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代表チームよりもJリーグ 海老沢 泰久=文 text by Yasuhisa Ebisawa photograph by Tamon Matsuzono 2009年3月26日 +zoom 筆者プロフィール 海老沢泰久 (えびさわやすひさ) 1950年茨城県生まれ。國學院大学大学院卒。'88年『F1地上の夢』で新田次郎文学賞受賞。'94年『帰郷』で第111回直木賞受賞。著書に『監督』『美味礼讃』など。現在、初の時代小説「青い空」(文藝春秋)が好評発売中。 サッカーの日本代表の試合を見て、われわれは何を楽しめばいいのだろう。ジーコから、オシム、さらに岡田監督に代わって2年半にもなるが、ぼくにはいまだに分からない。 当初はワールドカップ予選を突破できるかどうかという興味があった。 しかし、最終予選A組の対戦がひととおり終わったいまでは、突破はほぼ確実ということが分か
アメリカが未来永劫WBCで優勝できない理由 李啓充=文|text by Kaechoong Lee photograph by REUTERS/AFLO 2009年3月26日 +zoom 李啓充 '80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。「レッドソックス・ネーションへようこそ」(ぴあ)、「怪物と赤い靴下」(扶桑社)が好評発売中 日本の2回連続優勝で幕を閉じたWBC、今回は、なぜ「本命」アメリカが弱かったのか、その理由について論じる。 まず、第一の理由は、アメリカの選手・ファンにとって、WBCは「何が何でも勝たなければならない」イベントではなかったことにある。では、当地の選手・ファンにとって一番大切な目標は何かというと、「所属(あるいは贔屓)チームのプレーオフ進出、しいてはワールドシリーズ優勝」であるのは
アラン・トネッティ=文 text by Alan Tonetti 宮崎隆司=翻訳 translation by Takashi Miyazaki 岡本英理=写真 photographs by Eri Okamoto 美しいサッカーとは何か──。 イタリア人ジャーナリストの僕にとっては、「組織戦術の精度が高いサッカー」ということになる。パスをつなぐオランダのようなサッカーこそ美しいという意見もあるようだが、ああいうスタイルはどうしてもミスが増えてしまう傾向にある。あくまでも、守備におけるミスの少ないサッカーが美しいサッカーなのだ。無論、もっとも美しいスコアとは1−0(ウーノ・ゼロ)である。 現在テレビのサッカー討論番組で司会を務める僕にとって、戦術について考え、語ることは息をするくらい自然なこと。6歳でサッカーを始め、15歳までFWとしてロンバルディア州選抜でプ
木村元彦=文 text by Yukihiko Kimura 田附勝 photograph by Masaru Tatsuki Jリーグにかかわって以来、いろんな経済情勢がありましたけど、これほどの状況は今回が初めてですわ。末恐ろしいものを感じますね。個人消費ひとつとっても、チケットを買いたくても買えない。給与30%カットとか、賞与がもらえないとか、サポーターのみなさんも生活費で精一杯なわけです。溝畑さんごめん、3万円のシーズンチケット、今年は買えんと。 このご時勢、地方だけでなくどのクラブも並大抵の経営努力では乗り切れんですよ。今後決算が出るなかで、親会社が輸出に頼っているようなところにも激震が走るんやないかないう気がします。親会社の状況が悪くなってきて、それがクラブの経営にも色濃く反映してきている。中村俊輔を戻しきれなかったマリノスなんかは分かりやすい例やと思うんです
「野性味」溢れる次世代エース。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by PanoramiC/AFLO 2009年2月26日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 2月11日の親善試合スペイン対イングランドにバルサのセルヒオ・ブスケッツが召集された。セスクが故障中という事情はあったし、ピッチに立つには至らなかったが、1部デビューからたったの5カ月で初代表である。もっというなら、彼はほんの8カ月前まで3部でプレイしていた選手。U-21代表に呼
「WBC」という謎の大会 海老沢 泰久=文 text by Yasuhisa Ebisawa photograph by Takashi Shimizu 2009年2月24日 +zoom 筆者プロフィール 海老沢泰久 (えびさわやすひさ) 1950年茨城県生まれ。國學院大学大学院卒。'88年『F1地上の夢』で新田次郎文学賞受賞。'94年『帰郷』で第111回直木賞受賞。著書に『監督』『美味礼讃』など。現在、初の時代小説「青い空」(文藝春秋)が好評発売中。 2月16日から宮崎でワールドベースボールクラシック(WBC)のキャンプがはじまったが、テレビも新聞もこの話題で持ち切りだ。見物の人出も、連日4万人を超す騒ぎらしい。 アメリカではこの騒ぎが理解できず、ニューヨークタイムズ紙などは、アメリカ代表がそろって練習するのは3月2日以降なのにと首をひねっているらしい。また、ア
