくるりの“東京”を、ピースになってからは真心ブラザーズの“サティスファクション”を出囃子として使い、それぞれの曲に対して非常に強い思い入れがあるという。そんな自身の経験談も交えな
オリジナルでは1966年に発売されたThe Beatlesのアルバム『Revolver』が、昨年10月にスペシャル・エディションとしてリイシューされた。 アイドルグループの「ペルソナ」に心底疲弊し、次第にライブステージからレコーディングスタジオへと拠点を移していったThe Beatles。アバンギャルドアートや現代音楽に傾倒した彼らは、エンジニアとして新たに迎えたジェフ・エメリックらと音響実験を夜な夜な繰り返し、ポップと前衛を行き来するようなサウンドスケープを構築。ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、そしてジョージ・ハリスンの「ソングライター」としての才能が拮抗し、ギリギリのバランスで成り立つような緊張感あふれる傑作アルバムを生み出した。 後にジョンのソロ作でもサウンドの要となる朋友クラウス・フォアマン(マンフレッド・マン)による、モノクロームのアートワークも強烈なインパクを放つ本作『
メインカット:(c) The David Bowie Archive. Photo by Brian Ward つねに時代の先端を走り続け、時代を開拓し続けた伝説、デヴィッド・ボウイ。現代におけるもっとも多作でありもっとも影響力を持つアーティストである彼の人生とその才能に光をあてた、初の公式認定映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』(2023年3月公開予定)のサウンドトラックがリリースされた。IMAXでの上映を前提にして発案された、没入感のある映像づくりが随所に散りばめられた本作は、「体験型アトラクション」とも言えるような新感覚のドキュメンタリームービーに仕上がっているという。没後6年が経ち、彼の生前を知らない若い音楽リスナーも増えてきているいま、「動くボウイ」を体感できる本作に期待が高まる。そこで今回は、デヴィッド・ボウイに造詣の深いシンコー・ミュージックの荒野政寿が、映
TikTok×Spotifyによるアーティスト応援プログラム『Buzz Tracker』で、それぞれマンスリーアーティストに選出されている佐藤千亜妃とさとうもか。今年発表の“夜をループ”や“魔法”がバズを起こしただけでなく、佐藤はきのこ帝国として2014年に発表した“クロノスタシス”が映画『花束みたいな恋をした』の影響もあって近年リバイバルヒットしたことも記憶に新しい。さらに、さとうは2020年発表の“melt bitter”がロングヒットを記録し、今年の『TikTok流行語大賞』にノミネート。こうした現象はサブスクやTikTokの現代における影響力の大きさをあらためて感じさせる。 さとうは先日、11月1日に独立を発表し、インスタライブで自らの気持ちを直接ファンに伝えた。こうしたSNSによるつながりはプラスの側面がある一方、その距離感の難しさや多様化するSNSごとの差異がアーティストのメン
『カルトQ』(フジテレビ系)の「YMOカルト」のブレーンも務めたYMO研究の第一人者、田中雄二による本格的論考集『シン・YMO イエロー・マジック・オーケストラ・クロニクル1978〜1993』が8月19日に発売された。 いまも名著の呼び声高い『電子音楽 in JAPAN』のYMOの章をもとに、それに続く時代の新たなプロットを増補。著者自身によるYMOメンバーへの各10時間におよぶインタビュー発言、単行本未収録の各ソロ取材・スタッフの証言を加えた本書は、「YMOヒストリー」の決定版といえるだろう。 大衆性と実験性を融合させた表現により、音楽のみならず当時のカルチャーにまで深く影響を及ぼしたYMOとは一体何だったのか。東京オリンピックが終わり、大阪万博が控える2022年のいま、YMOを検証し直す意義も含めて著者に聞いた。 ─『シン・YMO イエロー・マジック・オーケストラ・クロニクル1978〜
今年7月にニューアルバム『Beatopia』をリリースしたbeabadoobeeことビー・クリスティ。フィリピン生まれロンドン育ちの彼女は、The 1975やWolf Alice、Pale Wavesなどを擁するDirty Hitからデビューを果たし、ビートルズやオアシスなど1960年代〜1990年代UKロックに影響を受けつつティーンが内包する不安定な心情を歌詞に投影し、Z世代を中心に熱烈な支持を集めている。新作ではThe 1975のマシュー・ヒーリーや、新進気鋭のシンガーソングライター、ピンクパンサレスなど豪華ゲストを迎え、前作『Fake It Flower』(2020年)よりもさらにバラエティに富んだ世界観を展開した。 そんな彼女の音楽性に深く共感するのは、同じくUKロックに強い影響を受けたラブリーサマーちゃん。昨年リリースした3rdアルバム『THE THIRD SUMMER OF L
