昭和の郷愁、小さな洋食屋 銀座﹁早川﹂ 2011年8月2日 印刷 Check ﹁ハイネケン。それからハンバーグとチキンソテー。ご飯はいらないから﹂。時間は午後2時少し前。近所の自営の人だろうか、自宅の居間に入ってきたような感じの年恰好40歳前後、ポロシャツ姿の男性。注文を終えると、グラスを片手に持参した雑誌をめくっている。余計な音もなく、静かに時間が流れている。 他の客は、私と年配の先客とやや地味な中年のご婦人。狭い店内にキッチンから洋食屋特有の脂っぽい匂いが漂ってくる。耳障りな雑音も余計な話し声もない。静かだ。昭和通りと晴海通りの交差する外のせわしない喧噪がうそのようだ。12人で満員 店内は6人掛け、4人掛け、2人掛けのテーブルがそれぞれ一つ。カウンター席が二つあるが、これは狭くてあまり実用的でない。キッチンにいるのはオーナーシェフである早川恒也さん︵63︶一人だから、料理が出てくるま