木崎伸也=文 text by Shinya Kizaki 1月上旬、フライブルクのアパートの一室で、私たちはフォルカー・フィンケに会った。昨季無冠に終わった浦和レッズが、再建を託した人物である。 事務所に入ると、フィンケは慌しく資料を整理していた。数日後に迫った日本行きの準備に追われているのだ。ドイツサッカー協会のロゴが入ったファイルや、某クラブの育成レポートなど、重要書類を丁寧にソファーの上に並べている。もしこの全てに目を通せば、すぐに近代サッカーの専門家になれるだろう。 フィンケは知る人ぞ知る、ドイツの理論派監督のひとりである。42歳のときに高校教師を辞めてプロ監督になり、地方の小クラブだったフライブルクをわずか2年で1部に昇格させた。その余韻覚めやらぬ'94−'95シーズンには、無名選手ばかりのチームをまとめあげ、1部の3位になるという快挙をやってのけた。16年に渡って
A−ロッド ステロイド汚染の衝撃 李啓充=文|text by Kaechoong Lee photograph by REUTERS/AFLO 2009年2月10日 +zoom 李啓充 '80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。「レッドソックス・ネーションへようこそ」(ぴあ)、「怪物と赤い靴下」(扶桑社)が好評発売中 2月7日、MLB一の高給取り、アレックス・ロドリゲスが、2003年(当時レンジャース)のドーピング検査で筋肉増強剤2種(テストステロンとプリモボラン)に陽性反応を示していたと報じられ、MLBに衝撃が走った。 今回の特ダネを報じたのはスポーツ・イラストレイテッド誌、「4種の異なるソースに確認した」確度の高い情報であったため、三大テレビ局が夕刻のニュースで一斉に報じるなど、A−ロッド薬剤汚染の
[fromNumber721号] コスプレで入場するキックボクサー、自演乙。 布施鋼治=文 text by Koji Fuse photograph by Keizo Takasaki +zoom 本職はコスプレで格闘技は趣味。そう言ってはばからないキックボクサーが話題を呼んでいる。“地上最強のアニヲタ(アニメオタク)”を名乗る長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾)だ。彼はストイック、ハングリーといった世間の人々が格闘家に抱く一般的なイメージ通りの選手ではない。むしろ正反対で、萌え系アニメのコスプレで激しく踊りながら入場してきたりするのだ。もちろん入場テーマ曲もほぼアニメソング。萌え系アニメなど知らない生粋の格闘技ファンは、それだけでもドン引きだ。 これで強くなかったら、単なる目立ちたがり屋でおしまい。しかし試合開始のゴングが鳴ると、そのルックスとは裏腹のハードストライカーぶりを
勝敗を左右した予想外の要因。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by MarcaMedia/AFLO 2009年1月27日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 とあるレフェリー協会の事務所に1人の少年が入ってきて言った。 「すいません、僕レフェリーになりたいんですけど」 応対した職員は、奥にいた同僚に向かって叫んだ。 「おい、このまぬけなクソガキに申込書をやってくれ」 これを聞いた少年は、当然怒る。 「ちょっと、まぬ
永谷脩=文 text by Osamu Nagatani プロとなって最初に出会い、自分を見守ってくれたコーチの存在は、どんな大選手になったのちでも決して忘れない。涙のドラフトから一転、西武に入団した清原和博の場合、その存在が土井正博だった。土井は、清原の入団と同時に当時の編成部長だった根本陸夫によって一軍打撃コーチを命じられていた。 「清原に初めて会った時、こりゃ講道館の黒帯(本物の意)だわと。ものが違うと思いました。私も一軍コーチは初めてだし、どうしたものかと思って、根本さんに相談したらば『向こうから何か相談に来るまで、じっと見ていなさい』と言われて。我慢比べでしたね」 清原の最初のオープン戦成績は2割2分。本塁打無しで終わっている。そこで開幕直前会議で、清原を二軍からスタートさせるか一軍残留のままでいくのか議論となった。結局次代を育てて欲しいというフロントの方針もあり、