1990年代にオアシスやPrimal Scream、My Bloody ValentineなどUKロックシーンを代表するバンドを次々と輩出し、「世界でもっとも成功したレーベル」とも言われたCreation Records。その設立者の一人であり、自らを「President of Pop(ポップの大統領)」と呼んだアラン・マッギーの波乱に満ちた半生を追う映画『クリエイション・ストーリーズ〜世界の音楽シーンを塗り替えた男~』が、10月21日より全国ロードショーとなる。 本作の制作総指揮を手掛けたのは、『トレインスポッティング』(1996年)や『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)『イエスタデイ』(2019年)など数々の話題作を監督した鬼才ダニー・ボイル。脚本は『トレインスポッティング』の原作 / 脚本のアーヴィン・ウェルシュで、監督は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1
ビジュアル・アートに革命をもたらした英国出身の音楽プロデューサーであるブライアン・イーノ。彼の主要3作品と世界初公開作品が一堂に会する展覧会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』が、京都を舞台に開催中。音と映像、そして空間を融合させたインスタレーションによって大好評を博し、2週間の会期延長も決まった。 Roxy Musicのメンバーとしてはもちろん、デヴィッド・ボウイやTalking Heads、U2などのプロデューサーとして数々の名盤を残し、現在はアンビエントミュージックの先駆者として存在感を放ち続けるブライアン・イーノとはいったい何者なのか。その多彩な経歴について、シンコーミュージックの荒野政寿が解説。 また、ブライアン・イーノからクリエイティブなインスピレーションを受けてきた3名のアーティスト、小山田圭吾、岩井莉子(LAUSBUB)、小林祐介(THE NOVEMBERS
「個の時代」とも呼ばれる近頃、この先の人生を見つめ直し、新たな働き方にチャレンジする人が増えている。リスナーからのお便りをもとに、日常の悲喜こもごもを軽快なトーンで語り尽くす人気ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』のパーソナリティーを勤める堀井美香も、そのひとりだといえるだろう。今年4月に長らく勤めたTBSを退社し、独立。現在はフリーのアナウンサーとして仕事をするかたわら、自身のプロジェクトとして朗読会を主催するなど、精力的に活動を行なっている。 今回、Kompassでは堀井と、同じく『OVER THE SUN』でパーソナリティーを担当し、「非会社員」としての生活も長いジェーン・スーにインタビューを実施。堀井がこのタイミングで「沖に出た」理由から、フリーランスで働くことの根幹をどう捉えているか、そして100回目を迎えようとする『OVER THE SU
(メイン画像:『SAKANAQUARIUM アダプト TOUR』 写真:横山マサト) サカナクションのコンセプトアルバム『アダプト』が、3月30日にリリースされた。第1章「アダプト」(適応)と第2章「アプライ」(応用)からなる2つのシリーズで構成される新たなプロジェクトを始動したサカナクション。「アダプト」では、コロナ禍にどう適応してきたか、適応していくかを、本作やオンラインライブ、リアルライブを通じて体現する。 コロナ禍により世界が変容するなか、サカナクションは新たな時代への「アダプト」を試みてきた。ライブ活動が制限されていた2020年8月に開催した初のオンラインライブ『SAKANAQUARIUM 光 ONLINE』では、大量の高性能カメラの導入やオンラインライブで日本初となる3Dサウンドシステムの採用など、配信鑑賞に特化した演出を追求。2日間で6万人を動員し、先行き不透明だった音楽業界
シンガーの矢川葵が3曲入りのファーストEP『See the Light』をリリースする。 本作には、かねてより矢川が「ファン」を公言するシンガーソングライターの堂島孝平が作詞作曲を手がけた“ほんとはThink Of You”を収録。「銀座にあるパーラー」をテーマに掲げ、軽快でありながらどこか切なさを感じるメロディーに、1980年代の雰囲気を醸し出すワードが散りばめられた歌詞を乗せている。またカップリング曲として、松田聖子“瞳はダイアモンド”と中森明菜“スローモーション”のカバーにも挑戦しており、単なる懐古主義ではない現代にアップデートされたアイドルソングを展開している。 昨年2021年5月に突然活動終了し、ファンに衝撃を与えたMaison book girlのメンバーだった矢川が、その先鋭的な音楽性から一転、幼い頃から大好きだった「昭和ポップス」を現代に歌い継ぐソロアイドルを目指すに至った
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