永谷脩=文 text by Osamu Nagatani 初めての対戦は西宮球場やったかな。グラウンドに入ってくるなり、ペコッて俺に向かって挨拶してきた。かわいい奴やなって感じがしたね。 だけどこれが打席に立つとまったく違う。何か吸い込まれるようなオーラがあった。当時は「高卒ルーキーなんて全部ストレートで3球勝負したる」なんて息巻いてたけど、ストレート2球で追い込んで3球目にスライダーを投げた。その時のストレートじゃやられるぞって気配を感じたからね。打ち取ったけれど、いい当たりのショートゴロだった。 俺のような下手投げの投手にタイミングを合わせるなんて、一軍に上がりたての選手にできることじゃなかったから、いつかやられるだろうなって思ったよ。そしたら次の西武球場の試合で、ストレートをバックスクリーンに持っていかれた。あれは間違いなくストレートだったのに、清原のコメントは「シンカ
もうひとつの「スペイン」代表。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by Daisuke Nakashima 2009年1月8日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 スペインの冬の風物詩は自治州代表チームの国際試合だ。 地元意識が強いこの国では、多くの自治州が代表チームを持っている。一部最近デビューしたところもあるが、ほとんどは20世紀初めに生まれた地域対抗戦用の選抜チームが元となっており、フランコ政権時の(実質)消滅期を経て、90年
Jリーグの秋春制移行 海老沢 泰久=文 text by Yasuhisa Ebisawa photograph by KYODO 2008年12月25日 +zoom 筆者プロフィール 海老沢泰久 (えびさわやすひさ) 1950年茨城県生まれ。國學院大学大学院卒。'88年『F1地上の夢』で新田次郎文学賞受賞。'94年『帰郷』で第111回直木賞受賞。著書に『監督』『美味礼讃』など。現在、初の時代小説「青い空」(文藝春秋)が好評発売中。 今年の8月に川淵三郎氏から日本サッカー協会会長を引き継いだ犬飼基昭氏が、Jリーグのシーズン移行を唱えている。現在は3月から12月にかけておこなわれているが、それを2010年から、8月末から翌年の6月にかけておこなうようにするというものだ。 これはヨーロッパ型のスケジュールで、代表チーム同士の国際試合も、選手の移籍期間の設定も、そのスケジ
横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi 観る側にとっては半信半疑のスタートだった。ジョゼップ・グアルディオラは、現役時代は確かに素晴らしい選手だったが、監督経験はわずか1年。実績は、上から数えて4番目のカテゴリーとなる3部リーグのバルセロナBを、2部Bリーグに昇格させただけである。あまりにも心許ない。 選手の入れ替えにも不満は残った。 ロナウジーニョとデコを放出したことはプラスと考えることができる。2人のバルサ時代は終わりを迎えていたからだ。しかし、新監督自身が「要らない」と言ったサムエル・エトーの引き取り先を見つけられず、残してしまったのはどうか。一旦は構想外と宣告された選手に、どれほど期待できるというのか。 補強も同様で、数年前から噂されていたダニエウ・アウベスの獲得は喜ばれた(ディフェンダーに3500万ユーロ=約41億円は破格だが)。元副会長の孫
躍進を支える猛き情熱。 安藤正純=文 text by Masazumi Ando photograph by REUTERS/AFLO 2008年12月10日 +zoom 安藤正純 (Masazumi Ando) 「KICKER」特派員。欧州のスポーツ記者と幅広いネットワークを持つドイツ通で、中高年のサッカーチーム「浦安シニア」では年間100試合をこなし、毎日最低1リットルのビールを飲む生活を続けている。世界のサッカー関係者103人のインタビュー集『サッカーについて僕たちが本音で語った本』(東邦出版)の翻訳を担当。好評発売中。 こんなに珍しい首位決戦もないものだ。5日のバイエルン・ミュンヘン対ホッフェンハイム戦のことである。迎え打つのは天下のバイエルン、すべての実績と統計でドイツ1のクラブである。それに対し勝負を挑む、いや、この場合は首位チームなので「挑戦を受ける」立場
近代サッカーの思わぬ副産物。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by MarcaMedia/AFLO 2008年11月25日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 レアル・マドリーのデ・ラ・レッは心臓に問題を抱えていると、ラジオ番組に出演した同クラブのカルデロン会長が洩らしてしまった。 デ・ラ・レッは10月30日に行われた国王杯レアル・ウニオン対レアル・マドリーの真っ最中、突然倒れた。味方の攻撃に参加して敵ゴール前まで上がったところ、
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